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幕間②:第泗拾壱話 Air

4章~最終章に突入する前に

いくつか幕間(まくあい)を用意させていただくことにしました。


まず最初は、一部で大人気な

あの2人のお話です。

2話構成にしてみましたが、前編の今回は

短編集みたいなテイストになっております。


お楽しみ頂けたら幸いです!

―――――――――――――――――――――――――


A!S!K!

@asuka04150622

20××の代 / #ロックしか勝たん / 旦那→@shinshin4925362

〇誕生日 20××年6月22日

■202×4月からXXを利用しています


18フォロー中 352フォロワー


―――――――――――――――――――――――――




……あー、、、

ついにスマホに手が伸びちまった。

XX(旧kwitter)の自分の裏垢のプロフを無意識に開いて、そこでハッと気が付いた。


ウチはため息をついて、部屋の時計を見る。


―――クッソ! もう19時かよ!!


つうことは、ウチはもう4時間も黙々と夏休みの課題をやってたっつーことかよ!


ちっと自分の集中力に感心しつつも、終了にはまだまだ遠い量が残っている。


ほんで、まだ残っている量を再確認して、やるせない気持ちで心が重くなった。


つうかよ、課題出しすぎなんじゃねぇのか?

ウチの学校よ!


夏休みも残り1週間もねぇし。

せめて最後の何日かは課題から解放されて、真司と思い切り遊びてぇもんな…………。


その真司もカノジョのウチを放ったらかしで、家族旅行なんかに行きやがって!


つってもおばあちゃんちの法事にウチが着いてく訳にもいかねぇもんな。我儘が過ぎたわ。


わかっちゃいるんだよ。わかっちゃ。


「あー……。真司に会いてぇな…………。」


アクアブルーにネイルした左手を電灯にかざして、指の隙間からあふれる光に目を細めた。




―――その時




ウチが右手で握っていたスマホが、聴きなれた着信音を歌い出した。


ハッとして液晶を見ると、RAIN通話着信―――




「~~真司じゃんんっっっ!!!」




嬉しさに思わず声が出ちまった!

ウチは秒で通話アイコンをタップする。


「しーんじぃ~~~~っ♡♡」


『――あっ、明日香? いま大丈夫?』


スマホ越しに愛しの彼氏の声がウチの耳にすべり込んで来た。


「いやっ! へーきへーきぜーんぜんへーき!!

ウチいま課題やってたとこだからさっ!」


『あー、夏休みの課題?

明日香まだ終わってなかったんだ?』


「へ? まさか真司……

アンタもしかして終わってんの??」


『や、全部じゃないけど、

も少しで、俺っちも終わる、と、思う。』


さすが真司!

さすがの要領の良さとソツのなさだな!


「真司が帰ってくる頃にはウチも

終わらしとくからよ!」


『てか、明日香しんどかったら俺っちの写す?』


「!!!!」


いやいや待て待てちっと待て。

ったく真司アンタどこまでウチに甘いんだ??


クッソ!

顔ニヤけるの不可避じゃん!!!


「え、あ、や……、そ、それは、

真司の頑張りに悪いっつーか、なんつーか……、」


一瞬迷ったりしつつ、思い直してみたりもする。


『んー……。まぁ、いつでも言ってね?

俺っち、明日香には いつでも喜んで欲しいから、

って、思ってると、思う……。』


「!!!!」


クッソ!!

照れながらのいつもの訳分からん語尾と調子とは言え、ウチの彼氏クッソ優しいな!おい!!


こんなん、【好き】があふれちまうじゃねーか!

どうしてくれんだよクッソ!!


『「しんじー? そろそろ飯だぞー! 」


……あっ父ちゃんいま行くー!


―――ごめん明日香、そろそろ戻るわ。。。

おとんに呼ばれちゃった……。』


「おっ、おう! ウチも真司と話せて嬉しかった!」


なんだよもう終わりかよ!

とはさすがに言えねぇ。


『んじゃ、あさってには帰る。と、思う。

そん時に、また。あとでRAINするわ。

んじゃ、明日香おやすみっ。』


「おうっ! 真司おやすーみっ♡」




でれどぅん!




RAIN通話が切れて、ウチはベッドに寝っ転がった。


―――あー、これもう今日やる気出ねーわw

つっか声聞いたら余計に会いたくなっちまったわ。

こりゃもう真司に会わねーとスイッチ入らねーwww


まー、でも、真司が課題写さしてくれるっつってもさぁ、ちったぁ自分でも進めとかないとカッコつかねぇってのはわかってんだけどさぁ。


ウチは再び時計を見た。


まだまだ夜はなげーし、さっきまで4時間やったし、しばらくゴロゴロすっかな。うん。


日付変わるころにやる気出てたらまたやるべ!


すぱっと割り切ったら気が楽になってきた!

ウチはまたまたスマホで、さっきまで見てた旧Kwitterの自分のアカウントを開いた。


SNSはウチ、だいたいOutstagram(アウスタ) がメインだけど、たいしたことねー独り言とか、情報収集とかで地味に旧Kwitterも使ってたりする。


こっちだと匿名だし、唯一リアルで繋がってる彼氏以外は誰もこれがウチのアカウントとかわかんねーだろうし気楽なんだよな~!


あ、自撮りの顔出しとか、個人情報とかは載せないように気をつけてるんで。

ネットリテラシーは生命線だからな。


「……………。」


そんな訳で、別に秘密にしてるわけじゃねーけど、彼氏絡みの更新とかついこっちがメインになってる感じだったりするわけよ。


「ウチが高校入ってから、だもんな。」


そう。このアカウントを創設したのは高校入学した節目でなんとなくだった。


ほんで無意識にするするーとスワイプし続けて、初めてのポストまでさかのぼってみた。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


あ。


17:35・202×/04/06 121回表示

○ ↹ ♡2 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


「ハハッww」


なんだよw

いっちゃん最初のポスト、『あ。』の一言かよwww

しかも無駄に句読点までつけてwwwwww

暇人かっつーのwwww


いやっwww 腹いてーわwwwwww


ふーー。

んで、次のポストが―――




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


FJKヨロ~☆


8:16・202×/04/08 257回表示

○ ↹ ♡6 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


くそわろwwwwwwwww

これ日付見たら入学式のやつだwwwwwwwwww

【ふぁーすとじぇいけい】、ね(わろ)


あんま覚えちゃいねーけど、体育館で入学式やったあと、貼りだされたクラス分け見て、「1組か」って教室行ったっけ。


同中(おなちゅう) は菱浦と宇都宮が同クラなの気づいてたけど挨拶とか特にしなかったな。


特に宇都宮とか、中学ん時の体育の護身術講座?みたいので柔道やったときに、ウチのことぶんぶん投げ飛ばしたもんな。


これでもウチ、家の方針で消防(小学生) ん時に空手やらされてたんだけど、ここまで一方的に女にやっつけられたの生まれて初めてだったから、ウチ的には割とトラウマでつい最近まで宇都宮に近づけなかった。


あんな可愛げのねーゴリラが、あんな女の顔するようになるとは、恋っつーのはやっぱ女を変えるもんなんだな。


「……………………。」


……他人(ひと) のこと言えんかったわ草




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


ウチに必要なんは協調性…………


13:09・202×/04/09 234回表示

○ ↹ ♡5 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


あーーー………………。


これ、隣の席の燕木(ツバメ) がやたらウチに話しかけるようになって、めっさうぜー!てなったけどガマンして、クラスメイトと仲良くせな!て思った時のポストだ確か。


ま、どうでもええわ今となっては。


しっかしこうやって自分の過去ポスト遡ってると、なんかここ数ヶ月の新高校生活を振り返ってるぽくなって、なんだか楽しくなってきちまったw


次いこ次!




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


くそわろw

プロポーズかよwww


11:24・202×/04/10 314回表示

○ ↹ ♡1 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


「ヒャハッw あん時の宇都宮だこれwww」


高校3日目での委員会決めで、学級委員になった宇都宮があまりにキョドってて、思わずガヤった時のやつだwwwwww


『ふつつか物ですが、よろしくお願いします!』


とかウチらに言ってたけど、実際言うべき相手は本当は横にいたっていうオチな~ww


んまぁ、こん時ゃ、

ウチもあいつらがあんななるとか思わんかったもんな。


それ言ったら、ウチだってそうだ。


まさか、まさかウチが、、、

ウチが真司と付き合うとかな―――――




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


親睦会クッソあがるわ!

1組最高じゃね?

やっべ。クッソ楽しいわ!!!


18:53・202×/04/2× 337回表示

○ ↹ ♡4 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


「ンッフフッ」


おっと。

思わず笑っちまった。


部屋に1人っきりでよかったわ。


でもよ、マジでこの親睦会、楽しかったんだって!


ちょいちょいつるむようになった同クラのギャルたちとか、たまにイキってるサッカー部のヤローとかではしゃぎまくってよ!

この日からウチらグループでつるむようになったもんな。


……まァ、燕木(ツバメ)はちょいちょい馴れ馴れしくてウザかったけどよ。


あとあれだ!

和泉のクッソヘッタクソな歌と、緋月のとんでもなくうめぇ歌の対比っつーの?


笑いすぎてガチで腹が筋肉痛になったもんよw


まァ、この日からウチらとか緋月たちとか、他にもグループが確定した感はあったよな。


マジでいいクラスだって思ったもんよ。


誰かをバカにしたり下に見たりとかキショい空気もウチらのクラスにはなかったし。


……一部を除いては、なんだけどな。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


ウチ、アルバイト始めます!!


16:41・202×/05/1× 292回表示

○ ↹ ♡3 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


「あ」


この日はわりとウチにとってターニングポイント的な日だったわ。


ウチはわりとギャルが好きで、そんな服とかメイクとかしてっけど、聴いてる曲とかはむちゃハードロックとかそういうのばっかでさ、『Led Jeppelin』とか『Aerosmithing』とかもうガッチガチに好きで、ガチで厨房(中学生)ン頃からしょっちゅうそんなんばっか聴いてたのよ。


おとんがロック好きだったのもあったんだけど、よくおとんと2人で地元のライブハウスのHEATHとかも行ったりしてた。ほんでたまに大宮とかのライブハウスとかのインディーズのライブとか観に行ってたりした。


ほんで、5月のとある日、今月はどんなライブやるのかな~って、演奏予定をHEATHのホームページでチェックしようとスマホを開いたのよ。


そしたら運命。

まぢ運命。


ウチの目に飛び込んできたその1番最後に書かれていた文章に、ウチの脳と呼吸は止まった。




【学生アルバイト募集中】




『うわぁぁぁぁ!!!!!』


いやホント衝撃だった。


アルバイト募集してんの?

地元のライブハウスが??


気づいたら電話してた。

秒で。


『んー。とりあえず履歴書書いて

明日持ってきてくれるかな?』


スマホの向こうから優しげなおっさんの声がして、トントン拍子で面接が決まった。


『イヨォォォォォしっっ!!!』


ウチは自分の部屋てぴょんこぴょんこ飛び跳ねて喜んだの覚えてる。


んで、次の日の約束の時間に、派手すぎないパンキッシュな格好でHEATHを訪れたんさ。


『……ちわーーー…………。』


恐る恐る扉を開けてエントランスに入った。


この日は特に公演予定が入ってない谷間スケジュールの日だったからか、薄暗いエントランスはがらんとしてた。


まァ、谷間だったから面接の予定が入ったんかね。


『あれ? お客さん?

え、えっと、今日は誰もLIVE予定ないですけど?

……と、思います……。』


『へっ? あっ、はぁ。』


声かけられるまで、エントランスの床にモップをかけてた兄ちゃんに気づかなかった。


その兄ちゃんは、地味にドギツいモノトーンゼブラ柄のパーカーをゆるっと着ていて、下はダメージデニムで皮のブーツを履いていた。


髪の毛は真っ黒だったけど、ツンツンに立てていて、無気力そうにチュッパチャ〇スを舐めていた。


『いや、ウチ、バイト希望で面接来たんだけど。』


『あぁ、そうなんですね。』


その兄ちゃんがひょいっと顔を上げたので、ウチと兄ちゃんは目が合った。


見た目ウチとたいして年齢変わらなくね?

タッパもウチとおんなじくらいだしよ。

幼い顔立ち?だけど整えられた細眉と、少し眠そうな目が人懐っこい感じがして、なんて言うの?


ウチ的には、アリだった。

(いや、なんでそん時そう思ったかわかんねけどw)


『は? え?! ええっ??』


『??』


ウチの顔を見るなり、兄ちゃんが少しキョドりだした。


『あっ、面接!でしたね!

叔父さん呼んでく、来ますんで、

少し待ってて下さいね!

すぐ来ます!と、思う!!』


なになに?

