『???』
「なぜ今更!私たちを裏切ったのか!?」
「裏切りとは酷いことを言う。国の未来のため行動しているのですよ私たちは。」
周りが火の海となってしまった。
お父様とお母様、メイド長が知らない人に向かって抗議している。
揉め事はやめてほしいな。
「我が一族を滅ぼすことが、どれほどの影響を与えると思っているんだ!」
「別に、そんなに影響があるとは思えませんが?」
「我が一族は代々国の発展時に様々な支援を行い、小国から大国へと共に成長してきたのだぞ!!」
「で?」
「今まで好意で行ってきたことはすべて無駄だったというのか!?」
「そうですね、無駄です。いりません。」
「ふざけるな!!」
男の人が剣を取り出してる。
分からないけど、息が切れてきた。
「あぁ、そうでした。無駄ではないですねぇ。」
長剣を見つめる。
「あなた達、いやそこの娘、利用価値が大いにあります。」
「何!?」
「国の発展のため、ぜひとも娘さんを活用したいです!ご協力ください?」
「馬鹿なことを言うな!娘はまだ幼いのだぞ!それに娘は物ではない!!」
「はぁ...、火を放ったのは良かったんですが、じじいの火を焚きつけてしまいましたねぇ。めんどくなったので端折ります。」
男の人は長剣を私に向けた。
周りが熱いからだけではない。何か奥底から湧き出てくるような謎の焦りと不安。
なにこれ。
「娘さんの脳が有ればいいのです。では失礼して!!!」
剣先が近づいてくる。
怖い。
目を瞑った。
「っごふ!」
「あなた!!」
「っ!?」
「あら?醜い豚の血が剣についてしまいましたねぇ。汚らしい。」
目をゆっくり開けると生暖かい血を垂らしていたお父様がいた。
とても痛そうな表情をしていたが、目は優しかった。
「メイ...、私のかわいい娘よ。優しく強い子になっておくれ。皆を頼んだよ。」
反射的?に声が出た。
「う、うん。」
お母様とメイド長がお父様に駆け寄り、大きな声を出している。
男の人は酷く冷たい視線を私に向けていた。
再び、剣を向け走ってくる。
「私に構うな!行け!!」
私はお母様に抱えられた。
メイド長が魔法を唱えていた。
優しい光に包まれ、睡魔が襲ってきた。
最後に見たのは、お腹が赤く染まり、泣きながら笑顔でほほ笑んでいたお父様の頭に剣が突き刺さる、光景だった。