挨拶廻り~田舎の基本~
カードを買った俺は村を歩いていた。
商店や鍛冶屋等の有無を調べる為だ。
ここ正式名称『リベラ村』は『中立地帯』に分類される場所だ。
モンスレの街や村には2つの地帯が存在する。
1つが『安全地帯』始まりの街や首都などの比較的大きな街に多い設定で、PKや犯罪(スリや空き巣)といった行動を制限される地帯である。
2つ目が『中立地帯』首都から離れた街や小さな村などに多い設定で、先に上げた行為が可能になる地帯である。
『中立地帯』でもログアウト等は出来る。
だが此処で活動する以上、いつもPKに対する注意は必要になる。
ちなみに犯罪行為はそれ専用のスキルがある為、容認されている。
・・・バレて捕まればデスペナ2倍だそうだが。
ちなみにプレイヤーからもスリが出来るそうだが、結構気づかれる事が多いそうだ。
村の中をウロチョロと歩き回っていると、NPCも畑を耕しているのが良く見える。
参考にさせて貰おうと、歩みを止めて観察していると
「あん?なんじゃぃ?
何か用でもあるんか?」
とNPCに気づかれてしまった。
「あぁいや、怪しい者じゃないよ。
これから農業を始めるところでね、少し参考になるかと思って見せて貰ってたんだ。」
NPCの挙動が少し止まり、ちょっとの間を置いてから苦笑を浮かべる。
・・・今の間は返答に対する応答を待ってたようだ。
人間臭いが、やはりゲームなんだな。
「ほんなら、良いもんやるわ。」
そういうと、NPCのオッサンは少し離れた所にある倉から鍬と鋤を持ってきた。
「ちょっとヘタってきとるけど、まだ使えるけん持ってけ。」
・・・良いオッサンであった。
俺は感謝を伝えると、その2つをインベントリに入れて歩くのを再開する。
色々と歩き回ってみたが、鍛冶屋は存在しなかった。
商店は小さいながらも存在した。
ポーションや細々とした物を売っていたが、錬金術の触媒は売ってなかった。
あと、鍛冶屋の代わりに『特産店』という店があった。
鍛冶屋や錬金術屋にプレイヤーが商品を置いて貰えるように、此処では穀物や野菜、果物といった農産物を置いて貰えるそうだ。
そして、植物の種も売っている。
そして見てしまったのだ。
『ジャガイモの種:20G』
・・・・・・・・・・・・・え?
ジャガイモって小さいのを種芋として栽培するんじゃなかったか?
種なの?ねぇ?
・・・・・っは!?
いかんいかん、常識が俺の頭で渦巻いていた。
うん、常識は捨てないとな・・・。
ものすごく納得がいかんが、無理やりにでも納得しないとな・・・・。
遣る瀬無い気持ちのままに、人参とジャガイモと玉ねぎの種を買ってその場を後にした。
・・・・・でもやっぱりなんでジャg
何処までも納得いってない俺だった。
 




