血に塗れた微笑み
黒馬が身を翻して俺との距離を取る。
俺に突進を止められた事がかなりご立腹な様子で、闘牛よろしく地面を掘り返す勢いで足元の土を蹴っている。
馬の気持ちなんて知る由もないが、多分『邪魔してんじゃね~ぞ!糞原人が!』って感じなのは分かる。
まぁ原人っぽいっつっても金属製の分厚い大盾構えて、片手剣に近い大きさの短剣を握り絞めてる時点で原人ではないな。
・・・・ただのキ○ガイではあるが。
そんなキチGUYである俺の構えは堅守の構えである。
馬が相手、しかも距離をとられてる時点で攻めるというのは悪手だ。
ジャック君みたいなAGI特化型のスタイルなら攻める事もできるのだろうが、こちとら生憎と農民なのだ。
農家としての3大仕事は畑を耕す・作物を育てる・収穫するだが、流石にゲームというべきか害虫と病気などは無いので耕して・植えて・収穫するだけだ。
つまり何が言いたいかと言うと、俺の構成はVIT・STR型なのである。
しかも現在40kgはある大盾を装備中・・・ようするに速さが足りない!のである。
こういう時に採れる行動は自ずと決まってくる。
まずは小手調べとして盾を思いっきり殴る。
寺の鐘を鳴らした時よりもすこし響く音が木霊する。
挑発系アーツ『盾叩き』である。
盾を叩いて発生させた音で敵の注目を集めて、耳障りな音を何度も鳴らす事で敵愾心を集めるアーツで、隙も消費スタミナも少ないので手軽に使えるアーツでもある。
ちなみに盾を装備すれば誰でも使えるアーツだが、如何せん何回か使わなければ効果が無く、また集める敵愾心量も少な目なので同系統のアーツ『威圧』に人気を奪われているちょっと不憫なアーツである。
本来なら何度か使わなければならないアーツだが、今回の場合は俺1人だけの為、俺しか注目される事はない。
・・・だが『イラついている相手が更に挑発してきた』そう思わせる事が重要なのだ。
そして黒馬は嘶きを上げながら突撃を開始した。
まずは第一段階『相手を調べる』事から始まる。
どのような攻撃をしてくるのか、どういう性格をしているのか。
癖・隙・パターンそういったものを探る事から始める。
盾を使って黒馬の突進を逸らす。
腕に伝わる衝撃の感覚でどれ位の威力があるのかを大雑把に割り出す。
次は腕を折りたたんで受け流す。
それによって相手の正確な攻撃力と重さを計る。
此処で重要なのは重さだ。
重さっていうのは結構重要なもので、自分がどれぐらい踏ん張れるか・受けても拭き飛ばないかの指数になる。
そしてそれを踏まえた上で受けきるか如何かを決定する。
今回は受けきれるというのが俺の判断だった。
嘶きを上げて突撃してきた黒馬に対して盾を構えていた腕を上げる。
そして俺を串刺しにしようと走る黒馬に盾を振り下ろす。
鈍い音が鳴り響いた。
結果は俺は盾を取り落とし、黒馬は衝撃によってフラフラと歩いている。
「~~~っつぅ、相討ちかよ!」
勝ったと思ったんだが、どんな馬鹿力してんだよ・・・・馬だ・・・ゲフンゲフン!
俺は盾を拾わずに黒馬に向けて駆け出した。
気絶したわけじゃないが、まだ回復しきってない今がチャンスだ!
トウっ!と掛け声を発しながら黒馬に跳びかかる。
その時の俺は、チャンスに目が眩み過ぎたのかもしれない。
馬の『後ろから』襲い掛かるなんて真似をしたのは、明らかに失敗と言わざるを得なかった。
黒馬は狙い澄ましたかのように後ろ足による蹴りを放ってきた。
それは空中にいる俺の頭に吸い込まれるようにしてーーーーーー。
グシャっという音が聞こえた。
それを聞いた黒馬が蹴りの衝撃を合わせて勝ち誇ったような顔を後ろに向けようとして・・・・・・。
己の尻に何かが刺さるのを見た。
黒馬の口から絶叫の声が上がる。
そして痛みと驚きの余りに走り出した。
「逃がしゃしねぇぞ?」
黒馬の尻に突き立ったのは大型のナイフで持ち手と刃が一体化したようなデザインのものだった。
それを楔にして己の背に乗ったのは、血まみれの顔に怒りの感情を浮かべつつも笑っているという壮絶な表情をした天道だった。
作者「ブラボ楽しすぎワロリンヌ」
天道「死に腐れボケが」
作者「ちなみに仕事疲れで寝落ちしたりとかもしてたので、まだクリア出来てないお・・・。」
天道「『処刑隊の聖人へ謁見じゃぁ!!』とかいってカインに篭ってるバカが何いってんだが・・・。」