ウチのあまりの可愛さにやられちゃったんかねw

実際ちと気合い入れてメイクとかもして来たから、あんな反応とかして貰えるとやっぱ少しアガるものがあった。


―――なんて、そんなことそん時は考えてた。


ほんでものの数十秒で金髪のロン毛を束ねたグラサンのナイスミドルなおっさんが出てきた。

無精髭に見えて、実は整えられていて、少し()けた細身の顔が不思議な清潔感を出していた。


『こんちは! ウチでバイト希望の大島さんだね?

ここの代表というか館長(オーナー)の相原です。

早速だけど面接させてもらうね。

ここじゃなんだから事務所にいいかな?』


『あっ、はいっ!』


やっべ。

バイトとか初めてだから急に緊張しちまった。


『んじゃ真司! ちょっと頼むわ。』


『えっ? あっ、う、うん……。』


バイト?に声をかけてから相原さんはウチをこじんまりとした事務所に案内してくれた。


『いやー、アルバイト募集ってホームページに

載せた直後に電話来るとは思わなかったから

びっくりしたよー。』


向かいあわせのソファに座った相原さんがニコニコしながらウチの履歴書に目を通していた。


『……どうぞ。』


『あっ、あざす。』


さっきのバイトの兄ちゃんが、テーブルの上にコーヒーを用意してくれた。


カップを手に取りながら、チラッと兄ちゃんを見てみると、明らかに兄ちゃんはウチを避けるような姿勢を取りつつ事務所から出ていった。




―――んだコイツ? ウチが可愛いからって

照れてんのか? いや、そんな感じじゃねーな…。

つうかよ、その態度ちと失礼じゃねーか?




そんなことを思っていたら―――


『えっ? 大島さん、高校生??』


『えっ、あっ、はい! 高校1年ッス!』


ウチの履歴書を見ていた相原さんの大きめの声にびっくりしつつ反射的に返事した。


『――いやー、マジかー…………。』


『えっと、学生、しか書いてなかった、ッスよね?

ぼ、募集枠に……。』


そこら辺はウチもちゃんとチェックしてる。

何歳からとか特になくて、ただ【学生アルバイト募集】としか書いてなかった。


『いやぁ、年齢制限入れるの忘れてたか~~。

あっゴメンねこっちのミスなんだけどさ、

HEATH(うち)はお酒も提供するし、

0時まで開いてるからさぁ…………。』


なるほどな。

そりゃー、高校生にゃあんまふさわしくねーかもな。


でもなー、ウチ、ライブハウスでバイト出来るかもって思ってたからめっちゃ嬉しくて舞い上がっちまってたんだよな。


ここで「はぁそうだったんすね」とか言っちまったら1発でバイト採用がポシャるのが明らかなのはさすがにウチでもわかったので、イチかバチか少しゴネてみることにしたんさ。


『いっ、いや、でも、なんつうか、、、

さっきのバイト君も高校生っすよね……?』


ほぼ思いつきだったんだけどよ、あのツンツン頭の失礼な態度した兄ちゃんを引き合いに出してみた。


もしあの童顔で背の低い兄ちゃんが大学生だったり成人してたりしてたらジ・エンドなんだけどよ。


『…………っ』


―――お?


どうやらあの兄ちゃんもやっぱ見た目通り高校生だったてか?

相原さんは、ばつが悪そうに顔をしかめた。


『…………んー。

アイツ、いや真司は実は俺の甥っ子でね……。』


『へっ?』


気まずそうに後ろ頭をかきながら、相原さんが答えた。


なるほどねぇ。

オーナーの身内だったっつーわけか。


クッソ。

それなら高校生(ガキ)がここで働いててもおかしな話ではないかもしれねえな………。


『…………。』


―――やっぱダメか。


ウチはうつむいてしまった。


そして、オーナーがため息まじりに口を開いた。


『…………まァ、こちらのミスもあるし、

身内贔屓(びいき)で採用不採用とかも

なんか感じ悪いし、、、

……引き続き深夜枠も募集するとして、、、

そうだな。週3か4で、真司のいない日に

大島さん、5時半から9時半まで出来る?』


『…………え?』


想定外なオーナーの言葉に、ウチは思わず顔を上げた。


『あ、でも親御さんの承諾書は

ちゃんと書いてもらってね。

セクハラじゃないけど、大島さん可愛いから

雑用とか清掃だけじゃなくて

カウンターとか表の仕事もしてもらおうかな。

あぁ、お酒には触らせないからね(笑)』


言いながらオーナーがサングラスを外して、めっちゃ笑顔をウチに浴びせかけてきた。


『~~!! はいっ!!!!

よろしくお願いしますっっっ!!!!!

ウチ、めちゃめちゃ死ぬほど頑張りますっ!!!』


『アッハハっ! 元気なのが1番だね!!

んじゃ~、大島さん採用決定!!

てなわけで早速契約の話させてもらおうかな。』


え? え? マヂで? ホントに???

ウチが採用??

クッソ! 死ぬほど嬉しいっ!!!!


ウチもオーナーに負けないくらいのめっちゃ笑顔だったと思う。


こうしてこの日、ウチのアルバイト先が決まった。


もうね、しつこいけどめっちゃ嬉しかったよね!!


大好きなロックに浸かった場所で働けるとかさ、いやもう信じらんねーくらいヤバいっつーか、アガるっつーかさ!!


帰り道とか大声で『Ralph』歌いながらチャリ漕いだもんよw


っていうか後から思うに、ホントにHEATHで働けることになったのが、ちと大げさかもだけどウチにとってはマヂ人生を左右するくらいの大幸運だったんだけどな。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


バイト初日ぃ♪

マヂテンションアゲアゲで行くしか☆


17:05・202×/05/1× 464回表示

○ ↹ ♡5 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


「あ―――///」


クッソ。

この日のこと思い出して少しニヤけたw


ウチが初出勤の日。

つまりウチのアルバイト初日だったんさ。

日曜日だからか、いきなり3組も出演予定が組まれていて正直めたくそに忙しかった日だったのよ。


つか、ぶっちゃけとにかく夢中でよくわからないままに1日終わったって感じだった。


仕事内容的には受付でチケットチェックしたり、時間帯や出演バンドごとにお客さん仕分けたり、合間に出演者さんのスケジュール管理したりと、そんなに難しいことじゃなかったんだけどよ、ホラ、初日だから勝手がわからんくてよ、、、


正直むちゃくちゃテンパったわけよ。


しかもそんなカンジでこっちに余裕ない時によ、、、


『あれっ? お姉さん新人さん? 可愛いね!

仕事終わったら遊び行かない?』

『えっ、君 アルバイト?

連絡先教えてよ!』


『えっと……、、、アッハハ~……。。。』


街中でナンパとかたまにされるし、そういうのに慣れてなかったわけじゃねぇんだけどよ。

なんつうの? 仕事中に声かけられる経験とかはなかったもんで、どの対応が正解なのかちとわからんくて戸惑っちまったワケよ。


『……すみません。

俺っちたち仕事中ですし、まだ学生ですんで

そういうのご遠慮願います。と、思います。』


でも、ウチが声かけられるたびに、バイトの先輩の兄ちゃんが間に入ってくれて、適当にいなしてくれたんさ!


『はァ? てめーに言ってねーし!』


『それでもすみません。

今夜は音楽で楽しんで笑顔になってください。

って、思ってます。

そろそろ開場ですんで、こちらへどうぞ。』


同じ高校生枠だし、この兄ちゃんとウチは日によって交代で入るシフトになるって話だったんだけどよ、ウチが初日っつーことで、今日一緒のシフトで入ってくれて色々教えてくれてたんさ。


今日の兄ちゃんは真っ赤なカンフーシャツみたいなジャージをロック風に着こなして、深々と黒いニューエラをかぶっていた。


あまりに目深くかぶってるもんで、面接の日にチラッと見た可愛い顔がほとんど見えんかった。


つうかよ、、、

ウチ、ギャルメイクでイキって、カッコも好き放題な感じなんだけどよ、、、なんつうの?

男とあんまつるんだことねーんだよね実は。


だって仕方なくね?

ウチまだ15だし! そういうのよくわかんねーし!

ただ自分でイケてる!ってナリしてアガってただけだし!!


厨房ん時とかイキってる同クラのヤローから「付き合おうぜ!」みたいに言われたりしたこともさ、そりゃこんな見た目だしちょくちょくあったけどさ。


でもよ! ウチは別に男を釣りたくてギャルやってるワケじゃねーし!

勝手に釣られてるてめーらが悪いんじゃねーの?


あー!

こん時いろいろこんなことゴチャゴチャ考えてたけどよ、つまりウチは恋愛経験とか乏しくてオマケにこんな風に異性に護ってもらったことも初めてだったんさ!!


『あ、せ、先輩、その、、、さっサンキュ……。』


『いっいや、大したことしてないです、と思う。

ね、ネットで見た対策マニュアルの言葉

まんまでしたし……。』


先輩が照れ隠しなのか深くニューエラを被り直した。


え。事前に対策してくれてたってことか??

ウチのために????


つか、先輩の名前なんつったっけ?

オーナーの甥っ子ってことは苗字は相原?だっけ?

下の名前は真也だっけ?真一だっけ?


恥ずかしい話だけどよ、ウチ、人の名前覚えるの苦手なんだわ…………。


客対応とかめっちゃこなれてる感じすっけど、高校生っつっても先輩、さすがにウチより歳上だろ……。

2年生なんかな? 3年生だったり?


童顔先輩かぁ。悪くねぇな。


……って、何が悪くねぇんだ!

ウチ何考えてんだ!


『あっ。ここはもう大丈夫ですから、

上にあがって松山さんと照明やってもらっても

いいですか?』


『えっ』


ぽやんと物思いにふけっていたウチに、先輩が声をかけて来た。


『初日からこんなにタイトな日だけど

大島さんが頑張ってくれてて俺っち的にも

少し楽です。と、思う。

んじゃ、もうちょっと頑張りましょ。』


言いながら先輩はウチを2階通用口に連れてくと、受付カウンターへと向かっていった。


ウチはただその後ろ姿を見送ることしか、この時出来んかった。


ほんでぼんやりと、先輩が被ってたニューエラ、ウチが推してるバンドの物販のやつじゃん!とか今更ながらそんなこと思い出していた。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


WIN-HAZARD.

……まぢかよ。。。


16:51・202×/05/1× 413回表示

○ ↹ ♡7 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


もともとさ、ウチが勝手に2年生か3年生の歳上だと思ってたっつーのもあんだけどよ。


見た目わりとロックなくせに話すと敬語でキョドる陰キャっぽい感じとかよく考えたらしっくり来るんだよな。


めたくそバイトが忙しかった日曜日明けの学校。

さすがにバカで名前覚えらんないウチでもわかったわ。


先輩って同学年、しかも同クラだったのかよ!!


『相原』って苗字もたまたま被ってるだけだと思ってたし、アイツ学校だと前髪下ろして目を隠してて見るからに『陰キャ』!!ってキャラだったからよ、パッと見じゃ、先輩=相原 だってわかんなかったっつーの!


『んじゃな、相原。』

『おう。またな和泉。』


帰りのホームルームが終わって、放課後になった瞬間、同中出身のヤンキーが前の席のヤツに挨拶したあと、帰ろうとした矢先に元気娘と小悪魔に取り囲まれてた。


いつも通りのその風景に目もくれずに、()()()はリュックを背負って、帰るために教室の後ろの扉に向かってたんだよな。


『!!』


でも、()()()が後ろの扉から廊下に出るには、ウチの机の横を通らなきゃなんねーんだわ。


それに気付いた()()()は、くるっとウチに背を向けて引き返し始めて、前の扉からわざわざ遠回りで廊下に出てったんさ。


(あ? んだアイツ失礼なヤツだな。)


そん時はそう思った。

確かに陰キャからしたらギャルは怖いかもしれねーな。

でもよ、なかなかに失礼なヤツじゃねーか。

ウチの繊細な乙女心がピリッと傷ついちまうぜ。


(???)


そんなウチの目に、()()()が背負ってるリュックに付けられてる缶バッジが映った。


―――WIN-HAZARD…!!?? かよ????


ウチが推してるバンド名が黒地のバッジに黄金の色であしらってあった。


(!!!!)


あれ、確かライブで物販を5000円以上買うと貰えるノベルティじゃねーか!!

ウチも3個くらい持ってるやつだ!!!!


やっべ、アイツ相原だっけ?

ウィハザ好きなんかな!!!

てーことはウィハザ話、アイツと出来っかな?

コイツはちとテンション上がるかも!


とか思ってウチは思わず相原を追いかけようとした。


……いや、ちと待てよ?


