スプラッター映画の犯人と笑顔が怖い禿~異種格闘技戦~
「それでソイツはお気に召したかな?」
「いえ、僕には少し重いので他のにします。」
そういうとボウイ・ナイフを丁寧に返してきた。
重いっつっても十分に振れてたと思うがね?
「まぁこのボウイ・ナイフより良い出来なのっつったら1つしか無いんだがね。」
そう言うとホラー君(仮)が興味深そうにこっちを見てくる。
「ボウイ・ナイフと比べると重さは1/4で攻撃力だけならこっちのが上だ。」
そういってデッドリー・ナイフを渡してみる。
ホラー君(仮)は受け取るなり、デッドリー・ナイフをジーっと凝視してる。
「そいつは凶器としての性能に拘った試作品でエンチャントも性能を底上げするのに一役買ってるが、エンチャントが成功したの自体が奇跡な一品でね。
正直な話、売る気はあんまり無かったんだがね?」
ホラー君(仮)は俺の話を聞いていないようにナイフを見てる。
「質問良いですか?」
「かまわんよ。」
ホラー君(仮)はデッドリー・ナイフの真ん中の穴を指差して
「この穴は何の意味があるんですか?」
と聞いてきた。
あぁその穴か。
「血抜き穴だよ。
ナイフは刺さると傷口から出血するが、刺さってる部分が邪魔で出血自体は緩やかなんだ。
そこでその穴の意味だがナイフが刺さったままでも、その穴から血を流し続ける事になる。
リアルなら普通のナイフと比べて出血速度は2倍近いだろうね。」
「この鉤爪みたいな部分は?」
「人間の皮膚を裂く時に脂が乗ってると滑る時があるらしいからね、その爪の部分が刺し斬った部分を残りの刃の部分で切り裂ける工夫だよ。」
「何でこんなに軽いんですか?」
「純粋な金属じゃないからね。
錬金術で一度ドロドロの液体に溶かしてあるモンスターの素材と混ぜて作った錬金金属だ。
モンスターの素材も軽い物だからただの鉄よりは軽いし、血抜き穴の存在が肉抜きのような効果ももたらしてる。」
・・・・質問に答えていく度に、ホラー君(仮)の目がヤバイ位に輝いてきてる。
俺・・・・・やらかしたか?
「・・・・・これ幾らですか?」
魅入られてるのか?
ホラー君(仮)の目がナイフに向けられたままだ。
ちょっと目を覚まさせてやらねばなるまいて。
「その前にだ。」
俺は立ち上がると、肩をほぐす。
そして右手の親指で自分を指して。
「俺と勝負しようぜ?」
決闘を申し込んだ。
露天を取っ払って、裏路地でも広いスペースに移動した。
俺とホラー君(仮)は向かい合って立っている。
「ルールは簡単、HPが半分になったら負けの格闘戦だ。
武器無し、一本勝負。
勝てば買う権利、負ければ買えない・・・単純だろ?」
俺はそう言いながら柔軟をしていく。
「本気ですか?」
ホラー君(仮)はこっちに確認をしてくる。
顔は表情が見れないから分からんが、目には侮蔑に近いモノが浮かんでいる。
阿呆が、感情を隠しきれてないぞ。
「まぁ本気さね、それとも何か?こんなおっさんと喧嘩する価値はね~ってか?」
ホラー君(仮)は押し黙る。
どうやらこっちが本気なのを分かってくれたようだ。
「んじゃカウント5で始めるぞ。」
「・・・・分かりました。」
両者の距離は5M弱
ホラー君(仮)ならすぐ詰めるだろうが、それでもボクシングのリングと同じくらいには距離が離れてる。
まぁおっさんを舐めんじゃね~ぞってことで
カウントが始まる。
5
4
3
2
1
《Fght!》
その文字と同時に半透明な結界が展開される。
周りに対する防御対策かな?
一瞬だけそう思ったが、その一瞬でホラー君(仮)はもう距離を半分に詰めていた。
判断しろ!
右手の力が抜けてる・構え等は無い・最速で真っ直ぐに突っ込んでくる
どうやら舐め切ってるな?
俺はその場から前にジャンプする要領で跳び膝蹴りを繰り出す。
ホラー君(仮)はそれを見て回避を選んだようだが、甘いわ!!
回避されるのは折込済み、ホラー君(仮)の格闘スタイルは打撃系。
しかも身体の線が細い、つまり。
跳んでいる状態で左脚をずらしてホラー君(仮)の身体と俺の左脚が縺れ込んだようにしてお互いが転倒する。
さぁ泥臭い組技系と洒落込もうか?
戦闘細かく書こうとしてますが、ちょっと無理な姿勢になってるかもしれませぬ。




