幕間④:もっと違う設定で もっと違う関係で 出逢える世界線選べれば良かった
続いての幕間は東堂先輩です!
登場した時はかなりぶっ飛んだキャラだなって
作者自身も思ったんですけど、
実はイマイチ自分でも掴みきれてないんですよね……。
嫌いじゃない(むしろ好き)んですけど
なかなか思い通りに動いてくれなくて(口調も)、、、
まぁ、彼女にとって初のメイン回です。
今度こそ、幕間に相応しい長さです。
よろしくお願いします……w
自分の部屋の扉を開けて、
無言で床にカバンを放り投げると、
私は着替えもせずにベッドへダイブした。
「うううう~~~~~!!!!」
悶々とする!!
世の中、世知辛い!
(いえ。緋月君の名前ではなくて。)
どうしてこう、
人間て周りとのしがらみとか存在するのかしら……。
私は私。
あなたたちはあなたたち。
私は好きにするから、
あなたたちも好きにすればいい。
どうしてそれじゃ駄目なのかしら。
って、これで済んでしまったらきっと
人間社会は成り立たないのかもしれないわね。
…きっとこんなことばっかり考えているから
私は友達がいないのかしら……。
なんだか急にさびしくなってきたので、
本棚に手を伸ばして1冊の漫画本を手に取った。
漫画に逃避してしまおう!
それが私のささやかな反抗だったのかもしれない。
『ジュリエット学園④』
待望の最新刊……だったのだけれど、、、
発売されて4日、もう10回は読み直してしまった。
「藍ちゃんも読んだかしら……。」
私はベッドにうつ伏せになったまま表紙をめくった。
この物語は、聖ハムレット学院の
生徒会長、眞白ミオと
風紀委員、樹リエトが
いがみ合いながらも惹かれ合うという
私が大好きな王道的展開で、
少女漫画好きの私がいま最も推している
珠玉の作品なのだけれど、、、
「テルト、、、テルトが…………ッッッ!!!」
私は枕に顔を埋めて悶絶した。
足をバタバタさせながら。
『テルト』は、聖ハムレット学院生徒会副会長の
手保テルトというキャラで、
1巻の冒頭から会長のミオの横にいつも控えて、
大雑把なミオを陰ながら
いつも支えている脇役だったのだけれど、
(作者注:きっとネーミングはティボルトを由来にしていると思われます。)
この4巻で、突然テルトの想いが描写され始めたの!
「テルトも……! テルトもミオを
好きだったなんて………………!!」
私は再び悶絶した。
リエトとミオが少しずつ
距離を詰めていくその過程を、
彼は一体どんな思いで見ていたのだろう。
誰よりもミオの近くにいながら、
別の男性に惹かれていく想い人を、
どんな思いで…………!
「…………………………………………。」
正直なことを言うと、
初めはこの副会長のことはなんとも思わなかった。
地味で堅物な脇役程度にしか思っていなかったの。
でも、何度か読み返すうちに、
献身的にミオを支える描写が
少しずつ気になり始めてしまっていた。
組織の長たる彼女を、
自分を押し殺してひたすら支える、テルト……。
ミオも、彼の思いなんか露知らず、
甘えきって頼りきって、
いつも自分の横にいるのがさも当然のように
ふるまっていて………………。
「~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
ついこの間までの私だったならば、
メインカップルに割り込もうとする恋敵なんて、
きっと邪魔に思いながら読み進めていたと思うの。
この、私の中に芽生えた心境の変化は………………
コンコン
「京香ー? いるーー?? 入るよーー??」
自室の扉がノックされて、
妹の彩香が私を呼んだ。
「はーーい!」
少し声を張って返事を返した。
ガチャ
「 アンアンッッッ♪」
ドアが開くと同時に、
彩香より先に愛犬である
ポメラニアンのハピネスが私の身体に
タックルと言わんばかりに飛びついて来た。
「へっへっへっへっ♡」
「あははどうしたのハピネス~♪」
まるで私の顔が砂糖菓子の塊なのかしら?
