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籠の小鳥たち  作者: 猫林かおる
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ごめんなさい

「マユ!!」

アリサはマユに駆け寄った。

幸い、マユは車に接触していなかった。

車道の手前で転び膝と手のひらに擦り傷ができていた。

「馬鹿!何してるの!」

アリサはマユを抱き起こした。

マユは泣きじゃくって言葉が喋れないでいる。

嗚咽を堪えるようにして、息をするのがやっとという様子だ。

和歌子は、事故に遭いそうになったマユに対して、何も言わず、見向きもしない。

四人の間には何とも言えない冷たい空気が漂っている。

「ごめん、アリサ。私、帰るね…」

そう言うと和歌子は帰ってしまった。

リリカは、その様子をただ見ているだけで何もできなかった。

嫌がらせをしていた犯人がマユだったことは、リリカにとってあまりショックなことではなかった。

以前から、マユが自分に対してあまりよく思っていないことは何となく感じていたし「やっぱり、そうか…」と思っただけだった。

「マユ、帰ろう。」

アリサは店の前に落ちていたマユの通学バッグを拾い上げてマユに持たせた。

「待って。あの…」

マユはリリカを呼び止めた。

「岩本さん。ごめんなさい…私、バチがあった。嫌がらせしてごめん。」

だけど、その言葉はリリカに対して心から謝罪しているというより、和歌子に嫌われてしまったことへの後悔の言葉のようだった。

「ごめんなさい。私、岩本さんを見ていると、嫌な自分になる。いろいろ、隠して、汚して、ごめん。」


「うん…明日からは隠すのやめて。あと、私のことはほっといて。」

リリカの口調は強かった。今はまだ、到底マユを許す気持ちにはなれなかった。

ただ、明日から上靴や服が無くなる心配をしなくて良いと思うとリリカの気持ちはずいぶん楽になっていた。




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