ウチ、つい昨日もWIN-HAZARDのグッズ見たよな……。


そうだそうだ。

相原オーナーの甥っ子だっつー先輩が、WIN-HAZARDのニューエラ被ってなかったっけ……。


無意識にぴたっ、と立ち止まって考え込む。


ウィハザのニューエラと缶バッジ。

相原オーナーの甥っ子と同クラの相原……。


なんかもやもやとした断片的ないくつかのピースが、頭ん中でひとつにまとまろうとしてたその時―――


『大島っ! 俺らの部活終わったあと

グループみんなでカラオケ行かん??』


隣の席の燕木(ツバメ)が満面の笑顔でウチの背中をパーンと叩いてきて、ウチの思考は停止させられた。

瞬間的にウチは思わずイラッとしてしまった。


『―――あ? 行かねーよ!

つか今日バイトだし。』


ウチは燕木(ツバメ)と目も合わさず、カバンを背負って席を離れようとした。


『…………は? バイト? いつの間に? どこで?』


ウザ男が食い下がってきたけど、ウチは無視して廊下に向かった。


『……おい、待てよ!』


コイツもともと短気なとこあんだけどよ、今回も少しイラついた感じで背後からウチの肩を掴んできた。


『―――――ッッッ!!!』


あまりのウザさにウチの頭に血が上った。


実際、あと2秒遅かったら、手が出てた自信あるわ。


『……つっ燕木君、なんか向こうで燕木君を

呼んでる人いるけど……。

サッカー部の人じゃないですか?と、思う。』


『『!!??』』


声がしたほうを振り返ると、さっきウチを避けた陰キャが廊下から、燕木(ツバメ)に声をかけたようだった。


『は? やっべ! そういや俺、

三浦先輩に部活前に部室に来いって、

呼ばれてたんだったわ……!』


ウザ男が慌てながらカバンを片手に廊下へ小走りし始めた。


『!?

どけよ邪魔すんな陰キャ!』

『……っ』


(はァ!!!???)


この腐れウザ男はこともあろうに、自分が呼ばれてるっつーことを親切に教えてくれた陰キャを、目の前にいて邪魔だっつー自分勝手な理由で突き飛ばしやがった。


いやいやいやいや。

コイツの頭ん中どーなってんのよ!

こういう自己中唯我独尊なヤツ、まぢムリだわ!


……いや、ウザ男はどーでもええわ。

せめてウチから陰キャにひと言詫び入れとかねーと!


―――――なーんてことを、ウチは考えてたんさ。




『!!!!!!??????』




燕木(ツバメ)に軽く突き飛ばされた相原がバランスを崩した拍子に、普段前髪で隠れていた相原の目がウチの前にあらわになった。


確かに一瞬、つかほんの1秒にも満たない時間だったとは思う。


そんでもさすがに見間違えるはずはねぇ。


『せ、先輩…………??』


『………………………………………………はい。』


バツが悪そうに背を向けた先輩が言葉を返してきた。


ジーザス。

口もとが少しゆるんじまったウチは、自分の体温が軽く上昇していたことに、こん時は気付いちゃいなかったんさ。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


先輩、同クラだったのかよ草

いやマヂでびびったわ!

んでもめっちゃいいヤツなの知ってるし

ウィハザ話とか出来るのバチクソ嬉しいし!

どちゃくそアガったのはここだけの話なw


21:59・202×/05/1× 383回表示

○ ↹ ♡4 □ ⇧

―――――――――――――――――――――――――


……ウチにしては珍しく、同じ日に2回目のポスト更新した日だ。


だってよ、やっぱ衝撃だったもんよ……。


つか、なんで言ってくれねーんだよ。

ウチそんなに怖いか?

もしか実は嫌われてたり????


そんなこと思いながらちょいヘコんで立ちすくんでたウチに、相原が申し訳なさそうに声をかけてきた。


『あっ、あのっ、大島さん……。

いや俺っち、隠してるつもりとか

黙っとくつもりとかじゃなくてですね……。』


あ? とか思って顔を上げて相原を見てみたら、なんかすごく本当にすまなさそうな顔をしてた。


そんな相原を見て、ふとなんか理由があったんじゃねーのかって、そん時思ったんだよな。


『…………教室(ここ)じゃなんだからよ、

ちと場所変えてーんだけど、

アンタ時間ある?』


『えっ? あっ、ある!と、思う……。』


『は? どっちなんだよ。』


『あるある!時間あります!

俺っち部活やめちゃったんで。』


なんだよ。

速攻柔道部辞めたウチと同じクチかよ。


もともと柔道なんざやる気なかったけどよ、最初はどっかに所属しなきゃいけねー言うから仕方なく入部しただけだしな。


『オケ。アディオのヨンマルク行こうぜ。』


『えええっ????』


ウチの提案を聞いた相原がまた慌てだした。


『……? なんだよ。不満かよ。』


『やっ、そのっ、ちがっ、ちがくて!

俺っち、女子と2人でっての今までなかった、

と思って……!

お、大島さんは俺っちと歩くの

嫌じゃないんですか???』


『はァ?』


こいつはまた、えらく自己肯定感の低いヤローだな。

いったい今までどんな学校生活してやがったんだ?


『んなん気にする必要ねーって。

ホラ行くぞ。』


ウチから見たらコイツそんなに見た目悪くねーんだけどな。


陰キャくせえ髪型だからかね。

卑屈さが余計際立ってる感じじゃねえかな。




ま、そんな感じで2人してチャリンコで移動してアディオ2階のヨンマルクカフェに入ったんさ。


お互いブレンドとチョコクロの組み合わせをそれぞれオーダーして、テーブルに着いた。


自然と息をするようにソファー側をウチに譲って、相原はイスに腰掛けたのを見て、ウチはまた地味に相原に感心してた。


『―――んで?

自分のこと黙ってたワケを聞こうじゃねーの。』


『あっ、はい……。』


ウチはコーヒーをブラックのままひとくち口に運んだあと、相原に釈明を促した。


つってもよ。

ウチ別に腹立ててる訳じゃねーし、どっちかっつーとわりと相原のこと好印象なんだよな。


そりゃー、同じクラスだったのによ、バイト先も同じになった時に挨拶くらい欲しかったし、そんなんひとこともなかった事にはやっぱイラッと来た。


そんなにウチと学校じゃ関わりたくねーんかな?とか思っちまったしよ……。


そんでも、丁寧にバイト先で作業教えてくれたり、ウゼェ男客からスマートにウチをかばってくれたり、同じバンドを推してるっぽかったり、さっきの学校でもウザ男(ツバメ)をそれとなく遠ざけてくれたりしたしよ。


キョドってる陰キャのくせに、いちいちやる事が地味にスマートなんだよなコイツ。


『いっ、いやっ、叔父さんのライブハウスに

大島さんが面接に来た時に、俺っち、

あ、大島さんだ、って気付いたんですけど……。』


『ほう。んで?』


頑張って話し始めた相原を尋問してるみてーな返事しちまった。

いや、そんなつもりはねーんだけどよ……。


『で、でも、俺っち、ホラこんな陰キャだし、

女子と話したこととかほとんどなくて、、

どう話したらいいかっていうか、

俺っち同じクラスの相原だよって

どう切り出したらいいかわかんなかったというか

きっかけとか全然掴めなくて、、、

すっ、すみませんでした!!』


言い切ったと同時に、相原はテーブルに頭を付けて謝罪し始めやがった!


『バッ、バカっ! 顔上げろっ!!』


ウチもキョドりながら、慌てて相原の顔を上げさせようとした。


『あっ、やっ、そっ、そしたらっ、

もうどのタイミングでっ、俺っちが

俺っちって言っていいのかっ、

わからなくなってしまってっ……!

べべべ別に大島さんが嫌いとか苦手とか

そういうんじゃなくてほんとごめんなさい!!』


突っ伏したまま相原はまくし立てた。


なるほどねぇ。

思ったよりクソしょーもねぇ理由だったけどよw


まぁでもウチには理解出来ねーけど、陰キャ的にはギャルと絡むとかなかなかハードル高いっつーもんな。


確かにウチはみんなから"ギャル子"とか呼ばれてっけどよ、純粋培養ギャルとはちと違う気もすんだよな……。


ただギャルギャルしたファッションとかメイクとかがウチの好みにバチクソストライクってだけで、口調とかどっちかっつーとヤンキーぽくねぇか?


まぁんなこた、どーでもええわ。


『相原。ウチ、まぢで全ッ然怒ってねーから

いい加減顔上げてくんね?』


ウチはテーブルに両手で頬杖ついたまま、相原に声をかけた。


『……あっ、ハイ。』


おずおずと相原が顔を上げた。




『つまりなんつーか、言い方失礼だったら

ガチで勘弁してほしーんだけどよ、

相原は陰キャでコミュ障だから、ウチに気後れして

最初言えんくてそのままズルズルここまで来て

そのうちバレるのわかってても、もう自分からじゃ

どーしよーもなくて、でもバ先じゃウチを

避けるの不可能だからせめて学校では距離置いて

発覚を先送りしてた、ってことでオケ?』




ゆっくり自分の頭の中を整理しながら、出来る限り相原の側に立って状況説明してみた。


ンまぁ、間違ってっかもしんねえけどよ。


『……えっ? うっ、うん……。そんな感じ……

だと、思います……!

ってか大島さんすごいですね!

なっ、なんでそんなしっかり理解して……

るんです……か?

いやすごいほんとすごい!

頭の回転良すぎますよ!と、思います!!』


『……え?』


マ?


そりゃー、適当ってわけじゃなくて、ある程度マジメに考えながらだったけどよ、、、


突然褒め言葉の不意打ち食らっちまって、ウチもキョドりが伝染しちまった。




『いや、でも、俺っち本当に失礼でした……。

大島さん、こんな言い方ごめんなさい、見た目が

すごく派手で住む世界とか俺っちと全然違うし

こっ、言葉遣い乱暴なとこあって、、、

でっ、でもっ! すごくいい人なんだろうなってのは

中身は優しくていい人なんだろうなってのは

なっ、なんとなくわかってたんですけど、、、

こっ、こんな陰キャな俺っちなんがが

どう接していいのかわからなくて、、、

だからHEATH初日に挨拶とかも出来なくて、

おっ、大島さんに、結局、

不快な思いさしてしまって、、、

ほっ、本当にごめんなさい…………。』




相原がゆっくりと噛み締めるように語りだして来たので、ウチは途中で口を挟まずに、相原が言いたいことを言い終わるまでじっくりと聞いた。


そして相原は最後にまた謝罪して、再び頭を下げ始めた。


『もう、わかってっからよ、

いちいち謝んな。』


『―――ってっ!!??』


ゆっくり話を聞いてるうちに、どうせコイツまた最後に頭下げるんだろーなって予想出来ちまってたんで、相原が頭を下げるより速く、ウチは相原の額とテーブルの間に握りこぶしをすべり込ませた。


空手経験者特有の真っ平らになったウチの拳頭が、ゴチンと相原のおでこにぶつかった。


一瞬何が起きたか理解出来んくて、おでこに手を当てながら起き上がった相原の目は、自分の手によって髪がかきあげられていて、いつものように隠れておらずウチにもしっかり見えた。


『ふふっ。わりーわりー。

つか、そんなに痛くねーだろ。』


『へっ? あっ、えっ??』


クッソ。

明るいとこで見るコイツの目、やっぱ可愛いじゃねーか。


ちょいたれ気味だけど くりっくりで、まだビックリしてんのか、前に見た少し眠たげな感じと違ってパチパチ瞬き連発しててよ。


あとそうそう。

ウチ、コイツの眉毛の整え方好きなんだよな。

細いんだけど細すぎず、剃り残しとは全然違う、クッキリじゃなくて上下のうぶ毛?みたいのも上手く活かしてて、ナチュラルなのに上手く手入れされてるっつーか、、、


クッソ、上手く言えねーわ。。。


『……っていうか、大島さん……。

き、今日はHEATH、休館日ですよ…………?』


『はァ? んなん知ってっし!』


毎週月曜日は、定休日で休館だってのはさすがに把握してるっつーの。


さっき燕木(ツバメ)からの誘いを断る口実にバイトがあるっつったことを当てこすってやがんだろーな。


ウチ、そういうの嫌いじゃねーぜw


『つっかホントに燕木(ツバメ)のこと、

呼んでるヤツいたのかよ?』


『……どうでしたっけ?

忘れちゃいました。と、思うw』


『ハハッ!』


やっべ、なにこれ?

コイツこんな面白ぇーヤツだったのかよ!?