と思うくらいにミルクティー色の毛並が
愛らしいハピネスは全力で舐めまわしてくる。
「まったく、、、ハピネスの面倒も世話も
一切見ない京香にここまで懐くの
ほんとなんなのかね……。」
ハピネスに続いて私の部屋に入ってきた、
私の双子の妹である彩香がため息を漏らした。
そんなの、私が知りたいわよ。
なんて、労せず愛されるなら
それに越したことはないのだけれど。
なぜか、もともと動物から
愛されるほうではあるのだけれど、
どうせなら人間からも無条件に好かれてみたいわよ。
まったく。
私のいったいなにがいけないのかしら。
「京香、今日はどうする?」
青っ白い肌でロングヘアーの私とは対象的に、
健康的に日焼けしたショートカットの妹が
話しかけてきた。
私たちは双子といっても二卵性双生児なので、
実のところそこまで似ているわけではなかったり。
「……ごめんなさい。
今日はやめておくわ。」
「ん。だと思った。
京香、帰ってきたばっかだもんな。」
そう言いながら彩香は白い歯を見せて
笑いかけてきたの。
―――ふたりでちゃんと世話するから!!
そう言いながら2人で両親に頭を下げて、
ハピネスを飼い始めることになったのだけれど、
実際にはその世話のほぼ全てを
彩香に任せっきりになっている。
『京香はインドアだし、身体そんな強くないし
私がやるから気にしないでよ。』
彩香はいつもそう言って、
ハピネスの面倒を見てくれている。
それでも『ふたりで』という約束も
ちゃんと覚えていて、
こうやって毎日毎回ハピネスの散歩に行く時、
私に声を掛けてくれるの。
私も気分が良い時や疲れていない時は
一緒に着いていくのだけれど、、、
「ごめんね。彩香……。」
「気にしないで!
今日の京香、少し顔色良くないから。」
……ごめんなさい彩香。
これは、体調が悪いのではなくて、
テンションが上がっていないというか、、、
別の意味で気分が良くない、という感じかしら。
「気をつけてね。」
「ん。ありがと京香。
……んじゃ、行こっか! ハピネス!」
「アンアン!!!!」
彩香が声を掛けると、
ハピネスは彩香の後を着いて部屋を出て行った。
今までの言葉で
少し語弊があったのかもしれないけれど、
ハピネスはちゃんと彩香のことも
信頼して懐いている。
たいして世話してない私にも、
彩香の双子の姉、という事で
なにかしら似たものを感じ取って
懐いているに過ぎないのかもしれないわね。
彩香自身も動物に好かれる性質のようだし。
「ふ――――――。」
再び静かになった自室のベッドに仰向けになって、
大きく息を吐いた。
「あ、いけない。しわになっちゃう。」
なんとか身体を奮い起こし、
制服から部屋着へと着替える。
「…………うん。」
身体がリラックスしたからかしら。
少し気が楽になった気がする。
私はうつ伏せに姿勢を変えて、
ジュリエット学園の4巻を再び開いた。
「…………。」
ミオとリエト。
私の推しカプだった。
大会社の令嬢のミオと、地元の有力名家のリエト。
入学初日から些細な事で大喧嘩するも、
お互いが気になり、次第に惹かれていくふたり。
親同士が犬猿の仲なこともあり、
顔を合わせるたびにいがみ合いながら、
心はだんだん嘘が付けなくなって…………。
「…………………………。」
私はきっと、生徒会と風紀委員という、
なかなか相容れない学園内組織に
それぞれ所属する男女が
惹かれ合うというシチュエーションが当時は
恐ろしいくらいに私自身の嗜好に
はまってしまったのかしらと思っている。
男女性別では逆でも、
生徒会に所属する緋月君を見た時、
風紀委員に所属している私とセットで
その擬似シチュエーションに置き換えて、
自身の趣味嗜好に誘導されているような流れで、
私は緋月君のことを
『好き』と思い込んでしまった気がするの。
あの時の自分が本気で彼を好きだったことを
ハッキリと明確に否定は出来ないし、
今の私のこの考え方が正解かどうかも
実際わからないけれど。
確かに見た目、
落ち着いているように見えて
緋月君はミオのように破天荒な部分が
少なからずあり、恋人や友人たちを
時々自分の思うままの振る舞いで
振り回しているきらいさえある。
それでも、
よくよく見てみたり考えたりしてみると、
緋月君は私の思い描いていた
シチュエーションに相応しい人物とは程遠く、
柔らかい物腰も知的な佇まいも
総て彼の手によって作られ身に付けられた
よそ行きのお洒落着のようなものだと
わかってしまった。
ひとたびその服を脱いでみれば、
ただひたすらに宇都宮さんを中心に生きている
彼女最優先思考でしかなかったの。
そして、そんな緋月君が
一身に愛を注ぐ宇都宮さんを愛でる姿。
またその彼女が
盲目的に彼氏を暴力的に想い慕うその姿。
そんなふたりの姿を目の当たりにして、
私にとっては(鑑賞する上で)理想の恋人同士が
そこにあったの。
―――これは、このふたりは推せる……
推す以外にないわ!!!
