余談
ちなみに戦争ネタとしてお勧めのノンフィクションは『戦争は女の顔をしていない』『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』です。
『戦争は女の顔をしていない』
ベラルーシ出身のノーベル文学賞受賞作家が、独ソ戦における従軍女性の証言をあつめたインタビュー形式の本。ベラルーシでは祖国を中傷しているみたいな理由で長年出版できなかったそうです。
まとまりがなく主観的で、資料としては重要ではないかもしれませんが、女性兵士ならではの心理を知るには大変面白い本だと思います。
Twitterでは可愛い絵柄でコミック化されています。
「幸せって何か」と訊かれるんですか?
私はこう答えるの。
殺された人ばっかりが横たわっている中に生きている人が見つかること……。
(『戦争は女の顔をしていない』 マリヤ・ペトローヴナ・スミルノワ衛生指導員と看護婦のアンナ・イワーノヴナ・ベリャイの話)
『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』
ナチスは「ドイツにふさわしくない本」を政府公認で焚書しました。その数一億冊以上。
対するアメリカは図書館員の主導で本を寄付する抗議運動を始めました。
戦場の兵士に本を送れ――。
兵士用に開発された兵隊文庫をきっかけに、戦後ペーパーバック出版が盛り上がったと知りました。
図書館員・米軍・出版業界・民間人が展開した史上最大の図書作戦を描く、ニューヨーク・タイムズのベストセラー。
前線の兵士でも、常に緊張状態や恐怖心を抱えていると疲弊してしまいます。読書という時間や場所を選ばない娯楽で、兵士が安らぎを得ることができると書かれてます。
表紙の読書する兵士の写真がいいんですよ。
ブクマ十件でも、「画面の向こうにいる人がおれの小説を読んで、この兵士のように孤独や重圧から一時解放されるならいいじゃないか」と妄想しましょう。
「おまえの小説は面白くないから消せ」というコメントをもらったら、「こういう類の人間がああいうことをしたんだなあ」と思って消去しましょう。
私たちは、この戦いにおける武器は本であることを知っている。
(『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』 ルーズヴェルト大統領の声明)