てかウチ的に初めてマトモな男友達が出来た感じすらしてきたわ。


『てゆっかよ、ウチのナリが派手?みたいな感じで

近づきづらいみてーなこと言ってたけどよ、

ウチからしたら相原の私服、かなりいい意味で

キてると思ってんだけど。自信持てよ。』


『いや、アレは俺っち自分で

好きな格好してるだけだと、思うし……。』


『そのセンスがイケてるっつってんだよ!』


『えっ、そっ、そうかなっ……?』


相原がふにゃっと顔を崩した。

クッソ。目が隠れてるのがマヂもったいねぇ。


あ、そうだ。


『……相原よぅ。

確かにウチ、怒っちゃいねぇけどよ、

やっぱ自分隠してダンマリだったのはちと

ウチとしてもけっこう複雑だったんだわ。』


『あっ、う、うん……。

そうですよね。俺っちもそう思う。』


『だからよ! 詫びにウチのお願い

いっこだけ聞いてくんね??』


『……ええええっ????』


相原がキョドりながら慌てだした。


『んな心配することじゃねーよ。

めっさカンタンなことだからよ!』


『…………き、聞いてから考えても、

いいですか?』


随分と慎重じゃねぇか。

そういうの悪くないぜ。


『ウチの前でだけ、前髪上げて

顔出してくんね??』


『はっ??』


『今からじゃなくていいからよ。

そのうち、キンキンで頼むわ。

ウチ、もっと相原と仲良くなりてーからよ。』


『えっ……………………///』


やっべ。

相原が赤くなってうつむいちまった。

ウチもちと調子に乗りすぎて前のめりになりすぎちまったか???


釣られてウチまで顔が熱くなってきちまった……。


『……そ、そういやよ、

相原も"WIN-HAZARD"好きなんだな!

ニューエラとか缶バッジとかで

気付いたんだけどよ!』


慌てて話題を変えてしまった。

つってもウチにとっちゃ、こっちが本命なとこもあんたけどよ。


するとみるみる相原の顔が輝き出した。




『えっ?えっ?おっ大島さんもウィハザ聴くんだ?

やっべ嬉しい!俺っちの周りで初めてかも!

AKIRAくんのヴォーカルマジで半端ないの

俺っち的には外せないと思うんだけど、

RYOくんのギターマジでヤバくない?

っていうか大島さんどの楽曲が好き?

俺っちは"sunrise"がピカイチなんだけど、

たまにしっとりとした"Beauty Honey"みたいな

バラードもさ、俺っち的にすんごく

やばいというかなんというかさ!

しかもこの曲、歌詞が"biburionn"と

世界観シンクロしててさ、同じワードとか

出てきた時鳥肌立ちまくっちゃってさ!!

「僕」と「あなた」があんなすれ違ってたっぽいのに

ちゃんと繋がれたんだなってわかった時は

俺っちも……う…………………………』




と、ここまで一気にまくし立てた相原が我に返り、またみるみるうちに赤面し始めた。


『なんだよw もっと聞かせてくれよwww』


『あっ、いやっ、そのっ、なんていうか、、、

一方的に熱くなってご、ごめんなさい……。』


ハハッ。

見た目オタクだなとは思ったけどよ、そっち方面のオタだったってわけかよ。


ウチはオタクとかそういうのまぢで全然気になんねーけどよ、それがウチの好きなジャンルのとか最高じゃねーか!


『気にすんなよ! ウチの知らんウィハザのこと、

相原は いっぱい知ってんだな!

もっともっと聞かせてくれてかまわねーんだぜ?』


『……えっ、引いてないんです、か??』


『全ッ然??』


ウチは自分でも無意識にめっちゃ笑顔を相原に向けていた。


それを見て相原がまた嬉しそうにはにかんだ。


『え、えっとじゃあ―――――』

『は、マ? つうかよ、〇〇は―――――』


結局この日は20時の閉店近くまで、相原とWIN-HAZARD話で時間も忘れて盛り上がっちまったんだよな……w


いや、ガチで楽しい時間だったんさ。

今思い出してもどちゃくそニヤける///


ウチはニヤニヤしながら、次の自身のポストにスワイプした。




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〇A!S!K! @asuka04150622


なんで男はみんな清楚系好きなんかね……。。。

ギャルだって可愛いじゃねーかよw


そんでもよ!遠足同じ班とか地味に

めっちゃ楽しみだし!!


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『今回の遠足は、入学間もない僕たちが

親睦をはかって仲を深めるのも

目的のひとつだと思っています。

しかし!』

『私たちはもうすでに!先月の親睦会で

お互いの仲を深めあっている!

で、あれば!』

『僕たちは仲を深めあったみんなで、

楽しい思い出をつくるべきだと思う。

以上の理由で僕たちは、遠足の班決めは

好きな人同士で組むべきだという案を

提案します。』

『私たちの案に反対の者は挙手を!』




ロングホームルームで遠足の班決めするっつーことで、学級委員のバカップルが尋常じゃないレベルで張り切っていて草


ウチの席は1番後ろなんで、アイツらを始めとした教室の浮かれた空気が良く見て取れるんさ。


だからウチのほぼ真正面(のやや右か)の1番前の席の相原のことなんかも、挙動やら仕草やら1発で把握出来るんさ。

相原が先輩だったっての判明してから、知った仲良っつーことで、ついつい目で追ったりとかしちまうけど別に深い意味はねーからな。(この時はそう思っていた。)


『………………。』


そんなふうにちょくちょく見てるからか、相原が誰を気になってるとかやっぱ自然とわかっちまうんだよな。


相原は今日も、壇上で緋月と仲睦まじげに進行している宇都宮にチラチラと意味ありげな視線を送っていた。


(別にアンタが誰を好きになろうが

ウチは知ったこっちゃねーけどよ、

さすがに宇都宮(アイツ)は無理じゃねーか……?)


ウチと宇都宮は同じ飯原中出身だし、宇都宮(アイツ)がどんなヤツかはそこら辺の奴らよりは知ってるつもりだ。


見た目は凛としてツンとして隙がなくて和風美人て感じでよ。スラッとしてんのに出てるとこ出やがってスタイルすんげぇいいんだよな。


髪とか真っ黒なストレートとかあれ維持するメンテナンスぜってー大変だろうなとか思うしよ。


中身もマジメで融通効かねーし媚びねーし、自分をしっかりもってやがんだよな。ほんでなにより学力とか厨房ん時から学年トップクラスだったしよ。


運動とかもなにやらせても平均以上だし、体力なんてゴリラか?って思うくらいオバケだし、思わず「逆に貴様は何を持ちえないのだ!!」とか思っちまうレベルだしよマヂで。


言うたらホントわりーんだけど、相原自身が下とは全く思わねーんだが、さすがに高嶺の花過ぎんじゃねーか?とか思っちまうわけよ。


しかもそんだけじゃねぇ。


宇都宮は、同じ学級委員張ってる緋月(いいんちょう)に対して底抜けにベタ惚れで、対する委員長(ひづき)も宇都宮のことを「この世の全て!」ってレベルで大事にしてて、なんつうの?こいつらに付け入る隙なんざ100年経っても見つけらんねーってレベルで相思相愛なんだよな。


『フフッ』


まったく厳しい恋愛してやがるもんだぜ。。。




『―――おい! 聞いてんのかよ大島!』


『……あ?』


やっべ。

ウチ、トリップてしてた?


燕木(ツバメ)の声でウチは現実へと帰ってきた。


『……なんだようっせえな。』


コイツ、悪いヤツじゃねーんだけど、どうも周りを見下した態度をたまに取りやがるから、なんかそこが気に食わねーっつーか、最近は人間的にあんま尊敬できねー感じになっちまってるんだよな……。


『だから班決めどうすっかって話だよ。』


『は? イツメンで決まりじゃねーの?』


いちいち決まりきったこときいてくんなよクソが。


『いや、それだとよ、俺ら7人になっちまうから

どうすっかってなってんだよ。』


気付いたらウチとつるんでるギャルグループのマヤとヒカリがうちの机の左側に。

燕木(ツバメ)たちサッカー部仲間が4人、右側に集まっていた。


『ホラ、班は4人から6人で組めって

なってるからサ~。』


―――なるほどな。


マヤの説明聞いて、改めてウチらグループを見渡してみたら、、、


……7人か。

確かにこのまんまじゃ人数オーバーだわな。


『でも俺絶対お前とかと鎌倉まわりてーしよ。

……そうだ田沼、わりーけど抜けてくんね?』


『…………はぁ? なっ、なんだよ!それ!!!』


燕木(ツバメ)が見た目だけ少し悪びれた感じで、同じサッカー部仲間の田沼に目を付けた。


ホントこいつは仲間もあんま大事にしねーよな。


『人助けだと思ってよw

ホラ、あっこの陰キャグループも3人で

人数足らんくて困ってるっぽいじゃん?

んだから田沼、アイツらの救世主に

なってやれよwwwwww』


『なんで俺が陰キャに混ざんなきゃ

いけねーんだよ!!!』


田沼は必死に抵抗していた。

誰と行こうがどうだっていいじゃねぇかよクッソめんどくせーな。

つか、人の事を陰キャとか言うなよ失礼だろが。


『イヤ田沼がウンて言えば、

俺らは6人で班が組めて、

あの陰キャどもも4人で班が組めるじゃん?

WIN-WINじゃね???wwwwww』


……なんだそのクソみてーな理論。


とか思いながらウチもコイツらに釣られて、その陰キャと呼ばれてたグループを見てみた―――――




!!!!!?????




『イヤ、田沼はこのままここに残れ。

ウチが抜けるわ。ウチが抜けて

アイツらんとこ混じるかr『はァっっっ!??』




弾かれるように立ち上がって向こうのグループに合流することを決めたウチの言葉に燕木(ツバメ)が大声で被せてきやがった。


ウチはそんなん意に介さず、陰キャと呼ばれた3人の1人、相原の横に移動して燕木(ツバメ)たちに振り向いた。


『いやいや。お前ら6人で

まとまるんだからいいじゃねーか。

ウチは相原んとこに混ぜてもらうからよ。』

『『はぁっ????』』


おっと。

ウザ男(ツバメ)と相原の声がハモった。


『おい待てよ!! なんでそーなるんだよ!!

なんで大島がこんなクソみてーな

陰キャのグループに入らなきゃ

ならねーんだよ!!!』

『あ!?』


コイツどこまで失礼なんだ?

こりゃさすがにカチンと来るわ!


確かによ、ウチだって最初は相原のことを"陰キャ"呼ばわりしてたけどよ!

でもウチの場合は燕木(コイツ)みたいに悪意のある呼び方じゃなかった!


燕木(コイツ)が、明らかに相原を馬鹿にして見下して"陰キャ"呼びしてやがるのが我慢ならねぇんだよ!!


『ウチが誰とつるもーが勝手だろうが!

お前はウチのいったいなんなん??

つうかよ! 陰キャ呼びとかお前何様なんだ?

他人のこと馬鹿にしくさってっけどよ、

お前はいったいどれほどのもんなんだよ!!』

『…………ぐっ、、、』


ウチの気迫に()されたのか、ウザ男(ツバメ)は言葉に詰まった。


『え、えっと、おっ、大島さん……。』

『相原は気にすんな。』


背後から相原が心配そうに声をかけてきたが、ウチは振り向かずに言葉を返す。


『チクショウ……、、、

そんだったら、、、、』


燕木(ツバメ)がうつむきながら口を開いた。


『俺もそっちに入れろ。

そうすりゃ人数も5人と5人になって

問題ないだろが『それは無理。』


『『……え?』』


いつの間にかウチの前に出てた相原が、燕木(ツバメ)に向かって口を開いた。




『燕木君さ、俺っちたちのこと馬鹿にしてるでしょ?

なんでこっちがそんな嫌な思いさせてくるような

奴と組まなきゃいけないの?って思う。』




『……ッッッ!! なんだとっ??』

『クククッ、ハハハハッ!!』


顔を真っ赤にしてキレかけてる燕木(ツバメ)と対照的に、ウチは声を出して笑ってしまった。


『てっ、てめーぇっ!!

もういっぺん言ってみろ『オイ』


全身から不穏な空気を出しながら相原に近づくウザ男(ツバメ)をウチが止めようとするより早く、クラスで1番の大男のヤンキーが2人の間に割って入ってきた。


『なんかモメてるみてーだけどよ、大丈夫か?』


本人的にも、凄むとかその気はねーんだろう。

ただ不穏な空気を感じ取って、軽く仲裁に入ってきた感じなんだろうな。

和泉(コイツ)とも同中だし、見た目に反して底抜けに善人だもんなこのヤンキーw


『…………ハッ、、、

な、なんでもねぇよ……!』


『ならいいけどよ。』


和泉(ヤンキー)の威圧感にすっかり萎縮したウザ男(ツバメ)は、悔しそうにサッカー部仲間の元へと戻って行った。


『和泉、サンキュな。』

『おう気にすんな。

まァ、大丈夫だとは思ったんだけどな。』


和泉はニカっとコワモテな笑顔を残して、自分らのグループに戻って行った。

そしてまた秒で小悪魔と元気娘に取り囲まれて、それを学級委員夫婦がイチャイチャしながら眺めていた。

わかりきってたけど、アイツらもイツメン5人で班なんだな。


あぁ。

相原と和泉、地味に仲良いもんな。

風紀委員なのもあんだろーけど、ダチがモメそうなの察知したんだろうな。

相変わらずあのヤンキー、良い奴すぎんだろ。


とりあえずまとまりそうでウチも安心した。


『えっと、んじゃ、大島さんも俺っちたちの班て

ことで、いいのかな??』

『おうっ!! よろしくな相原っ!!

