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主人公の心理的負荷を取っ払おう②

 人間は標的との物理的距離が遠いほど殺人への抵抗感がなくなります。

 普通人殺しの心理は、殺している最中は反射的で、その後多幸感が湧いてきます。多幸感はほとんど間を置かず罪悪感に変わるのですが、標的との距離によって罪悪感の深さが違ってきます。


★最大距離および長距離からの殺人(ミサイル発射員、爆撃機の乗員、大砲の砲手)


【個々の犠牲者を認識できない距離のことである。(中略)かれらは人を殺すのに、なんの困難も感じていない。】(194p)


 機械的手段の介在により、自分は人を殺しているわけではない、スイッチを推しているだけだ、と思いこめます。


★長距離(狙撃兵、対戦車ミサイルの砲兵)


【目と目が合うこともなく、戦闘の汗と緊張感もない(中略)殺人について語る狙撃手の見かたや表現はみょうに人間味が薄く(中略)】(196p)


 殺人行為に対する不安は少しあるが、機械的手段や集団免責により、かれらの精神は守られているそうです。


★中距離・手榴弾距離の殺人(歩兵、戦闘工兵)


【中距離とは、敵を目視でき、ライフルで交戦することもできるが、自分の与えた傷の程度は見えず、命中したときの犠牲者の声を聞いたり表情を見たりすることはできない】(199p)


 他にも発砲してるやつがいるし自分が殺したんじゃない、と言い訳できます。


★近距離の殺人(飛び道具による殺人)


【自分の行いを示す否定しようのない証拠を突きつけられているからだ。この段階の罪悪感は非常に激しく、身体的な嫌悪感から嘔吐を引き起こすことも珍しくない。】(204p)


 敵と目と目が合い、そこに恐怖を読み取れば、同じ人間だということは否定できなくなります。犠牲者の悲鳴はトラウマを倍増させます。


★刺殺距離での殺人(銃剣や槍による殺人)


【刃物を突き出すのはむずかしいということだ。払ったり振りおろしたりするほうがはるかに簡単なのである。突き出すのは相手を刺し貫くためであるが、振りまわすのは敵の急所を刺し貫くのを回避する、あるいはそのような意図を否認することなのだ。

(中略)身体の付属物で敵の身体を刺し貫くのは、いくらか性的な意味合いを帯びた行為である。】(212-213p)


 そういえば、イギリス海兵隊は今世紀四回の銃剣突撃をしたと話題になってましたが、この本の心理分析から考えるとかれらの戦闘意欲怖いですね。

 普通、刃物による〈ごく私的な残忍性〉によるトラウマは相当なものらしく、犠牲者の泣くような悲鳴、口から噴き出す血、「えびみたい」に飛び出す目を記憶の一部として一生抱えていくことになると書いてます。

 トラウマを避けるために、銃剣突撃では逃げ出した敵兵の背中を狙うことがよくあるそうです。


★格闘距離での殺人

(データなし。この方法で戦闘において実際に人を殺した者の記述は見つけられなかったそうです)


【素手で敵を殺すとして、真っ先に思いつくのは喉を潰すことだ。(中略)いちばん有効で力学的にも容易なのは、目に親指を突っ込んで脳にまで押し込み、頭蓋骨内をかきまわし、さらにその指を鉤型に曲げて眼球その他の組織を力いっぱい引きずり出すことである。】(229-230p)


 米軍はこんな訓練を、目にオレンジのテープ貼ってやってるそうです。怖い。

 あとなんかセックスと殺人を結びつける話が書かれてますが、さすがにここに引用するのは不安なのでやめておきます。


 現代に下るほど敵との距離が遠くなる武器を人間は発明してますが、肉体的安全よりも精神的安全のためなんでしょうかね。


 プロットを作ってみました。


 暗い性格の学生の主人公は、ゲームが得意だけどクラスではぼっちで馬鹿にされてました。

 ある時クラスごと異世界転移してしまいます。

 そこでは人間同士がドローンのような武器を使って、顔の見えない敵と戦争していました。


 現地人に助けを求めると、代わりに戦闘に参加することを要求されます。

 迷ったクラスメイトたちは現地人の戦闘の様子を見てみました。

 一人部屋の中にパソコンがあって、ディスプレイには地図が表示されています。

 地図上のピコピコ点滅している部分にマウスポインタを合わせてクリックします。これで敵のドローンを撃ち落とせました。

 戦闘はほとんどこの繰り返し。


 なんだ、ゲームみたいなものじゃないか。とクラスメイトたちは思い、衣食住の代わりに戦闘に参加します。

 ノルマを達成できればグレードの高い待遇を受けることができます。

 当然ぼっちは撃墜王になって、クラスでもてはやされます。

 ゲーム下手な美少女に「ぼっちくん、すごーい♡」と頼られ、食事を分けてあげたりします。


 ある時ぼっちは美少女たちの陰口を聞いてしまいます。

 キモオタ、調子乗ってる、媚び売ればすぐに貢ぐなど。

 ぼっちはキレて、もうお前らを助けないと宣言します。

 無理やり食事を奪うことはできません。スマートウォッチのような腕輪をはめられていて、かれらは現地人に常に戦績や位置情報の監視されています。

 腕輪のボタンを押せば、録音録画されて証拠が残ります。


 美少女たちは謝りますが、ぼっちは許しません。「おれの性奴隷になれば許してやる」と条件を出します。

 そしてぼっちはハーレムを築きます。


 ある時ぼっちは目を覚ますと砂漠の真ん中に放置されていました。腕輪は外されてます。

 クラスメイトたちが共謀してぼっちを追放したのです。


 実は腕輪が知らない間に美少女のものとすり替えられていて、ある時から現地人に報告されるぼっちの戦績はがた落ちでした。

 セックスに夢中のぼっちは食事などの待遇が悪くなっていることに気づきませんでした。

 また腕輪には美少女をレイプした証拠が残っていたので、クラスメイトたちの告発を受けて現地人はぼっちを追放しました。


 しかし、ぼっちは幸運なことに敵国の兵士に発見されて捕虜になります。

 敵国ではその能力を買われ、なによりも司令官が経産婦の美女で甘やかしてくれるので、ぼっちは寝返りました。

 やがてぼっち側のドローンはクラスメイト側を圧倒し、作戦本部のクラスメイトたちも爆破して勝利します。

 ぼっちは司令官のママにいっぱい甘やかしてもらいました。


 面白いかどうかは別にして、これならクラスメイトを攻撃しても地図上の点なので、ぼっちがあんまり葛藤しなくても不自然ではないですよね?

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