リリカの家
和歌子は驚いた。
マンションの最上階のリリカの自宅は和歌子が想像するよりはるかに豪華だった。
アンティーク風の高級そうな家具。最新型の家電。
カーテンやカーペットも高級な分厚い生地のお洒落で華やかな物だった。
ただ、和歌子が一番驚いたのは部屋の隅にはまだ開けられていない引越しのダンボールの箱や洋服、デパートの紙袋が山積みになっっていることだった。ダイニングテーブルの上には化粧品や雑誌がたくさん乗っていた。
「え、また、引っ越すの?」和歌子は思わずリリカに聞いた。
「ううん。春に、三月に急いで引越して来てそのまま。使わないのは出してない。あと、ママの荷物は触っちゃだめなの」
リリカの部屋に案内されるとそこは綺麗に片付いていて比較的くつろげる雰囲気だった。
壁に家族三人の写真がたくさん飾ってあった。
リリカはお茶の準備のためにキッチンへ行った。
和歌子はリリカの家族写真を見た時、なんとなくリリカの父親に見覚えがある気がした。
「あ……⁈」
和歌子は思い出した。
「だから、急にこんな田舎に東京から引越してきたんだ……」
和歌子はリリカの秘密を知ってしまった。
その晩、職場の弁当屋から帰宅した裕子がマユに言った。
「今日、和歌子ちゃんが友達と一緒に夕飯買いに来てたわよ。上のマンションで一緒に食べるって言ってたけど、あの子がマカロンの子かしら?」
「え?何それ?なんで、若君と……」
「さぁ……?友達なんじゃないの?お母さんに聞いても知らないわよ。」
裕子はそう言うと、さっさとお風呂に入りに行った。
「ずるい……アントワネット、若君とコソコソ会って、抜け駆けだよ。やっぱりやなヤツ!」
マユは嫌な気持ちでいっぱいだった。