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いきなりダンジョンマスター   作者: ウメヤン
2/3

ポイントは貯めようとすると貯まらない。

2話目。今日はここまでですが、明日また投稿します。

 シロウが思い描いたものとはだいぶ違ったが、動画は盛大にバズった。最終的にLiveの同時接続は60万を超えたし、配信3日で視聴回数は1000万を超えている。アキト達は望み通りスター?になり、このダンジョンには多くの冒険者が訪れるようになった。全てが思惑どおりに動いているはずだった。


「全然、ダンジョンポイントが貯まらないねー」


ソファーの上であぐらをかいて座る美少女が艶然とした笑みを向けてきた。


「良いんだよ、先ずは客が来ないと始まらないんだから、それに微増はしてるだろうが」


定期的に数値は増える。こうやって話している間にも30が100に変わった。ほら見ろよとシロウが言おうとした次の瞬間には32。


「ほら見ろ、微増しただろ」


「宝箱やめたら?」


ダンジョンポイントはダンジョンに入る冒険者達により増える。そして彼らがダンジョン内の宝箱を取ったり、モンスターを倒すとそれらの再配置の為に減るのだ。


「冒険者をダンジョンに駆り立てる何かがいるんだよ。行ってこいよ。ゴールデンで頼む!」


「あの時は面白そうと思えたから、やっただけ。そして面白くなかった。もうやらないって言ったよね」


ゴールデンスライムに化けた妖狐がダンジョンを駆けまわれば、いろめきたった冒険者達が雲霞の如く押し寄せる。それがシロウのプランだったが、ダンジョンに戻ったシロウに妖狐が言ったのだ『面白くない。もうやらない』その言葉で路線変更を余儀なくされてしまった。


考えた挙句にアキト達がダンジョンに入った事で得たポイントと虎の子の初期ポイントの残りを使って、スライムやゴブリンと宝箱を配置したが、今の状況は良く言っても自転車操業。冒険者達が入る事で得たポイントで、彼らに倒されるモンスターや彼らが持ち去る宝箱を配置しているだけで、一向にポイントが貯まらない。


妖狐の言うように宝箱を止めようかなと思ったが、折角、増えた冒険者達が来なくなるのが怖い。


今のままでも微増はするんだ、それで良いじゃないかと言われたらそれは違う。ゴールデンスライムが目当てなんだ、全く出ないとなれば彼らは違うダンジョンに向かうだろう。


アイデアが浮かばない、、。こういう時は無理をしない事だ。『寝る』と妖狐に声をかけようと見れば、妖狐がソファーの上でうずくまる様に眠っていた。


「おやすみ」と小声で言いながら妖狐に毛布をかけると、シロウはマスタールームにいくつかある水晶のひとつに手をかざした。



◇◇◇◇◇◇



 東京国防高校は通称ダンジョン高校、略してダン校と呼ばれる。日本ギルドによって運営され、ギフテッドを得た者達を各地から集めた高校である。


 ギフテッドを得る条件は全くわかっておらず、後天的に得る事もあるために、毎年2月に国民全員の検査が行われる。その検査でも、ギフテッドがある事はわかるのだが、何のギフテッドかは当人を含めてもわからない。だから、こうやって集められて、色々な試験や体力測定、模造剣や槍などを使った模擬戦が行われる。生徒はその中で自分のギフテッドを理解していく事になる。


「シロウ、今日の模擬戦一緒にやらねーか?」


模擬戦か、、一番嫌いだ。シロウのギフテッドは戦闘系じゃないし、声をかけてきたタイチは戦闘系だろう、剣でも槍でもシロウが勝つのに、斧では絶対に勝てない。タイチは絶対に斧のギフテッドを持っているとシロウは確信していた。


「イヤだね。戦闘系は戦闘系同士でいちゃつけ」


「そう言うなよな、俺は明日から異動が決まった。斧術のクラスに行く事になったよ。最後におまえに勝ちたいんだ」


「暑苦しいヤツ」


そう言いながらも、やるかいう気持ちになった。シロウとタイチは福岡県の中学の同級生で、同じタイミングでギフテッドの検査に引っかかり、一緒にここに来たのだ。それも今日で終わりと言われたら、やるしかないだろう。今日は月曜日だから剣だし。



◇◇◇◇◇◇



 「では、模擬戦を開始する。先週言ったとおり、今日は好きな武器でやり合え」


教官の言葉に固まるシロウを見るタイチは、やっぱり聞いてなかったか、先週は特にぼーっとしていたからなと思い、サッサとやるぞとシロウを促す。


「はかったな、タイチ」


「坊やなのさ」


「クソッ」


『始め!』教官の声とともにタイチはシロウに飛び込んでいくと横に思い切り斧を振るった。それを剣で受け止めるシロウ。


『斧の魅力は力だ。斧術のギフテッドを持つ者の渾身の一撃は、例え相手が剣や槍のギフテッドを持っていても受け切れるはずがない、やつらは精々受け流すしかないからな』面談での斧術教官の言葉が思い出された。まったく、自信無くすぜ。


タイチはそのまま身体をぶつけるが、シロウもそれがわかっていたのだろう、同じように身体をぶつけられて受け止められた。シロウの顔が近くにある。


「なあ、シロウ知ってるか?」


「なにをだよ」


「俺は模擬戦でシロウ以外に負け越す相手はいないんだよ」


「俺への賞賛か?どうもありがとうよ」


「だけど、それも今日で終わりって事だ」


「まだわかんねーだろうが」


「もう一つ、俺は昨日、卒業したぜ!」


「えっ誰とだよ」


「お前の右にいるよ」


シロウの集中力が乱れた。タイチは身体を少し後ろに動かし、シロウの剣と打ち合っている柄の部分の力を逸らした。シロウの身体が前に泳がされる。


「一本貰った」


タイチは全力の一撃をシロウに放った。




読んで頂きありがとうございます。

誤字や脱字、意味不明な文章に説明不足なところなどがあったら、是非教えて下さい!



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