……っとあと、ワリ、名前なんつったっけ?』


ウチは名前覚えるの苦手でよ、、、

ホント申し訳ねぇ……。


『え、み、三好です。』

『相馬でーす。』

『あはっ。岸川です。』


『『『『ん???』』』』


一瞬、ウチら4人の空気が固まった。


『え? え?』


振り向くと、岸川と名乗った女子がニコニコ顔で立っていた。


『えっ? 岸川さん?』


相原もさすがにビックリしてた。


『あっ、ごめんね。

なんかあたし、友達いない訳じゃないんだけど

さっきの燕木君みたいにね、

あたしがいつもいるグループの人数が

オーバーしちゃって……。

だからあたしもこっちに入れて欲しいなって……。』


マヂか。いや、マヂか。


確かによ、オタっぽい3人とウチじゃ、まるでウチがオタサーの姫みたくなっちまうとこだったからよ、まァホッとするとこはあるんだけどよ。


イヤ、別に岸川のこと嫌いってわけでもねーし。


ただ、なんつうか、ホラ、、、


岸川(コイツ)もいわゆる、

「清楚系」なんだよな……………………。


『大島さんも、よろしくね。』


男3人に挨拶し終わった岸川が、ウチに小首をかしげて微笑んできやがった。


『おっ、おう……。』


この時のウチはちと引きつった笑顔で返事するのが精一杯だったんさ…………。




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〇A!S!K! @asuka04150622


初鎌倉イェーイ☆

やっべ。クッソ楽しみかも!


(鎌倉駅の画像付き)


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遠足当日。

前の日からウッキウキだったウチは寝坊しちまいそうな身の危険を感じて、戸塚に住んでる従姉妹んちに夜から前乗りすることにしたんさ。


ミサト姉ちゃんはウチの10コ上で、自立して戸塚でひとり暮らししてるからよ、無理言って一晩泊めてもらったんで、当日はスムーズに9時くらいに鎌倉駅に着くことが出来たってわけよ。


まァ、ミサト姉ちゃんは置いといて。


9時20分くらいになったんで、学級委員の2人が1組(ウチら)の点呼をし始めたんさ。


緋月(いいんちょう)はボールスミッスと思われるカッターシャツをバリっと着て、下は黒のレザーパンツと革靴でキメていた。アイツどう見ても高校生(ガキ)にゃ見えねぇな……。


ほんで当たり前のようにソイツの横にいる宇都宮は、淡いブルーでフリルの付いたブラウスに濃紺のタイトスカートと白いサマーサンダルというコーデだった。ってーかコイツもどう見ても高校生(ry


まぁ、バカップルはほっといて。


別に探してたワケじゃねーんだけどよ、1組でみんな集まりかけてるもんで、難なく相原の姿も見つけることが出来た。


(……ん?)


てっきり、また宇都宮に目を奪われてるかと思いきや、フツーに三好や相馬と笑いながらダベってやがった。


いつもの黒いウィハザのニューエラに、クリムゾンレッド(ウィハザのイメージカラー)のパーカーとこれまた黒のハーフパンツと真っ赤なナイクのスニーカーで遠目でも1発で相原だってわかったw


つか、いつもの制服じゃねーからよ、相原だけじゃなくて他のヤツらの私服とかも見れて、ウチ的にはけっこうテンションアガるもんがあったりするんさ。


『!!』


中でもウチ的にかなりポイント高いコーデのやついるじゃん!!


同中出身の知った顔だし、こりゃ声掛けるしかねーっしょ!!


『お。菱浦、それレイジのメンズ?

カッケェ!いいセンスしてんな~!』


『そう?ありがと大島ちゃん!』


菱浦は厨房ン時からいい素材してたんだけどよ、やっぱ高校生なってからなんか格段にギア上げて来た感じすんだよな。


『大島ちゃんこそ、いつも通りイケてるよっ♪』


『マ? 菱浦サンキュ☆』


『そのモノトーンのヒョウ柄のタンクに

サクラピンクのシャツ合わせるとか、

大島ちゃんじゃなきゃ着こなせないんじゃない?』


『いっ、いやっ、

さすがにそんなことねーだろ……w』


宇都宮と違ってコイツまじでいい奴なんだよな。

もう少し話しててもいいかなとか少し思ったけどよ、視界の隅にウザ男がこちらに近付いてくるのが、ウチには見えちまった。


『んじゃ、またなっ。』

『ん。またね大島ちゃん。』


あの班決めのゴタゴタで、燕木(ツバメ)もなんかウチに話しかけづらい感じになってるっぽいけど、ウチ的にもアイツと絡むの地味にめんどくさいんで、出来る事ならこっちもあんま関わりたくねーんだよな。

軽く冷戦状態ってヤツかな。


つーわけで、早々に菱浦と別れて、ウチは早足で相原たちと合流した。


『おっす相原っ!

えっと、三好と相馬も!』


もう班ごとに点呼してっからな。

みんなでまとまっとかないとな。


『あっ、おはよう、おっ大島さん。』

『おはよ~です。』

『どうも。』


相原が残り2人と一緒にウチに挨拶を返してくれた。


『……っと、あと、岸川か?』

『うん。まだみたいですね。と、思う。』


あたりを軽く見回したが、まだ岸川らしき姿は見当たらなかった。


『オイもうすぐ9時半になるんじゃねーか?』

『でも誰も岸川さんの連絡先知らないし、

と思う……。』


おっと。

そりゃそーだよな。


ウチらクラスメイトってだけで、親しい友達(ダチ)ってわけじゃねーもんな。


そんでも、相原はバ先も一緒だしよ、連絡先知っといたほうが何かといいんじゃねーかな…………。


つってもこんな他の目もある中でRAIN交換っつーのもさすがにどうかと思うよな…………。


でもなー、会話の流れ的にアリっちゃアリのよーな気もする―――――


『間に合った! みんな、

遅くなってごめんねー!?

あたし寝坊しちゃってー!!』


ウチがグズグズ迷ってる間に、岸川の遅れた登場によって、相原の連絡先ゲットの思惑は打ち砕かれちまった。


『ってめぇ遅いんだコラ!』

『おっはよ大島さん!

なになに?あたしのこと心配した?』


八つ当たりに近い感じで割とウチなりに凄んでみたんだけどよ、岸川はニコニコしながら受け流しやがった。


岸川はひざ丈まであるゆるっとした野球ユニフォーム風のワンピに七分丈のデニムスキニーとブーマのスニーカーというめたくそ清楚系カジュアルスポーティコーデだった。

頭にも王谷が所属してるメジャー球団のキャップを被っていて、

オタ全開の三好・相馬、

ライトロックな相原、

そしてカジュアルギャルなウチと、

班みんなのコーデの方向性・統一性はわりとバラッバラでちょっと笑っちまうんだなこれが。


そしてスポーティ岸川が続けて口を開いた。


『あはは。完全に遅刻しそうだったら、

クラスのグルチャに連絡するつもりだったんだけど

ギリ行けそうって思ったから^^』


『『は?』』


そうか! そうだよ!!

ウチとしたことが見落としていた!!!


緋月(いいんちょう)がウチら1組の委員会決めン時に、ウチら全員のRAINを登録してグループRAIN作ってたじゃねーか!!

そっからコイツに連絡するって手段もあったじゃねぇか!!!


『………………。』


同じこと考えてわけじゃねーだろうが、ウチと相原は同時に顔を見合わせて、すぐさまお互い同時に視線を逸らした。


―――つーことはよ、、、

グルチャから相原のRAIN繋がれるってことじゃねーか……。


そんなことをもんもんと考えてたら、バカップルがウチらの班に近付いてきて、ウチも相原もハッとした感じで緋月と宇都宮に向き直った。


『ここはみんな揃った?』

『よし! これで1組全員だな!!』


ウチらの班が揃ったことを確認した緋月と宇都宮が、基藤P (※先生の意味だと思われる)んとこに報告しに行った。


『…………えっと、、、

今日、晴れて良かったですよね。。。』


相原が少し恥ずかしそうにウチに話しかけてきた。

ウチもちとだけ照れながら笑顔でそれに返す。


『だなっ! 今日はよろしくな! 先輩っ!』


『いやっ、ここHEATHじゃないんだから、

先輩呼びやめましょうよって思いますけどっw』


『ハハッ。わりーわりーw』


ウチと相原はどっちからともなく、グータッチを交わしたんさ。




―――――――――――――――――――――――――

〇A!S!K! @asuka04150622


アウスタだけじゃなくてこっちにも♪


(大仏と由比ヶ浜の画像2枚付き)


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―――――――――――――――――――――――――


教師どもの諸注意とか終わって、さぁ班ごとに行動ってなったその時、


『な、なぁ、相原…………。』


ウチらの班の班長やってる相原に、相馬が申し訳なさそうに話しかけていた。


『―――あぁ、やっぱ、前に言ってたアレ?』


相原が少し顔を曇らせながら答えていた。


『悪い。今日が初日だからさ、、、

スタートダッシュって大事じゃん?』

『俺も相馬も一応全国ランカーだからさ……。』


ん? 何の話だ?

ワケわかんなくて思わず隣にいた岸川と顔を見合わせた。


『んーーーー、わかった。

じゃ、15時半くらいにここ、駅前に合流で。』

『サンキュ! 相原!!

まじ恩に着る!! 報酬は期待しててくれ!!!』

『よっし三好! まず軍資金(テュンカ)コンビニで買おうぜ!』


ってな会話を3人で交わしたかと思いきや、あれよあれよと三好と相馬はダッシュで走り去って行った。


『『????』』


いや、マジでわけわかんねぇ。


『オイ、相原、、、アイツらどっか行っちまったけど

こりゃどーゆーことだ?』

『うーん。班行動しないとダメなんじゃないの?』


ウチと岸川は、相原を挟み込むように移動して説明を求めた。


『アハハ……。あいつら2人とも同じソシャゲを

やってて、今日からイベントが始まるってことで、

ネカフェに2人でこもって、延々とそのイベントを

周回したいって言われてましてね……。』


『『はぁっ???』』


『まぁ、最後の報告と点呼の時に班全員揃ってれば

問題なさそうって話になって、俺っちはヨイゼ

奢ってもらうって話であいつらが遠足のルート

抜けるのOKしちゃった、って感じです。と、、』


「思う」の語尾を相原は飲み込んだ。


『えっ? ゲーム1日するために、遠足サボって

抜けるってこと??』

『イヤあいつら正気かよ……。

さすがにバレたらヤバくねーのか? ソレ。』


っていうかよ、そもそもそれアリなんかよ……。

あーもー。なんかよくわかんねーわ。


『んで、本当に申し訳ないんですけど、

俺っちはきちんと提出したルートをまわって

遠足のレポート書かなきゃいけないんですけど、

さすがに1人だと不安なので、、、

そ、その、大島さんも岸川さんも、どっちかで

かっ、かまわないので、一緒にまわってもらえたら

って、、、、思う、んですけど……、、、、』


そこまで言って、相原は真っ赤になってうつむいた。


まァ、コイツ異性苦手だもんな。

ウチとの絡みはだいぶ慣れてきたみてーだけどよ、さすがに街中を女子と歩くってーのはまだハードル高いのかもしんねーな。


しっかたねー! ウチが相原のサポート『いいよ!』


『『!!!???』』


ウチの返事より早く、岸川がニッコニコ顔で相原に返事しやがった!!!


『えっ、、、本当、ですか……?』

『もちろん! あたしで良ければだけどね!』

『ちょっと待てっ!!!!』


慌てて相原と岸川の間に割って入る。


『ウチも行くから。つか、ウチ抜きじゃ

行かせねーっつーの!

つうかよ、ウチら同じ班なんだからよ、

一緒に行くのが当たり前だっつーの♪』


あぶねぇあぶねぇ。

相原がウチ以外の女とつるむとかねーだろ。

自分でもよくわかんねーけどよ、ウチが相原(せんぱい)の1番の女友達(ダチ)なんだからよ!!


