開戦前~虐殺準備中~
全部一気に書こう
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仕事やら趣味やらの時間が重なる
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あ、やべ・・・
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と、とりあえずこれで・・・←今ココ!
3人称視点
この日、ギルド『ドラゴン・ナイツ』とギルド『王蛇の蟲毒』の『ギルド・ウォー』が行われようとしていた。
ギルド・ウォー・・・つまり対立するギルド間での戦争であり、お互いに何かを賭けて行われる争いである。
原則として人数はギルド・ウォーを行うギルドの人数が多い方が上限人数となる。
つまり100対6などの酷い人数差があっても行えるのである。
そうすると人数の少ない方が不利に決まっている。
そこでギルド・ウォーで人数が少ないギルドは次の手段が存在する。
1つ目が『傭兵システム』
アイテムやゲーム内通貨を報酬として支払うことで自分のギルド以外のPC及びNPCを傭兵として雇えられるのである。
2つ目が『参加人数の制限』である。
これは敵対ギルドのみが行える行為で良く言えば正々堂々、悪く言えば舐めプである。
人望と金が無いギルドには人など集まるわけも無い。
そんな救い無き者達への哀れみと最後の情けである。
3つ目が『連盟を結んだギルドへの協力要請』である。
自分達と仲の良い別ギルドを『自分のギルドと一括り』にしてギルド・ウォーに参戦できるようにするのである。
だが負けた場合のペナルティーも受けてしまうので安易な協力は避けた方が賢明であろう。
ちなみに1と3は併用出来ないので傭兵を雇うか協力して貰うかを選ばなければならない。
そして1か3を合わせた人数が敵ギルドを超える人数になることは出来ない。
ギルド・ウォー自体は軽い気持ちで行える。
むしろ前線組を多く抱え込むギルド間では練習試合が頻繁に行われる風潮がある。
これは公式が『大陸間での戦争がある』と公式告知がなされている為で、その時の為の練習という意味合いが強い。
つまりは『両者が本気で行うギルド・ウォー』はこれが初めてなのだ。
方や中堅でも腕の悪い方ではあるが『前線組』。
方や大御所から蛇蝎の如くに嫌われている『犯罪者』。
人数も装備も前線組・・・『ドラゴン・ナイツ』の方が上であり、負ける要素など見当たらないというのが大多数の意見であった。
傭兵システムで募集しても犯罪者ギルドに力を貸そうという人間は大抵、何か問題がある人間か興味本位で参加しようとするプレイヤーだろう。
そう・・・普通なら。
「『王蛇』の連中も今日で終わりかニャ~?」
観客席の1つに座る少女が問うように呟く。
頭にネコミミ、腰の下辺りから尻尾を生やした猫の獣人である。
要所要所に手を加えたドレスのように華やかな軽鎧を身に付けてあり、見栄えを良くしているがちゃんと戦闘を主眼に置いて作られた一品だと分かるような鎧だ。
そんな彼女の呟きを拾い答える者が居た。
「猫っちそれは如何だろうと思うけど?あの『毒蛇』からギルド・ウォーを仕掛けたんだし、何か策があると思った方が良いと思うよ?」
猫の少女に答えたのは全身鎧を着込んだ男だ。
澄んだメタリック・ブルーの全身鎧は煌びやかな装飾などはされていない無骨な鎧であったが、見事としか言いようの無い機能美を追求されたからこその無骨さであった。
「シュナイダーは『毒蛇』に殺られたんだっけニャァ?」
シュナイダーと呼ばれた男は苦虫を噛み潰したような顔をする。
勿論、フルフェイスの兜のせいで顔は見えやしないが、それなりの期間を共に過ごした仲だ。
それくらいは分かる。
「・・・はぁ、猫っちは良く覚えてるよねぇ。
そうだよ、コテンパンにやられたさ。」
シュナイダーはこう言ってはいるが、それほどコテンパンにされた訳では無い。
