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選択の時

 ナトが崖を下り定位置に着いた。

遠くの方から雑に走る足音が血がづいてくるのが聞こえた。

足音から推測するに恐らく2人。

重みのある音ではないので2人とも女性であろう。

さらに遠くから声と10人以上の足音が聞こえてきた。


「さてと、水でも飲んでナトがどう動くか見るか。」


エール通りには曲がりくねった道の後にかなり真っすぐな道が続く箇所が存在する。

直線上では追手の方が有利になるだろう。

足音がさらに近づいてくる。


「見えた。」


 あれは...、メイド?それに走りずらそうな服装をした女性。

服装から見るにやや高貴な方と推測。

追手の方は、金属製の装備をした身軽そうな集団か。

追いつくのは時間の問題といったところだな。

ナトの方に視線を向ける。

ちょうど投擲をしようと狙いを定めているのが見えた。


「いたぞ!殺せ!!」


 夜で静かな場所なのではっきりと聞こえた。

ん?追手のさらに後ろに長剣を携えた身長の高い男がいるな。

あれが指揮官といったところか。


「っし!」


 巨木がミシミシと音を立て倒れていった。

ちょうど女性たちと集団たちを分けるような形で切り離すことに成功した。


「お母様、ケガはございませんか?」

「えぇ、この子も無事で私も大丈夫よ。」

「運がよかったですね。さ、さらに遠くへ行きましょう。」


 再び走り出そうとしたところにナトが現れた。


「ちょっと待って!」


 突如現れたナトに女性達は警戒をした。


「えーっと、雛!じゃなくてぇ、えっと、その女の子かな?を貰いに来た!」

(「会話下手すぎだろ!コミュニケーションに難ありかぁ...。」)


 思わず心の中でツッコんでしまった。


「貴方もお嬢様を狙う輩ですね!?」

「いや!?いやいや違うよぉ。まずは落ち着いてね?ね?」


 そんな怪しい会話をしていたら後ろから火の手が上がった。

倒壊した巨木は瞬く間に強烈な炎によって炭化した。

風で吹き飛ばされた後、そこから出てきたのは高身長の男だった。

後ろには綺麗に隊列を組む追手の姿があった。


「おや?私の知らない子供がいますね。貴方は?」

「ナ...、コホン!私はナヴィー、通りすがりの一般人よ!」


 うまく偽名を使っているな。


「?まぁ別にいいでしょう、死体が一体新たに増えるだけですし。」

「し、し、し、死体!?」

「私はニュードラウ王国、王族直属魔戦士長、”戦争のチャールド”です。」

(「どこだよそんな国、知るか!」)

「?」

「それで、いい加減逃げるのをやめたらどうです?疲れたでしょう?楽にしてあげますよ?」


 剣から手を離した隙に、メイドが短剣を振りかざした。


「はい?」


 短剣は男の目の前で弾き返され、メイドは奥に吹き飛ばされていった。

メイドはすぐさま立ち上がろうとしたが、足に力が入らないのかそのまま倒れた。


「やはり考えてることの次元が低すぎますね。赤子のお世話でもしているのかと思いましたよ。」


 後ろの方で追手の笑い声が聞こえてくる。

ナトはというとそろそろ限界そうだった。

実はナトは特殊なキレ症なのだ。

認識や仲の良い人にはそんなことは無いのだが、なぜか初対面の人に対してすぐにキレるのだ。


「おい、木の棒。お前死ぬか?」


 悪口も含んでいるので相当キレているな。


「木の棒?私ですか?」

「そうだよ、お前何人殺してきた?」

「私の担当は戦争、数えている暇すらないのでわかりませんね。」

「そう。死んでみたらわかるんじゃない?」


 ナトが短剣を手に取った。


「あ、そこの女の子を抱えてる人とメイド?の人、巻き込まれたくなかったら師匠にお願いしてね。」


 ナトが俺の場所を堂々と指をさしてきやがった。

それに反応して男も俺の方を見てきた。

はぁーっ、隠れてた意味が無くなった。


「ナト、怒っているのはいいが、周りをもっとよく見て考えるように。帰ったら勉強だ。」

「いつからそこに?」

「最初からだよ。」

「私でも気づけなかったとは。」


 倒れているメイドの近くにいた女性のそばに近寄る。

メイドは倒れながらも鋭い目つきで睨んできた。

その近くで震えている女性に声をかける。


「あー、うちの弟子が迷惑かけたな。」

「......弟子?」

「あいつ俺の弟子なんだ。今相当怒ってるっぽいから触れないでやってくれ。面倒だが位置もばれたし、隠密の意味が無くなった。」

「私たちに何をする気ですか!?」

「落ち着けって、あいつの気が収まるまで暴れさせてやりたいからな。その間対象者に危害が出ないよう護衛するぜ。」

「対象者...?」

「おっと、俺もうっかりだな。まぁそこでじっとしてろよ。」


 手をかざし、目に見えない結界を張った。

ナトの方はもすぐ始まりそうだった。

俺は結界の中に入り、腰を下ろした。


 「さて、弟子にアドバイスするべく戦闘のお勉強会と行きますか。」


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