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籠の小鳥たち  作者: 猫林かおる
2/21

憧れの君

私は佐藤亜梨沙。

中学二年生。一応、クラス委員をやっている。

とくに人望があるとか人気があるとこかでは無い。

他にやる人がいなかったのと世話好きで声が大きいのが災いして任せられてしまった。


うちのクラスの人気者といえば


『若君』


私の隣の席に座っている一条和歌子だ。


何考えているかわからないミステリアルな雰囲気。

(ほんとは何も考えていない。多分)


本人は全く意識していないが、とても綺麗な顔。


その上、優しい性格なのでかなりモテる。


とくに男子より女子に人気で密かに思いを寄せている下級生や同級生の女子は多数。


部活で剣道をしているけど練習がある日は剣道場の窓からこっそり見学している子がたくさんいる。


髪がかなり短いけど長く伸ばせば更に綺麗だろうなと想像できる。呼び名が若君から姫君になるに違いない。


それにしても若君はよく食べる…

毎日放課後に菓子パン食べて部活帰りにも何か食べている。

いつもお腹を空かせていて年中、

「アリサ、なんか食べ物持ってない??」と

私に聞いてくる。育ち盛り…

その割にかなり細身で身長も170センチ近くある。


太りやすい体質で年中ダイエットをしている私からしたら、うらやましい限りで

「太れや!コイツ。くやしい」といつも思ってしまう。


そういえば今日、和歌子から

「アリサ、何で岩本はアントワネットて呼ばれてるの?」と聞かれた。


正直、マジか… と思った。

あの時の事をすっかり忘れているなんて。

怒ったのは私だけ??

驚いてなんも言えなかった。


リリカがクラスでハブられてる原因は和歌子、

お前のせいだよ…


ハブると言っても皆んな最低限話すし必要なコミュニケーションはとっている。

ただお昼は一緒に食べない。放課後遊んだりしない。クラスのガールズトーク的なことには混ぜない…ん?これってイジメか⁈

クラス委員なのに、このままで良いのかな?


もう、全部、若君のせいだ。




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