露天屋台を出してみよう!~最初の客はスプラッター~
オカシイ
1時間経ったが、来た全員がこっちを見るなり「見なかった事にしよう。」みたいな感じで去っていく。
ちゃんと笑顔を浮かべているというのに・・・・何故だ・・・・。
悩んで下を向いてると、店の前で砂利を踏む音が聞こえた。
前を見ると
・ボロい包帯でグルグル巻きにして口の部分だけがWとかMの字の如く雑だが規則正しく太い紐で縫ってる顔
・レザー系の黒い装備なんだろうが、経った今返り血を浴びました的な血痕が付着した上着と、血を浴びすぎてドス黒くなった結果みたいなシミを付けたズボン
・腰の辺にナイフが幾つか装備されているが、その内4本くらいが医療用のメスの形をしてる。
結論
どう考えても精神異常者かスプラッター系ホラーの住人です。
本当にありがとうございました。
・・・い、いや待ってくれ。
確かにお客こね~な~と思ってたよ?
何で逃げるんだろうな~とも思ってるよ?
だからって初めて逃げなかったお客第1人目が贔屓目に見ても闇の住人ってどういうことなの!?
足音もしてなかったし暗殺者かなんかですよね!?
ホラー君(命名俺)が
「すいません、このナイフ見ても良いですか?」
と言ってきた。
意外と常識はあるのな・・・。
問答無用で斬りかかってくるタイプじゃなくて一安心だわ。
「いらっしゃい、好きに見てってくれよ。」
そう言うとホラー君(仮)はボウイ・ナイフを見始めた。
やっぱナイフがメイン武器かぁっと思っていたら。
「これ少し振っても良いかな?」
と、意外と律儀に聞いてくるんだな。
「勿論構わないが、俺を狙うのは止めてくれよ?」
「分かってるさ。」
言うが早いかホラー君(仮)がボウイ・ナイフを構えて静止、一拍置いて振り始めた。
刺突から始まり腕を伸ばしきらない内にステップを踏んで腕を引くのでは無く、『ナイフの位置をそのままの位置』で止めて自分の位置を素早く移動したことで腕を畳んでいた。
そこから左に切り払い、返す刃を自分の身体で巻き込むように振るう。
右手がまるで鞭のようにしなり高速で空間を切りつける。
ナイフを振りぬいた動作を無駄にせず、右脚を軸にハイキックを繰り出す。
そして驚いた事に軸足一本で跳び、ハイキックを振った場所に重なるように後ろ跳び回し蹴りを放った。
所謂、二度蹴りと呼ばれる技なのだろうが、ここまで行くと業と呼べるレベルか、それとも絶技とか言われると思うんだが?
さらに体術を折り混ぜてナイフが閃いて、隙無く完成された『武術』が披露される。
そして一連の動きが終わったようで、ボウイ・ナイフを鞘に戻すとこちらを向いて。
「詰らないモノをお見せしました。」
と、のたまいやがった。
いや、あの動きを詰まらんって言ったら多分、時代劇の連中が子供のチャンバラごっこレベルになるんだが?
「いや、良いモノ見せて貰ったよ。」
営業スマイルではなく苦笑に近い笑いだったが笑顔が浮かぶ。
これデッドリーさんの使い手決まったんじゃね?
俺はそう思った。
よろしかったら感想待ってます。
@掲示板ネタはやった方が良いかやらん方が良いかどっちなんだろう?