そう。まるで物語の中の
ミオとリエトを見る目でしか、
私は緋月君と宇都宮さんを
見れなくなってしまったの……。
一度でもそう思ってしまった私は、
もう緋月君を恋愛的に意識する対象として
見ることが難しくなってしまった。
緋月君だけじゃない。
私にしたってそう。
リエトのように理知的に理性的に
振る舞えているかというとそうでもない。
私もどちらかというとミオに近いのかしら。
自分でもそんなつもりはなかったのだけれど、
私自身の好きなこと・したいことに忠実に、
私がわがままに振舞っているって、
とても身近で支えてくれている人に
言われてしまって。
……これでも私は規律正しい学園生活に憧れて
健陽高校に入学したし
(今はもう自由な校風になってしまったのだけれども)
自分を理知的に理性的に律し、
また他者の模範となり他者をあるべき規律に
導いていく風紀委員に入り、
当初の望み通りその頂点である委員長まで
昇りつめた。
しかし、
私の本質はそこまで大層なものではなかった。
口では偉そうなことを言っていても、
いつの間にか楽しいほうに流されてしまって……。
そんな口先だけの曖昧な私を、
いつも横で支えて律してくれる、
そんな存在にいつの間にか
頼りきっていたのではないかしら。
そう。ミオを支える、テルトのような……。
「………………………………………………!!」
私は気づいてしまった。
そして、気づくのが遅かったの。
あの日、気恥ずかしそうに
自分の気持ちを打ち明けてくれた
藍ちゃんと由美ちゃん。
ふたりの気持ちを聞かされたそのあと……
私は私自身の気持ちにも気づいてしまった…………。
私は。私は、
強くならなければ。
この気づいてしまった想いが、
気の迷いなのか本当のものなのかはまだわからない。
間に合う。
まだ間に合う。
この気持ちが、
私の中に芽生えてしまった、
彼に対するほのかで淡い想いが、
この先『やっぱり気の迷いだったね』って
自分自身笑いながら振り返れるように。
胸の奥底で握り潰して、
初めからなんにもなかったように。
そう思えるように、、、
私は、強くなりたい。
私は、強くならなければならない。
こんな気持ちになるなら、
こんな想いを持ってしまうなら、
藍ちゃんとも由美ちゃんとも
最初から仲良くならなければよかったのかしら。
「…………それは、違う。」
口に出して改めてそう思えた。
あんなに良い子たちと仲良くなれた縁を
否定する気には到底なれない。
だからこそ、私は海からの帰り道、
2人と一緒に帰ることを選んだんだし。
特に彼を好きすぎて泣き出してしまった
藍ちゃんを放っておくなんて出来なかったもの。
それにあの時
私は2人の恋を応援するって決めた。
あのふたりのうち、
どちらかしか選ばれないのだろうけれども、
きっと、どちらが選ばれても、
彼を大事にしてくれる。
私にとっても、きっと大切なんだろうって
思えるあの人のことを。
あの人が幸せになれるなら
きっと私も本望なのではないかしら。
「ふふっ。気持ちは私がテルトね……。」
愛するミオの幸せを願いつつ
彼女の傍で支え続けるテルト……。
そんな彼に私が感情移入しないはずがないの!!
(どちらが現実的に支えているかはさておいて。)
「…………ううっ。
そういう視点から見てもホント、
『ジュリ学』は名作ね……!!」
よし!
悩むのやめ!!
もっかい1巻のはじめから読み直そう!!
世知辛い現実から逃げよう!逃げ出そう!!
わたしはわたし。
あなたたちはあなたたちで
どうかよろしくやっていて欲しい。
私はあなたたちの幸せを願っているわ。
だから、、、
だからどうか……
私のことは放っておいて…………
―――いや、それもさびしいから
やっぱりたまには構って欲しい―――――
―――――♪♫♪♫
突如鳴り始めた私のスマートフォン。
表示を見ると、RAIN通話着信……。
着信相手の名前は――――――――
「――――――――――っっ!!!」
意を決して、画面をタップして応答した。
「……もっ、もしもし……?」
『あっ? 先輩? 無事に家に着きました??』
「あっ当たり前じゃない!
あなた私をいったいいくつだと
思ってるのよ! それも毎回毎回っ!」
『ハハハッ、すんません、、、
なんかオレ、いつもつい先輩のこと
心配になっちまって……www』
「――――もう……。
あなたホント過保護ね……。
でも、ありがとう。」
『お礼なんていらないッスよ!
オレ、先輩を支えるって決めてるんで!