『あっ、あんな言い方したけど、

大島さんは絶対来てくれるって思ってましたから。』


そう言って相原はウチに微笑みかけた。


『えっ。そ、そうかよ……。』


クッソ。

まぢで自分でもなんでかまったくわかんねーんだけどよ、顔がニヤけちまうのをウチは必死に抑えていた。


どう誤魔化すか思ってたら、岸川が口を開いた。


『とりあえずあたしたちの班はまだ過半数の3人

残ったってことで、活動してく感じだね。』

『そういう事、だと思います。。。

岸川さんも大島さんもありがとうございます。』


まぁ、色々考えててもしょーがねーよな。

今出来ることをやっつけていくしかねーよな。


『オケ。んじゃ、気を取り直して出発しようぜ!

まずどこからだ『あっ、ちょっと待って』


ウチの言葉をさえぎって、相原がスマホで何か検索し始めた。


『最悪1人で回ることも想定してて、

そうなった時これ使おうと思ってたんだけど、

3人でも大丈夫かな?と思うし、そのっ、

自転車レンタルして素早くルートを

回りましょう、と思いまして……。

ホラ、男子は俺っちだけになっちゃうから、

絡まれたりとか、もしなんかあっても、

逃げる足があったら便利かな?って思って……。』


そう言いながら、レンタルサイクルやってるとこを検索したマップをウチらに見せてきた。


『……なるほど! 相原君あったまいい!!

そんですごく楽しそう!!!

なかなか思いつかないよすごいよ!!!!』


…………なんだろな。

相原が褒められるの、悪い気はしねーんだけど、それが岸川っつーのなんでかイラッとすんだよな。

ウチこんなに心狭かったか?


相原の交友が広がるのをあんま面白くねーって思うのって、独占欲なんかな?


つっても、厨房ん時とかも親友(マブ)が他のヤツと仲良さげなのとか見ると、結構イラッと来てたもんな。


いやでもそれは女同士の話だろ?

相原は男で、ウチは女で、アレ?アレ??

ちょっと待てよこれって―――――


『じゃ、行きましょう!』


!!!!?


ぼーっと色々あれこれ考えてるうちに、相原は3人分のチャリンコのレンタルを終えていた。

それだけじゃねぇ。

渡された膝当てとヘルメットまでウチはいつの間にか装着していたんさ。


イヤイヤイヤイヤ、無意識ってこえーな。


っつーか今日のコーデ、ミニスカと迷ったんだけどよ、PLAYBOYSのピンクのスェットジャージにしといて良かったぜ。


『オケ! 行くか!! ウチなんかアガってきたわ!!

相原先導よろっ!!!』


ウチはガッツポーズで相原に答えた。


『アハハっ! んじゃ、出発!です!と思う!!』

『『おーーーwww』』


相原の締まらない掛け声で、ウチら3人はペダル

漕ぎ始めたんさw


先頭は班長の相原で、2番目にスポーティ岸川。ほんで最後尾が副班長のウチで隊列を組んで軽快にチャリンコで風を切った。


こまめにチラチラと相原が後ろを振り向いて、ウチらがちゃんと着いて来てるかを地味に確認してくれていた。


ったく。

アイツほんとまぢでなんなん?

女慣れしてんくて、コミュ障でよくキョドるくせに、締めるとこ締めて言うことはちゃんと言えて、段取りとか考えとかしっかりしてて頼りになるしよ。

同学年(タメ)であそこまでのヤツ、ウチは今まで見たことなかったわ。


しっかしよ、知らねぇ土地を颯爽とチャリンコで駆け抜けるのって気持ちいいな!!

ピーカンに晴れた今日の天気もだけどよ、5月の初夏の爽やかな空気がたまらなく最高の気分にさせてくれるぜ!!!


『ははっ』


テンションアゲアゲで思わず何度か笑いがこぼれたもんよ。


そんなこんなでとんでもなく順調に、ナントカハチマングウ?とかナンチャラベンザイテン?(ここは坂道キツかったけどよ)とか、大仏とか、あっという間にルートを回り終えたんさ。


ほんで時間にバチクソ余裕あるっつーことで、由比ヶ浜?っつー海とか見に行ったりもしたんさ。


『やべぇ。ウチ、今日めっっっさ楽しーわ!!』


ちょっと間を開けた隣に腰掛けた相原に笑顔で話しかけた。


『え、えっと、俺っちも、すごく楽しい、

気がする……!』


相原もヘルメットを外してニューエラを被り直して、にこやかにウチに答えた。


前髪を帽子にいれて、

あらわになったその目で、

ウチの目を真っ直ぐ見て。


『~~~~~~~~~!!!』




あっ。

なんかヤバい。


なにがヤバいのか全ッ然わかんねーし、

どうヤバいのかまったくもって意味フなんだけどよ。


ヤバい。

ガチで、ヤバい。

ヤバいとしか言えねぇ。




なにがどうとか自分の感情とかテンションとか、

状況もシチュもなにもかも把握出来んパニックになりかけてしまった。


『……あっ、ああああああああ……っ、、、、

あいは…『あははっ。あたしも座るっ!』


自分でもどうしていいかわからず、それでもウチん中の何かが高まりに高まっちまって、抑えきれずに思わず相原を呼ぼうとしたウチの声は、岸川によって潰されちまった……。


オマケに少し間を開けてたからなんじゃねぇかとは思うんだけどよ、コイツ、よりによってウチと相原の間に腰掛けやがったんさ!!


『………………ッ!』


思わずイラッと来ちまった。


いくら未経験・未体験だっつっても、この感情が何なのか、さすがのウチでももう気づき始めていたんだけどよ。


『あたし、遠足がこの班でホント良かったな。』


ペットボトルに入ったポコリをゴクゴクと飲んだ後、岸川は弾ける笑顔でのたまった。


『う、うん。俺っちも、そう思うと思う。』

『あははっww なにそれっwww』


クソっ。

とっかかりがつかめんくて、会話に入れねぇ。


『んね! 大島さんもそう思うよね??』


気を遣ったわけじゃねーだろうけどよ、岸川が今度はウチにも同意を求めてきた。


『おっ、おう……。そうだな。。。』


でもウチは真っ赤になった顔がバレないように、そう返すのが精一杯だったんさ……。




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〇A!S!K! @asuka04150622


自分がわりーと思ったことを

キチンと謝れるのは出来そうでなかなか出来ねぇ。


ちっと見直しちまったじゃねーか☆


たとえ本音と目的が別にあったとしてもなw


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イベントの日だからよ、1日に何回もポストを更新しちまうのも自然な流れだよな。

つーか自分のポスト見直して改めて思うけどよ、この日は遠足だったとは言えまぢ濃い1日だったわ……。


なんせ、初めてウチが自分の気持ちを自覚しちまった日だったしな。


ちょいちょいウチらに絡んできた岸川の自由奔放な振る舞いのお陰で気付いたっつーのも、ちとあったんじゃねーかって思ってはいるけどよ。


海からの帰り道もウチは最後尾で、その岸川の背中を見ながらチャリンコを漕いでたんさ。


コイツも宇都宮みてーにいつもはストレートのロングだけど、この日はポニーテールにしてた。


岸川はウチのクラスでも外見はわりと清楚系の部類に入ると思うんだけどよ、中身はけっこういい加減でノリが良くて男女関係なく誰ともフツーに話せる感じの、そこそこコミュ強キャラってイメージだ。


ウチらギャルと話すこともあれば、瓜生たちのグループに混じることもあるし、まぢみんなと仲良しってキャラなんだけどよ、なんつーか特定の誰かとつるんでる感じじゃねーんだよな。こんなに喋ったのは今日が初だけどよw


あと岸川は、同じ委員会絡みで、和泉(ヤンキー)が、辻倉菱浦宇都宮以外に唯一接点持ってる女子だったしよ。そっから考えてもとんでもねーコミュ強女子だよなコイツw

まァ、和泉のほうからは話しかけるのとかは、からっきしダメみてーだけどよww


そんなだからやっぱし、そこそこ男子に人気あるっぽいけど、地味にまわりに壁作ってるタイプっつーか、なんつうの?ウチのまわりにゃ居なかったタイプなんだよな……。


てな感じで岸川のことをそんな風に考えてるうちに、ウチらはあっという間に鎌倉駅前まで戻ってきたんさ。

ほんでチャリンコ返却して、3人して駅前ロータリーに帰ってきた。


『2人ともお疲れ様でした!

俺っちとっても楽しかった!と思う!』


相原が笑顔で振り向いた。


『ハハッ! ウチもバチクソ楽しかったし!!

すんげー気持ち良かったし!!』

『あたしもあたしも!!

今日の遠足、一生の思い出かもしんない!!』


ウチらも笑顔で同意した。


『―――っと。』


ふとスマホで今の時間を見てみた。


15:13


確か残りのアイツらとは15時半に合流の約束だったよな。浜辺で遊んだりけっこ時間潰したつもりでも、まだちと余ってんだな。


そんなウチを見て、相原も自身のスマホに目をやった。


『んーーー。まだ時間あるけど、

どうしよっか。もうアイツら呼びます??』


確かに教師んとこに班全員で終了報告すりゃ、その場で解散て話だからな。そろそろ帰るのもアリっちゃアリかもしれな――――――




『―――――――オイ……。』


『『『!?』』』


ウチには良く聞きなれた声に呼ばれて、ウチら3人が振り向くと、燕木(ツバメ)たちの班が立っていた。

今日はずっとウザ男と接点なしで来れたんに、最後の最後でブッキングかよ……。

(まァ、マヤとヒカリはwelcomeだけどよ)


『あ?』


またウザ男(ツバメ)にダル絡みされるんかと思って身構えたんだけどよ、どうもいつもと様子が違った。


『相原、ちといいか……?

あ、お前らは先に行っててくれ。』


燕木(ツバメ)がそう言って田沼とかサッカー部連中を遠ざけると、一歩前に出てきた。

(ちな、マヤとヒカリは何歩か後ろから

ニヤニヤしながら見ていた)


つか、ウチじゃなくて相原??


『なっ、なに? 燕木君。』


相原もニューエラを深く被り直して、燕木(ツバメ)と向き直った。


『そっ、そのよ……、、、

こないだ陰キャとか馬鹿にしたりして

悪かった…………。』


少しうつむき気味でほっぺたをポリポリ掻きながら、燕木は気まずそうに相原に謝っていた……。


マヂか。マヂかよ!!


あんな燕木(ツバメ)みてーな自己中ワガママ男でも謝罪なんて出来るのかよ!!!


いやっ、ビックリしたわ。

今年1番のとんでもビックリ決定的瞬間かもしんねぇ!!!


―――とか、思ってたらよ……。


ウザ男は一瞬チラッとこっちを探るような視線を向けてきやがった。


―――はァ、なるほどな…………。


結局はウチの機嫌取りか。

確かにコイツとウチがビミョーになったのも、コイツが相原たちを小バカにしてからだもんな。


とりあえずその件を謝っちまえば、なぁなぁのなし崩しにウチと元通りになれるかもしれねぇ、とか思ったんだろうな……。


小せぇ。そしてコスい。


『ククッ』


透けた魂胆が目に見えて、思わず笑っちまった。


まぁ、でもよ。

例えそんなヨコシマ?な考えがあったとしても、燕木(コイツ)が相原に頭を下げたっつーのは紛れもない事実だ。

それだけでもよ、なんつうかすんごくえれぇコトじゃねぇか?とか思っちまったわけよ。


『うん。わかった。いいよ。』


相原も特に含みもなく、素直に燕木(ツバメ)の謝罪を受け入れていた。


『―――明日香ちゃんも満足だね。』


…………は?


ウチの背後からにゅっと声をかけてきた岸川が、何から何までウチの予想の斜め上で正直ビビった。


『…あ? なにがだよ?

つか、なに勝手に名前呼びしてんだよ!』


『えー! いいじゃん! あたしたちの仲じゃん!

あたしのことも"麻理(まり)"って

呼んでいいからっ!!』


そう言いながら岸川はウチにバックハグしてきやがった。


『あっ!おいっ!あっちぃだろ離れろよクッソ!!』

『まぁまぁそう照れるでない明日香ちゃーんw』


……おいおい一体なんなんだよクッソ。


そう思いながらも予想外に悪い気がしていないウチも、()()に釣られて笑ってしまったんさwww




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〇A!S!K! @asuka04150622


クッソ、、、

家からちけーからってカンタンに決めちまったけどよ

やっぱ進学校っつーのは厳しいもんだな……。


つーかよ、、、

はよ治せや(∩´﹏`∩)


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遠足が終わってから、クラスでのウチの周りが少し変わった気がする。


マヤとかヒカリとか、燕木(ツバメ)達のグループとの付き合いはまぁそれなりだけどよ、なんつうか相原や麻理との絡みが格段に増えてきた感じなんだなこれが。


相原とはあれからちょいちょいRAINやり取りしたり、バイトのシフトが被った時とか帰りに飯食ったりする仲になっていたんさ。


ほんでそこまで打ち解けた流れで自然とクラスでも相原と会話するようになったんさ。

(アイツからは相変わらず敬語のまんまだけどよw)


ウチにとって相原みたいな距離感でダチになった男子とか初めてなもんでよ、どうな風に接するんが合ってるのかわかんないまんま、ただウチが楽しいと思える感じで相原と接していた。


実際、相原との絡みはウチにとってもクッソ楽しい。

"ロック"っつー共通の趣味もあるし、バ先もおんなじだし、何よりアイツと一緒だと楽っつーか、変に気を遣わないで済むんだわ。


しょーじき、ウチは実際、相原のことを結構なレベルで意識してるし、話したり絡んだりしててクッソドキドキしてるんだけどよ、、、


それと別のところで、それに負けないくらい一緒にいて落ち着くっつーか安心するんだよな。

空気感てやつ?


