リリカのママがいない
一学期の最終日。
明日から夏休みと一番ワクワクする日にリリカのママはいなくなった。
リリカが学校から自宅マンションに帰るとダイニングテーブルの上にリリカが大切にしているサマンサタバサの長財布と手紙が置かれていた。
父親に買ってもらったお気に入りの財布。
財布の中には五万円入っていた。
手紙には
『リリカちゃんへ
仕事が入ったのでしばらく家には帰れません。
お財布にお金を入れています。
必要なものはそこから払って下さい。
パパに関係することは絶対に!人に言わないようにね!!
ママより』
リリカは深いため息をついた。
それから母親に何度も電話をしてみたが全く繋がらなかった。
あたりが暗くなった頃リリカは母親のインスタグラムを確認した。
すると、成田空港のラウンジで写した新しい写真がアップされていた。
顔は写っていなかったがグラスを持つキラキラしたネイルと指輪で母親本人だとはっきりわかった。
「仕事なんかしていないくせに…嘘つき」
リリカは泣いた。
それからしばらくして、リリカはやっと自分が昼から何も食べていないことを思い出した。
冷蔵庫には飲み物しかない。
目が腫れていて人に会いたくなかったが仕方なく、いつものようにマンション下の手作り弁当の店に行くことにした。




