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我想ふ
「こちらに蘭桜雅さんと鉄轍輝さんはおられますか。」
昨日の入学式で話していた生徒会長がクラスにやってきたことに驚いた。
「さっきまでいましたよ。」というクラスメイトの返答にお礼を伝えて立ち去ってしまった。
「あなたがたが蘭さんと鉄さんですか?」
どうやらこの人は、生徒会長の皐月愛明という人らしい。黒髪のロングでとても美人なのだがいかにも真面目という雰囲気が醸し出されている。問いには肯定の意を示した。そうすると何故昨日休んだのか、何故屋上に居るのか、その髪は何だ、制服はしっかりと着ることなど怒涛の攻めがきた。なんと答えるべきか分からなかった。
「先輩、質問が多いですよ」と少し笑いながら誤魔化そうとした。この空気にいたたまれなくなり、轍輝の教室に戻ろうという提案に乗って戻った。
廊下で轍輝に「好きになってもうたかもしれんわ」とぼっそと呟いた。
窓側の後ろにある座席に戻ると、昔からずっと三人で一緒にいた短髪美人の少しヤンチャそうな見た目の黒河舞雨に先生に呼ばれていたことを聞いた。面倒くさいと思いながらも轍輝と一緒に先生の許に行った。