三等割の夫〜魔法で分裂ってなんですか?〜
お見合い結婚した相手と新婚生活になる。
しかし、起きるとなぜかベッドが狭くてセンセティナが弾き出されて、落ちた。
どすんと。
それはもう、どすんと尻餅どころか体を打った。
「いだだ!……え、なに?」
新婚生活、三ヶ月。
「え、なに?」
「んー」
ベットから夫のインサテアが、聞こえる。
センセティナはお尻をさすりながら、起き上がる。
「い、インサテアさん……おき、起きてっ……はっ?」
夫に呼びかけたところ、三個分の盛り上がった寝具。
「なっ、三人!?う、浮気現場っ?」
反射的にまくる。
バサっといくと目に飛び込む三つの物体。
「男、男、男……え、男しかいない?」
女が一人もいない。
寧ろ女二人がいてもおかしくない構図。
「あなた、起きて!」
一番はしに行き、ゆりおこす。
「んっ、なんだい?」
「ああ?」
「う……」
夫は目を開けてそれぞれ、起き始める。
「夫さん。あなたの横に二人の男が寝ていますよ!」
何度も訴えかけて、必死な様子に頭が漸く霧が晴れたらしく、目をちゃんと開けて横を見る。
「んー、え?おお、懐かしい。そうか、もうそんな時期か」
どうやらなにが起きているのか混乱しているのは、センセティナだけらしい。
「あの、この方達は?なんとなく夫さんに似てますけれど」
と、理由やら事情を聞く。
聞かねば安眠の日はこない。
というわけ、で三人を全員叩き起こすことにした。
一人は起きているから二人だけど。
「三人に増えたんじゃなくて、一人が三人に割れたんだ」
「分裂ってやつなの?」
「話が早いなうちの奥さんは」
普段からぽやぽやしてはいたが、ここまでぽやってるとは。
もっと具体的に言ってほしいというが、彼は頭をかいて困った顔をする。
そんなことはどうでもいいので、さっさと答えろと睨みつける。
魔法の世界でも、この夫の状況はかなり特殊。
「怒らないで」
「怒ってない。知りたいだけ!」
知りたいので問い詰める。
三人を問い詰めるのは大変。
センセティナは腰に手をやり、早く離せと催促。
三人はそれぞれ単体で説明を始める。
一人がまとめて言って欲しい。
昔、子供の頃に魔法が失敗して人格と共に肉体が離れ離れになってしまったと語る。
一番隠しておけないような内容なのだが、どんなつもりだったのか意味がわからない。
「お願いだ。別れないでくれ」
「頼む」
「後生だから!」
三人に頼まれても実質一人だ。
一人に頼まれているのにややこしい。
頭が痛い。
こんなの一般人の己にできることはない。
とりあえず、やることは互いの両親を呼び出すことだろう。
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