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ゴブリンの日常

作者: 東京人

はるか昔にプロットを作っていた出来の悪い小説をここに供養します。。。

「ウガ!ウキキ!」

 今日も聞きなれた声とともに目を覚ます。この声はおそらく一郎だろう。彼が騒ぐということは、すなわち朝になったということ。もっと言えばそろそろ狩りの時間なのだ。


「ウケ!!!ウガウガ!!!」

 今度の声はたぶん花子だ。ずいぶん朝から怒ってるな…昨日獲物がなかったことにおかんむりのようだ…


「よっこらせ。」

いつまでも寝ていても仕方がないので、掛け声とともに体を起こす。とりあえず水場で顔を洗おう。


 水場に行く途中、今日も多くの仲間たちとすれ違う。

「ウガ、ウケケ!」

「ああ、おはよう。今日も牙が美しいよ美香。」

「ウガウガ、ウホホ!」

「え?美香は俺の女だって???はいはい、今日も仲睦まじくてよろしいことで…」

 相変わらず美香と次郎はラブラブだ。そんな彼らを置いて水場へ到着。顔を洗うついでに身だしなみをチェック。

「牙もぴかぴか、腰巻の結び目はしっかりしてるな…あとは、うん、ウガ、ウガウウ!(今日もばっちりだ)」


…皆さんもうお気づきだろう。この黒くて筋肉質な体、鋭い牙、白い腰巻がワンポイントの僕はゴブリンなのである。



『転生』


 それはオタクの夢を叶える甘美な言葉だ。貴族の息子に転生して領地経営、冒険者になってギルドでモテモテ、乙女ゲームの悪役令嬢になっていつの間にか逆ハー…etc

 オタクならそんなことを一度は夢見たはずである。


 僕の名前は山本一郎。平凡すぎる名前だが、元々は日本に暮らしていた一般人だった。ある日、トラックにひかれて目が覚めると、このゴブリンの姿になっていたわけである。

 状況を理解したとき、最初は絶望した。なぜ人間じゃないのか。たとえ人間以外だとしてもエルフとか美形の種族になりたかった。黒光りする体、豚のような鼻、人語を発することはできない声帯。どう贔屓目に見ても人間時代よりキモイ…。しかもゴブリンと言えば魔物界隈最弱、性欲だけ強くて女冒険者から忌み嫌われるというのが相場である。どう考えても最悪の転生じゃないですか。

 

 ひとしきり落ち込んだ後で次に思いついたのがこれだった。

「実はすごい能力とかがあって、魔物界隈で無双できるのではないか?」

 ちょうど転生前に読んでいたなろう小説がこんな感じだった。しかし、数日ゴブリンとして暮らしてみてわかったことがある。この体、恐ろしく平凡なのだ。決して他のゴブリンと比べて体格が劣っているわけではないが、魔法が使えたり、女神の声が聞こえたりするわけではない。そう、本当に普通のゴブリンになっているわけである。


 しかし、この生活も慣れてくると悪いことばかりではない。どうやら自分の転生したゴブリンは集落で仲間で暮らしており、普段は動物を狩って飢えをしのいでいるようである。別に仲間同士で殺しあうわけではなく、今のところ冒険者(的な人間)が現れて攻撃してくる気配もない。普通に暮らしていれば意外と危険もないのである。そしてなんと、雌ゴブリンと子作りもできるのである(!)

 いや、初体験が雌ゴブリンというのはさすがに僕もちょっと…と思ったが、何しろこの体でも性欲がある。悲しいかな、ゴブリンの集落で雌に拒まれるということは基本的にない。そこらへんは動物的なのだ。


 この生活を続けているとたまに人間だったことを忘れそうになる。が、意外と悪くない。何せ人間時代と比べてストレスが少ない。そこには、競争も、嫉妬も、格差もない夢の世界が広がっている…

「まったりゴブリンライフ、皆さんも過ごしてみませんか???」

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