いやマヂ空気って大事だよな。


普通は見えないし、あるんだかないんだかわかんねぇけどよ。


ウチら、空気なかったらあっという間に()()()まうからな(()()だけにとか言うつもりはねんだけどよw)。


―――てーなこと考えながらガッコに着いた、とある日だったんだけどよ―――




『大島っ! おっす!』


ゲタバコでローファー脱いだ矢先に、登校タイミングが被った燕木(ツバメ)から声をかけられたんさ。


『ん。おっす。』


だいぶお互いのわだかまりは解けてきたけどよ、まだなんつーか、奥歯に何か挟まったままのような、ミリ単位でウチらはギクシャクしてる感じは残っていた。


まァ、いくら謝罪したとは言え、あの発言はウチん中ではかなりなレベルで"ありえなかった"からな。


そうは言っても、流れで2人揃って教室に向かう感じになっちまった。


どうでもいいけどよ。


『――お、順位貼られてんじゃん。』

『あ?』


燕木(ツバメ)に言われて、ウチもコイツの視線の先を追うと、廊下になんか左右にクソ長い紙が貼られていた。


―――あー。先週の中間の順位か……。


そういや受験する前、ここの校長がなんか言ってやがったな。




【当校は進学校です。

生徒同士の競争心を育てて行く方針です。

中間や期末など、試験の順位は

校内にて公開致しますので、

それに不服でしたら

他所へ行かれることをお勧めします。】




ウチは別にそんな進学とか進路とか真剣に考えたワケじゃなくてよ、ただ家から1番近いガッコだったからってな簡単な理由だけで、健陽(ココ)に決めただけだからなぁ。


入るのはちと苦労したがよw


つか、ウチは入れたことに安心しちまって、健陽(ココ)が進学校っつー事をどっか忘れちまってたんだろな。


自分じゃ地頭そんな悪ぃほうじゃねぇつもりでいたけどよ、さすがにノー勉で挑んだら散々な出来だったわけさ。


『大島、何位だった?』

『んー。どこだ?ウチ。』


まんま流れで燕木(ツバメ)と並んで順位を確認する羽目になった。


ウチにしてみりゃ、クソほどどうでもいいんだがな。


『ウチ、175位だった。燕木(ツバメ)は?』

『俺194位……。クッソ!大島に負けた!』


クックック……

自分の順位より先にオマエのを見つけちまったからな。

もしウチがオマエに負けてたら、ウチは聞き返してねーわww


『……っ!』

『――?』


一瞬、たまたま横にいた瓜生に哀しげな目で睨まれた。


ったく。

たかだか学校の成績、しかも中間くれーでみんなガタガタ言い過ぎだっつーの。


とは言っても、上にいるに越したこたぁねーけどよ。

ウチも期末は少し頑張ってみっかな。


―――そう思いながらぼんやりと視線を右に移動させて、成績上位者にウチの目線が差しかかろうかとしたその時…………




【11位 1組 相原真司 615点】




『はぁぁぁっっっ????』




相原の順位と点数を見つけて、思わず声が出た。


『びっ、ビビった……。

どうしたんだよ大島……。』


なんか燕木(ツバメ)に話しかけられた気がしねーでもねーけど、まったく耳に入らなかったウチは、気づいたら自分のクラス(1組)に駆け出していた。


ガラッ


『相原ーー!?』


『あっ? 明日香ちゃんおはようー!』


順位の確認でみんな忙しいのか、まだ人数がまばらだったウチらのクラスに入ると麻理がウチを出迎えてくれた。


『オメーは呼んでねーっつーの。

つか相原は? いつもは来てる時間だよな?』


しまった!麻理に割と雑な扱いしちまった!とか思って少し反省したウチだったけどよ、麻理はニマァとニヤつき始めてウチに答えてきた。


『まだじゃないかなぁw』


何の意味あんのか知んねーけど、ミョーに腹立つ笑顔だなコイツ。


『まァいいや。』


ちょいと落ち着き始めたウチは自分の席に移動してカバンを置いた。


『おい大島!なんだよ置いてくなよ!』

『あ、悪ぃ忘れてた。』


ウチは悪びれもせず、遅れて教室に入って来た燕木(ツバメ)に顔も向けずに形だけ答えたんさ。




ホームルームが始まっても姿を見せない相原が心配になっちまって、思わずRAINしてみたんだけどよ、

結局、この日は少し熱が出たとかで大事を取ってガッコ休んだって返事が返ってきた。

ったく。休むなら休むで事前によ、ウチに一言くれーRAINくれてもよくねーか?


少しだけプリプリしてたウチを、昼休みに麻理が昼飯に誘ってきたんで、購買で菓子パン&サンドイッチ&缶コーヒーを買って、中庭のベンチで食べることにしたんさ。


『相原くんお休みなんだ? 大丈夫かな。』


ツナのおにぎりを一口飲み込んで、麻理が口を開いた。


『あーー…………。

なんか37度2分の微熱っつってたからな、、、

あんまし心配はいらねぇと思ったけどよ、

いちお医者行けっつっといたわ。』


ウチの返答を聞いて、また麻理がニマニマし始めた。


『ちゃんと状況把握してるんだねw』

『うるっせえな。友達(ダチ)なんだから

そんなん当たり前だろ??』

『はいはいwww』


コイツと話してるとどーも調子狂うんだよな。。。


ウチはクルミあんぱんの最後の一欠片を口に放り込んだ。


『あっ、そういえば明日香ちゃん、順位どうだった?

中間の順位!』


麻理が話題を変えてきた。


『あ? 大して良くねーよ。

麻理とおんなじくらいの順位だったしよ。』

『あはっw あたしの順位も

ちゃんと見てたんだwww』

『……。』


イヤ、ほんとマヂで調子狂うわ。

ウチはどう答えていいかわからず、ブラックコーヒーを喉に流し込んだ。


『でもびっくりしたよね!?

緋月君とか宇都宮さんが頭良いのは

わかってたけど……、、、まさか『そうだよな!』


思わず食い気味にウチは麻理の言葉を遮っちまった。


『まさか相原があんな頭良いとかよ!

マヂで思わねぇもんな『え?』


???


麻理が不思議そうな顔してウチを見返した。


『あたしは同じ委員会の和泉君の順位が

15位だったことにびっくりしてね……。

だってあんなガラ悪そうな外見なのにww』


へぇ。

和泉(ヤンキー)、アイツもそんな頭良いんか。


クッソ。

んなこたぁどうでもええわ!!!


やべぇ。

たぶん、ウチ、顔真っ赤だわ。

なんかひたいに汗出てきたわクソっ!


『………………。』


おそるおそる麻理の顔を盗み見してみると、さっき見たヤツの10倍くらいウザいニマニマ顔でこっちを見ていた………………。


クッソ。

なんか言おうとか言わなくちゃとか思うんだけどよ、恥ずかしさとパニックでなんも言葉が浮かんできやしねぇ……!


『ん―――…………

明日香ちゃんがどう思ってるかは

あたし知らないんだけどさ、、、』


紙パックの充足野菜をちゅーちゅー吸いながら麻理が続けた。


『相原君さ、うちのクラスの女子から

実は割と人気あるよ『は!!!????』


思わず麻理に振り向いた。


初耳だが? 初耳なんだが???


『ホラ、あたし結構誰とでも喋るというか、

色んな女子グループと話してるでしょ?

それで"うちのクラスの男子で誰が良いか"みたいな

恋バナもすることあるんだよね。』


『………………。』


『そんで木村さんとか山本さんとかに言わせると、

彼は控えめだけど気が利くとか?

たまたま顔見れたら可愛い顔してるとか……?』


『…………………………。』


ウチはうつむいてうなだれたまま、麻理の言葉を聞いていた。


『でもさ、言われてみれば、あたし的にも

相原君はぜんぜんアリかなって『あぁ!!??』


さすがに我慢出来ずに、麻理の胸ぐらを掴んじまった…。


麻理は一瞬だけ驚いた顔を見せたあと、また例のニマニマ顔になったんさ。


『あはっw 冗談 じょうだん~♪

処女ギャル明日香ちゃんごめんねっ☆

そんな怒らないでw ホント取ったりしないからww』


クッソ!

こいつマヂでうぜぇ!!!


『ぜってーだなっ!!?! ったく、

お前みてーな清楚ビッチに、相原を

取られてたまるか『あはっ!!!!』


!!!


自分で口にして、しまったと思った!


かつがれた!!


気づいた時はもう遅い……。


『ふっふっふ♪

明日香ちゃん、ついに認めたね~~^^』


麻理がさっきまでより100倍くらいのウザさのニマニマ顔をウチにぶつけてきた。


『…………………………………………………(クッソ)。』


『だいじょぶだいじょぶ♪

誰にも言わないし、あたし応援してるから!』


さっきから汗が止まんねぇ。

いつからだ? いつからコイツ、

ウチの気持ちに気付いてやがった??


よりにもよって、この清楚ビッチにバレるとかよ、最悪じゃねぇか……………………。


『よ、余計なことはしなくていーからなっ!!?』


『あははっw もちろんもっちろん☆』


慌てて麻理に凄んでみたんだけどよ、ヤツのニマニマ顔に圧倒されて、ウチはうつむくことしか出来なかった…………。




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〇A!S!K! @asuka04150622


やばい風船飛んでる!!

ウチまたひとつオトナになった!!!!


ん~、やべぇ


好き、だなぁ。


(ピンクの帽子の画像付き)


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毎週日曜日は出勤シフトになってるんだけどよ、6月22日の日曜はウチの誕生日だったんで、ちょっとオーナーに無理言って、土曜日出勤に替えてもらってたんさ。


つうのは、誕生日当日の日中はマヤとかヒカリとか(あと燕木(ツバメ)たちとか)がウチのためにカラオケ屋でパーティ開いてくれることになってたし、夜はおとんとかママンとかとお祝いでなんか食べに行くことになってて、結構キチキチなスケジュールだったんさ。


てなわけで、いつもは出ない土曜日にHEATHに出勤したんだけどよ、、、


『…………!!?(クッソ、なんだこりゃ??)』


翌日が日曜日だからなんだろうな、土曜日は演者数もカツカツで観客もガンガンで、痺れるくらい忙しかった……。


『イヤ大島さん、きょ今日は異常ですから……!』


いつも涼しい顔でひょうひょうとこなしてる相原ですら、ひたいに汗を浮かべて忙しそうだった。


『ハハッ。ウチはへーき!』


さり気なくウチを気遣ってくれる相原を嬉しく思いつつ、ウチも足を引っ張らないよう自分なりに頑張って雑務をこなしたんさ。


だいたい日曜日が1番忙しい曜日って聞いてたからよ、いつも交代出勤だったウチと相原が週1で揃うシフトになっていて、相原と一緒に仕事出来る日曜日のバイトがウチは1番楽しみだった。(今日は土曜日なんだけどな)

相原との仲をさらに深めるチャンスでもあるからな!


でもよ、そうは言っても相原のこと"好き"って意識するようになってからも、ウチは自身のくだらないプライドや、実は臆病な性分のせいで、結局前と変わらない絡み方しか出来てなかったんさ。


『あっ、大島さん、いま()ってる人たち

結構好きでしょ。』


2階の照明ブースでウチと並んで手すりに寄りかかりながらステージを見てる相原が、ウチに話しかけてきた。


『おっ? わかるのかよ! うんウチこゆん

けっこ好き……。』


『大島さんの好きそうなの、少しわかってきた

気がしますからね。』


そう言いながら、ヘアバンドでガっと前髪を上げている相原がニカっと笑いかけてきた。


『…………そ、そうかよ。』


ウチは顔をそむけるように、ステージで熱演してる演者に視線を戻した。


クッソ!

照れる。照れるっつーの!


ちきしょう、、、

もっと、もっと可愛い受け答えとか出来ねぇのかよ?? なっさけねぇ!