むしろシュナイダーの腕が立っていたせいで襲われたくらいには強いのである。
もっとも、一緒に首都を目指していた仲間である2人は1分以内には喉を掻っ切られて終了していた訳で、乗り切れたとしても残りの道を踏破できるかというと微妙な所であったが。
溜め息をついたシュナイダーをニャハハと軽う笑う猫の少女。
名前を『ネーコ』というこの少女はシュナイダーと同じ最前線組にしてギルド『宵の風』に属している猛者であり、3人の副ギルドマスターの1人。
魔法剣士の最高峰とも言われている。
そんな2人が見つめる先には大と小の集団があった。
大はギルド『ドラゴン・ナイツ』
大して強くも無いが装備の性能と人海戦術で前線に張り付く集団である。
小はギルド『王蛇の蟲毒』
悪名高きこの集団は最前線に出る者達に蛇蝎の如く嫌われている。
その理由の大半が『1人』に苦汁を舐めさせられたからというのも有名な話しではあるが。
ドラゴン・ナイツ64人VS王蛇の蟲毒21人
実に3倍もの人数差である。
「おいおい!そっちから挑んできた癖に勝負を捨てたのか?あぁん!?」
ドラゴン・ナイツのギルドマスター『トロポック』が相手を挑発する。
ヤンキーのような口ぶりだが潰れた蟇蛙のような顔と弛んだ贅肉だらけの肉体のせいで迫力も糞もあったものではない。
まぁそんな人間性に魅力の無い彼だからこそ問題児が良く集まるのかもしれないが・・・。
「まさかとんでもない。
ちゃんと殲滅してあげますよ『鈍豚』さん。」
そんな蟇蛙の言葉に答えたのが王蛇の蟲毒の『副ギルドマスター』ジャックである。
物腰の柔らかい態度ではあるが、トロポックの嫌う通称で呼ぶ辺り嫌っているのが良く分かる。
憤慨するトロポックだが、ジャックは我関せずな態度で無視を決め込む。
ちなみにトロポックはジャックの標的になっていない。
・・・まぁ殺されはしたが、それはオマケ的な扱いで殺された1人というポジションである。
ポーーンと鳴り響く音と共に追加の人員が到着する。
・・・が、観客の殆どがその姿を見て嘲笑を浮かべる。
鎧を着込んだ人間が皆無なのだ。
追加人員は『1人を除いて』全員が生産職が好む作業着を着ている。
若干カスタマイズされてはいるようだが、前衛となる人間の姿が見えない事が追加人員の薄さだと思ったのだろう。
数人を除いては
「あれ?猫っち?」
目を見開いて戦場となる舞台を見つめる・・・いや、見入っているネーコに驚いて声をかけるシュナイダーだが、肝心のネーコはまったく聞いていない。
むしろブツブツと呟いている。
「猫っちどうしたんだ?」
2度目の問いかけに我に返ったネーコは3人を指差してシュナイダーに問う。
「あの3人の名前、見覚えないかニャ?」
シュナイダーは目を凝らしてネーコの指し示した3人を見る。
1人目、銀色のモヒカンを風に靡かせユサユサと揺らしている男。
背中には巨大なスコップと鉄板焼きに使うような取っ手のある鉄板を背負っている。
名前は『鉄鬼』
2人目、黒い髪をオールバックにして余った髪を後ろで三つ編みにしたセ○ールに似た男。
何も背負ってはいないが、腰に裁縫鋏と大きい針の刺さった針山を備えている。
名前は『アンソニー』
3人目、スキンヘッドに・・・大地の精霊でも呼び出す祈祷師かと言いたくなる仮面を着けて腰ミノと草鞋を履いただけの筋肉がキモイ程の密度で付いた肉体を持つ原人。
腰ミノの後ろに大型の短剣を挿して両手に毬栗の様だがチアリーディングに使えるようなボンボンを持っている。
名前を『天道蟲』
知ってる名前だった。
ネーコに荷物持ちとして何度も連れて行かれた場所に野菜や果物を出荷する奴らの名前だった。
天道「言い訳は無用だ。介錯はしてやるから腹を切れ。」
作者「なんでこんな時期に限って色々重なるんだよ・・・orz」
天道「何が重なったし。」
作者「日本語直訳で『運命・その夜に』とか『記録の地平線』とか・・・英語風に言ったら『ビッチ・デーモン・インセクト』とか・・・。」
天道「最後だけなんか違うし言ったら駄目な奴じゃね~か。」