てか今日の見回りん時の先輩、
なんかいつもよか元気なかった気がして……。』
「ふふっ。そんなの気のせいよ。
もしかしたら少し夏バテ気味だったのかも
しれないわね。。。」
これは、嘘だ。
あなたが、藍ちゃん由美ちゃんと3人で
アスレチックのある森林公園に出掛けるって話を
あなたの口から聞いてしまったからだわ。
夏の最後の思い出づくり、だったかしら。
その時その場であなたから私も誘われたけれど、
藍ちゃんと由美ちゃんの気持ちを知っている
この私がのこのこと着いていくことなんて
とても出来やしない。
「…………っ。」
気づいたら少し、涙が出そうになっていた。
……まいったなぁ。
私は強くなりたい。
もっと、もっと強くならなければ。
あの夜、海に叫んで自らに誓いを立てたように。
私は、強くなりたい。
私は私。
あなたたちは、あなたたち。
こんな自分でもはっきりしない、
曖昧な想いはまだ小さいうちに
胸の奥で握りつぶすの。
私は好きに出来ないけれども、
どうかあなたたちは
あなたたちの好きなように―――
『―――先輩? 鼻声っぽいすけど、
もしかして風邪気味ッスか??』
「……!!!」
し、しまった!!
彼に私が泣いてることなんて
悟られるわけにはいかない!
「ち、ちがうわよ、バカね。
ちょっと部屋の冷房が強すぎたみたい……。
除湿に切り替えようかと思っていたところなの。」
『なら良かったっす!!
もし先輩が風邪ならどうしようかって
思っちまいましたよ……!』
「……え?」
『いやね、もう夏休みも残りあと何日かしかないし、
もう風紀委員の見回りも今日で
最後だったじゃないすか……。』
「……ええ。そうね。」
『で、由美とか藍とかと夏の最後の
思い出作るって話で、あいつらはあいつらで
それとは別に、オレ、先輩とも
思い出作れたら、とか………………
お、思ったり、して………………。』
「………………………………………………え?」
『あっ、いやっ、めっ、迷惑だったらっ
全ッ然、断ってくれて、いいんすけど、、、
見回り以外で先輩と会ったのって、
花火とか海とかありましたけど、、、
なんつうのかな…………、、、
すんません上手く言えんく「続けて。」
しまった。
がっついてしまった……。
でも。でもでも!
さっきまで半泣きの泣きべそだったくせに、
今の私はもう、口元が緩みはじめている……。
『あっ、やっ、、なんつうんすかね……、
自分でもなんで先輩誘おうかって思ったのか
なんかよくわかんねーんすけど、
先輩、いつも委員長として
頑張ってるじゃないすか……。
それに、オレもいつも不甲斐なくて、
副委員長として頼りないのに、いつも
オレ、世話になってばかりで……、、、
だっ、だから、お礼っつーんすかね?
他の奴らナシで、気を遣わない感じで、
最後遊びに行けたら、、って……
いやでも、男と2人きりなんも
問題ある、、、よな……やっぱ「行くわ」
彼がスマホの向こうできっと
真っ赤になりながら私を誘ってくれているのが
目に浮かんでしまい、
彼の言葉を聞くことを最後まで我慢出来ずに
被せるように返答してしまったの。
『…………え? まっ、マジ、スか…………?』
「マジの大マジよ…………!!」
だらしなく緩みきってしまった口から
可能な限り抑えめのトーンで返事を返す。
『…………あっ、いやっ、
な、なんか、会話の流れで、ついつい、、、
おおお思いつきで、、、せっ、先輩を……っ
なんとなく、誘っちまったけど、
これって、デッ、デッ、デート「バカね」
なんの考えもなしに
ヒラメキで私を誘ってくれたのね。
おかしいと思ったのよ。
あなた、女性が得意なほうではなかったもの。
同じクラスの女生徒でも、
藍ちゃん、由美ちゃん、あと宇都宮さんくらいしか
普通に会話出来ないって言っていたものね。
そんな女性に苦手意識のあるあなたにとって、
私は数少ない気軽に話せる女生徒だもの。
ついつい、友達を誘う感覚で、
私に声を掛けてくれたのね。
事の重大さに少し気づき始めているようだけど、
でも、もう遅いわ。
「すごく嬉しいわっ。」
『あっ、いやっ、えっ?あっ……』
「ふふっ。大丈夫よ。ただ委員会の
委員長と副委員長が、親睦を深めるために
少しお出かけするだけでしょ?