こ、こんなんじゃ、そのうち相原を木村とか山本とかに取られちまうかもしれねぇ……。


わかってる。

わかっちゃいるんだけどよ……!


麻理に遠回しに発破かけられてから、少しはウチなりに頑張ろうとか思ってはいるんだけど…………。


『~~♪♫』


トントントン……


相原はいま()ってる楽曲に合わせて、手すりを指で叩いてリズムを取っていた。


(――――――――――。)


確かに、ウチはいま相原の1番近くにいれてる女子なのかもしんねぇ。


でもよ、だからっつって今の立ち位置に甘んじてたら、ウチは一生後悔するんじゃねぇかな……。


こんなに気配り上手で気を遣わせない、そんな相原の超イケてる人となりが、木村?山本?あるいはまったく別の女に向けられちまったら…………??


(~~~~~~~~~~!!!!)


想像してウチは身震いしちまった。


ダメだ。

そんなんダメだ!


相原の隣には、ウチが1番近くにいたい!!


―――よし!


ウチは意を決した。


『あっ、あいは『あっ大島さんっ!!!』


頑張って話しかけようとしたウチの肩をぽんぽん叩きながら、相原がステージから目を離さず話しかけてきた…………。


いつの間にか次のグループに演者が変わっていたようだった。


『俺っち、この人たち好きなんですよ!

いっつも土曜日しか出ない人たちだから、

俺っち大島さんにも見て

もらいたかったんですよねーー!!

大島さんに見せれて嬉しい!と思います!』


そう言いながら無邪気に笑いかけてくる相原に心臓をわし掴みされながら、勢いを潰されちまったウチは、


『え? マ? どれどれーー??

あ、わかるわー!! AメロとBメロ共通のビート、

そう、ここ ここ!!!

ここ相原すんげぇ好きそう!!』


とか調子を合わせることしか出来なかったんさ…………。




そんなこんなでわちゃわちゃ忙しく仕事してるうちに、あっという間に21時半になって、ウチらは上がりの時間になっちまった。


いつも2人シフト被ってる日は、バイト上がりに駅前のヨイゼで一緒に飯食う流れになってるんだけどよ、いつもの日曜日じゃねぇ今日はどうすんだろな。


そんな事思いながら第2倉庫兼女子更衣室から出てくると、いつもみたいに相原が壁に寄っかかって待っていた。


『大島さんお疲れさまですっ。』

『おっ、おう、、、お疲れ相原……。』


ちょっと安心半分、ちょっと緊張半分で相原に挨拶を返した。


『あっ、相原、今日は土曜日だけどよ、

今日はどうする?』


意を決して相原に尋ねてみた。


『えっと、今日、土曜日ですんで、

日曜日よりも1時間くらい遅くまで

LIVEやってる時もあってですね、

今日とかそうなんですけど、せっかくだから

もう少し俺っち見て行きたくて……。

大島さんさえ良かったら、も少しLIVE

見てから帰りませんか……?』


『……えっ?』


『あっ! なんか予定とかありました?

無理にとは言わないんで『いや!見る!』


相原からの提案に一瞬固まっちまったけどよ、頭が理解してから脊髄反射でそれに乗ることにした。


『あっ、良かった! あっ、俺っちたち高校生は

法律で働く時間に制限あるだけで

働いてなきゃまだここにいても問題ないですから!

って思うんで♪♫』


って、無邪気に笑いながら相原とウチは関係者席(従業員特権だな)へと行くことにしたんさ。




そんなこんなで、23時くらいまでウチらはインディーズのLIVEを楽しんだ後、毎週日曜日のルーティーンみたくヨイゼで飯を食いながら、今日観たLIVEの感想とかで盛り上がった。


『ーーーー!!』

『~~~~!!』


ハハッ。

趣味が合う連れと過ごす時間の実に楽しいこと楽しいこと!!


相原との心地よい時間。

相原と一緒の心地よい空気感。


楽しく感じれる時間ほど、あっという間に終わっちまう。


『……あ、もうこんな時間だ。

12時過ぎたら俺っちたちヤバいっすよね。

補導されちゃう、と思う。

大島さん、そろそろ帰りましょうか。』


『……お、おう。』


相原にうながされて店を出て、チャリを停めてたHEATHまで戻った。


『……?』


すると相原は勝手口から鍵を開けて中に入り、なんか包み?を抱えて出てきた。


そしてスマホとにらめっこし始めた。


『………………よし!

日付変わった!! 時間ぴったり!!

大島さんお誕生日おめでとう!!』


『……えっ?』


時間をチェックして、日付変わるタイミングをはかってやがったのか!!!?


『えっ、えっと、、、つか、

なんでウチの誕生日知ってるん?』


『RAINアカウントのトップに

みんな誕生日表示されてますでしょ。

んで、これプレゼントなんですけど、

気に入らなかったらメロカリとかに

売っても構わないんで、、、』


そう言いながらピンク色にラッピングされた袋をウチに手渡してきた。


待って。

待ってくれ。


ウチ、頭ん中真っ白でなんも考えらんない!!


『バッバカ……! んなことしねーよ……。』


クッソ。

嬉しい。嬉しすぎる。

死にそうだマヂで。


ウチはめいっぱい冷静を装って、震える手でそれを受け取った。


『な、なぁ、、、

開けてみても、いいか……?』

『もちろんです。気に入るといいんですけど。』


OKが出たので、ゆっくりと丁寧に包装紙が破れないように開封し、中からそれを出してみた。


『………………はわぁ。。。。』


『えっと、気持ち悪いかも、

とか思うかもなんですけど、

おっ、大島さんもWIN-HAZARD好きだと

思ったんで……。』


()()は、相原がいつも被っているのとはバージョン違いの、ピンク色のWIN-HAZARDのニューエラキャップだった。


『―――――――――――!!!

ま…………っ、マヂかよ!!??

こんなんもらっていいんかよ????』


『え、もちろん、だと思いますっ!』


クッソ!

クッソクッソクッソ!!!!


嬉しい嬉しすぎる!!

こんなん無理だろ色々と無理だろッッッ!!!!


『よ、喜んでもらえたら嬉しってぇ!!!??』


ウチは相原が喋り終わる前に抱きついちまった。


『えっ?ちょっ!!大島さんんっっっ???』

『嬉しい!ウチ嬉しい!!相原ありがとうぅっ!!』


ヤバいヤバいヤバいヤバい!!!

テンション上がりまくりのアゲまくりだろこんなん!!!!


『まっ、まってっ、おっ、大島さんんっ!!

あっ、あっ、当たってるっ!俺っち

てっ照れるっ恥ずかしい気がするんでっっ!!』


相原が固まって色々なんか言ってたけどよ、ウチの耳には入っちゃ来なかったんさ!


『相原ありがとうっ!! ありがとうなっ!!!

ウチ、めたくそばちくそ嬉しいっこれ、

ぜってーーー大事にするっ!!!!』


ウチは顔を上げて、自分が出来る精一杯の笑顔を作って相原にお礼を伝えたんさ。


『よっ、良かった……

よっ、よろこんでくれてっ……………………。』


当たりも薄暗かったから、確認は出来てねーんだろうけど、相原は恐らく真っ赤になりながら離れて少しウチから距離を取った。


ウチの誕生日。

ウチの、16歳の誕生日。


それを、ウチが1番大好きな人が、

いの一番に祝ってくれた。


クッソ!

ニヤけが止まらねぇ!

なんかよくわかんねー震えとか出て来たし、

なんかもう、なんつうの?

今のウチ、無敵だわ。

なんも怖くねーって感じ!!


そうだ!

今だ!!

今しかねぇ!!!


いけっ!!

行け明日香っ!!!

ゆっ、勇気を出せっ!!!!!


『あっ、、、あいはらっ、、、、!!!』


ウチの、想いを、伝えるのは、

今しか、今しかねぇ!!!!


『えっ、、えっと、、、なっなに? 大島さん……。』


『あっ、あのよ……、そっ、そのっ…………。』


―――――!!!


だっ、ダメだっっっっっ!!!!

あっ、頭がっ、まっ真っ白にっ!!

なっちまったっっっ!!!!


『おっ、大島、さん?』


『ええっと、アレ、アレなんだ…………。』


『え、うん…………。』


『ウチ……、ウチ………………。』


クッソ!!!!!!

簡単な!バチクソ簡単な言葉がっ

出てこねえ!!


『えっと、ニューエラ、ホントは

気に入らなかった……ですか…………?』


『ちっ、ちがっ!!!!

いっ、いやっ、そっ、そうじゃないっつーか、、』


『うーんと。でもほんとは

他に欲しいものがあったり、しました……?』


『…………え?』


『ほら、誕生日ですし。

ぼ、帽子だけじゃなくて、おっ、俺っちに

出来ることだったら、他にも、なんかあります?』


その相原の言葉を聞いて、まったくワケのわからねぇ何かがウチの頭ん中で予想外にはじけた。


『したらよ!期末まで

ウチに勉強教えてくんね!!??!!??』


『…………………………えっ』


恐らく、相原にとっちゃ予想外の展開だったんだろう。


だがよ、それは実はウチに取っても予想外だったんさ………………!!!


『あっ、うん。わかった、りました、と思う……。

いいっすよ。俺っちで良ければいいっすよ。』


『…………あ。うん、ありがとう、な……。』


クッソ。

情けねぇ。

ウチは"好き"って言葉を伝える勇気すら、

告白する勇気すらなかったっつーんかよ…………。


『んじゃ、俺っちたち特に部活もないですし、

毎日少しずつ放課後に勉強でもします?』


『あっ、うん!!ありがてぇ!まぢ感謝!!!

でっ、でもよっ、こっ、これもっ

ウチ本当にめったくそに嬉しかったからなっ?』


慌ててウチはピンクのニューエラを被った。


『そっ、それなら良かったですっ……!

てか、ホントのホントにもう夜遅いですし、

帰りましょ! 俺っち送りますからっ!』


『あっ、うん!おお!!悪い!たっ助かるっ!!』


2人してキョドりながら、お互いのチャリンコに手をかけた。


『あっ、相原っ、これ、

ほんとまぢでありがとう……。』

『あっ、いえっ、俺っちが好きで勝手に

選んだだけなんで……と、思うし……。』

『いやっ、嬉しかった……。

あと、べっ勉強もっ、その、まぢ悪い、、、

でも、チョー助かるっつーかよ…………。』

『あっ、いやっ、そのっ、うっ、うまく

教えられるかわからないんですけど…………。』

『…………………………。』

『…………………………。』


結局、このあとはロクな会話も出来ねーまま、ウチは相原に家まで送ってもらったんさ…………。




「……………………………………………………。」


ここまで思い出して、ウチはもう恥ずかしくてスマホを閉じてベッドに放り投げた。


「~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」


今思い出しても自分のチキンっぷりに悶絶しちまう!!

クッションを顔に当てて、バタバタと足を動かして身悶えちまう。


ウチらの間にゃ、こん時からもまだ色々あって今に至るんだけどよ、ちと恥ずかしすぎてよ、振り返るのは今日はもう無理だわ……。


時間も時間だしよ、そろそろ課題を再開しねーとだしよ…………。


その前にちとなんか飲むか。

顔がほてって落ち着かねーしよ………………。


―――その時




ベッドに投げ捨てられたスマホが、聴きなれた着信音を歌い出した。


ハッとして液晶を見ると、RAIN通話着信―――




「~~真司じゃんんっっっ!!!」


律儀にかけてきてくれたのかよ!!


クッソ!

嬉しい!!

真司大好きだ!!!


ウチは恥ずかしさも課題も忘れて、愛しの彼氏と通話し始めたんさ。


この大好きな大好きな空気感を味わいながら、よ。

お、お疲れ様、でした…………。


ギャル子の小話というかSSを幕間で、

と思ったんですけどね、、、

書いてるうちに後から後からどんどんネタが湧いてきて

もうこれ、SSというより軽いスピンオフになりましたね………………。

最初はチケット欲しい人の名前に出て来ただけなのに、バスケの助っ人したり聖夜くんと一緒に委員会出たりしてた岸川さんがこんなに活躍するとは思いませんでしたし……!

(しかも名前www)


てかてか!長さも45000字超えですよ。

しかも付き合うまで至らなかったという、ね……www


まぁ【前編】に当たる今回は大島さん視点で丁寧に書いてみたつもりですが、

【後編】では2章2話でお役御免だったはずの彼を中心に進めて行きましょうかね…………。


これから後編書くんですけど、更新は前後編一挙更新で行きたいって思うので、続けて読んで頂けたら幸いです。


と言っても今回も3章最終回を超える大長編だったので、ここに至るまで何日かかけた方も多いと思うんですけどね…………。


お時間ある時に楽しんで頂けたら嬉しいです^^

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