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籠の小鳥たち  作者: 猫林かおる
15/21

独りぼっちのリリカ


リリカの母が子供を残して海外旅行に行ってしまってから10日が過ぎた。


 その間、電話は無かったがLINEだけは頻繁に来た。

 

『塾、さぼったでしょう?塾からメールが来てました。もう中学生なんだから責任ある行動をとって下さい。ママ、恥ずかしかった(ぷんぷん顔文字)』

 

『ママが留守だからといってお菓子やケーキを食べ過ぎないで下さい。他人は言ってくれないけど、あなたは太って不細工なんだから自覚しなくちゃだめよ!(豚マーク)ママの子なんだから痩せたら絶対カワイイわよ。ダイエット頑張れ(ハート)』


『パパから連絡があっても絶対に二人で会ったり、写真を撮られたりしないでください。メールもLINEも駄目!あなたの将来に傷がつくから。まだ離婚していないけどパパはもう家族じゃありません。』


『リリカ喜んで下さい(ハート)新しいパパができそうです。めちゃくちゃ素敵な人です。セレブで紳士。今度、リリカに紹介します。楽しみに待っていてね。ママ頑張る!』


 リリカは母の絵文字だらけのキラキラLINEトークを読み返しながら深いため息をついた。


「ママは本当にお馬鹿さんだったんだ……」


 母の言動に呆れはしたが不思議と怒りや悲しみの感情は湧かなかった。


「もう、どうでもいい……」


 リリカはコンビニで買ってきたメロンパンをかじりながらそう言った。


 さっき食べた夕食は一階の弁当屋で買ってきた大盛り唐揚げ弁当だった。


 テーブルの上には飲みかけのダイエットコーラ1リットルのペットボトルとポテトチップの袋がある。

 

 母がこんなことするのは、今に始まったことではない。


 今まで何度も独りぼっちで放置された。

 

 理不尽な事を言われたり、母のよくわからない謎の価値観を押し付けられるのはいつものこと。


 幼い頃……いや、つい最近まで母親の言っている事がすべて正しいと信じて、母の理想の娘になれない自分の事が嫌いだった。


 でも……リリカは気づいてしまった。


 母は自分自身のこと以外は愛していない。夫や子供はアクセサリー。ブランド物のバッグや時計、服と一緒。


「パパが逮捕されたのはママのせいなのに……ママはパパを捨てた。パパ元気かな。会いたいよ。大好きだよ。パパ。」


 リリカは父親の事を考えると悲しくなった。寂しさが込み上げて来て涙があふれ、やがて号泣した。


 しばらく泣いていると、だんだん気分が悪くなり急に吐き気がした。急いでトイレに走った。


 便器の蓋を開けると思い切り吐いてしまった。吐いてしまうとスッキリしてとても気分が良い。


 リリカは、うがいをしたあと嫌だったが渋々トイレ掃除をし、ファブリーズをトイレと洗面所に撒いた。それが終わるとリビングに戻り、またメロンパンを食べコーラを飲んだ。


 何か物を食べている時、リリカの頭には嫌なことが浮かばず楽な気分になった。


 

 


 


 

 

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