こんなのデートでもなんでもないわ?」
『あっ、えっ、そ、そうっすかね…………?』
――――ごめんなさいね。
あなたたちはあなたたち。
私は私……。
この世知辛い世の中、私も少しだけ、
ほんの少しだけ、好きにさせてもらうわ……。
「でもね、ありがとう。
私、友達がほとんどいないから、
こういうお誘いがとても、嬉しくて……
だから本当にありがとう……!」
『あっ、そんなに喜んでくれるなら
なんだろ? オレも嬉しいっす……!
いやでも思いつきでホントまじすみません……。』
「バカね。いいのよ。
本当に嬉しいわ。ありがとう。」
―――とりあえず私は彼のことは、
そういう目で見てないかしら。
浜辺で3人でお話したあの日。
あの時はそう思っていた。
実のところ、もうすでに私の胸の奥底には
まだ形になっていないもやもやとしたものが
もしかしたらこの時は存在していたのかもしれない。
そのもやもやは今もう、
私の中でしっかりと形づくられている。
今思えば、あの時の私のその発言は
"嘘"、だったのだろう。
『―――――先輩?』
「……えっ?」
彼の声で、はっと我に返った。
『どうしたんすか?
なんか急に黙っちゃって……。
オレが、その、急に、誘っちゃったり、、、
したから困ってるとか……?』
「ふふっ。バカね。ほんとに。
何でもないから気にしなくていいわよ。」
あぶない。
かなりの後ろめたさはあるものの、
この機会を逃すわけにはいかないわ。
『そ、それなら良かったっす!
でもなんか気になることあったらマジ
遠慮しないで言ってくださいね!?』
「……ありがとう。
本当に嬉しいわ。」
大丈夫。
あなたたちの想いを邪魔する気なんて
さらさらないもの。
ただ、私だって少しくらい
楽しんだって、ばちは当たらないわよね。
「……さ。どこへ連れてって
くれるのかしら―――――」
階下で玄関の扉が開く音がした。
そして複数の足音が階段を昇ってくるのが
聞こえる。
コンコン
「京香ー? いるーー?? 入るよーー??」
自室の扉がノックされて、妹の彩香が私を呼んだ。
「はーーい!」
少し声を張って返事を返した。
ガチャ
「 アンアンッッッ♪」
ドアが開くと同時に、
彩香より先に愛犬である
ポメラニアンのハピネスが私の身体に
タックルと言わんばかりに飛びついて来た。
「へっへっへっへっ♡」
「あははおかえりハピネス~♪
どう? お散歩楽しかったかしら??」
愛犬のハピネスをもみくちゃに撫でながら
私は笑顔でこの愛らしいポメラニアンに
語りかける。
「…………良かった。」
「え?」
彩香の声に振り向くと、
私に暖かい眼差しを注いでいた。
「なんかもう、すっかり顔色いいから。
具合良くなったっぽいね!?」
私は笑顔を妹に返す。
「おかげさまで。
彩香、いつもありがとうね。」
「ん? あははっ!
んなん気にする必要ないでしょ!
ほら、そろそろご飯だってお母さん言ってたし。
下行こ?」
「ええ。」
私は『ジュリ学』を閉じて本棚に戻すと、
彩香とハピネスの後を追って部屋を出た。
今回はなんとか幕間に相応しい長さで
まとめることが出来ました。
しかし!
内容は幕間におさめるには相当に
切り込んだ内容になってますね……。
これ読まないと本編に支障をきたすレベルで……。
個人的に"幕間"って、読んでも読まなくても
その先の内容に特に支障をきたさないのが
条件だと思ってたんですけどね……。
ま、いいやw
てか、読んでもらうとわかるかもですけど
京香さんは双子の妹さん含めて家族から
もうデロッデロに甘やかされて
ここまで育ってきましたwww
口ではしおらしいことを言ってても
我慢する、ということをイマイチ知らない感じが
少しでも表現出来たらいいんですけどね~
あと、アレです。
作者は【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている】のトライアングルがけっこう好きなんですけど、
実は、推しがゆきのんでもガハマでもなくて
いろはすなんですよ…………!!
2期から急に選択肢に加わった1年後輩の!!
学年こそ違えども、そういった立ち位置のヒロインが
個人的に大好きでしてね。。。
だから少し京香さんびいきになってるのかもしれませんね。
さて、この撒いた種が
4章でどう芽吹くのか、作者自身も楽しみではあります。
最後に、もし少しでもいいなとか思っていただけましたら、いいねとか評価ポイントとかブックマーク登録とかして頂けると、
個人的にすごく励みになりますし、もっと他の方の目に止まって読んでもらえるかな、と思いますので、可能でしたらご協力をどうかよろしくお願い致します。
(2025/09/07)




