中佐から大佐に昇進したので、できることが増えたな
さて、潜水艦の撃沈任務は達成したものの、稚内及び小樽を襲撃したソ連の超兵器でイヴァン雷帝の名を冠した”ヴァシリエヴィチ”のレーザー攻撃により軍港や航空機用施設は壊滅的な打撃を受けたことで俺たちは大湊へ戻ることにした。
すでに南樺太及び道北や道央はソ連軍が制圧してしまっており、道東などが制圧されるのも時間の問題であろう。
そんな折に大湊に到着した俺は中佐から大佐へと昇進の辞令を受けた。
「これはソ連軍の侵攻を遅らせた英雄に対する国民の総意だと思ってくれたまえ」
「ありがとうございます。
一層の奮闘を約束いたします」
「うむ、期待しているよ」
実際は大敗をごまかすためにも英雄を必要としているのだろうけどな。
大佐に昇進したことで艦艇の乗り換えの制限が解除され、今後は戦艦や航空機母艦、航空戦艦、魚雷艇やミサイル艇、掃海艇などの小型の攻撃艇を搭載できる特殊巡洋艦や特殊戦艦、潜水母艦などの大型艦艇への乗り換えも可能になる。
更にイベントが進んで少将になれば駆逐艦4隻までの駆逐小隊を、中将になれば6隻までの水雷戦隊を編成して出撃することが可能になり、大将になれば個人で鎮守府を開いてメンバーとともに戦うこと、要はファンタジーにおけるオリジナルギルドを作ることも可能になる。
もっとも船がでっかくなったり、数が多くなったりすれば、当然被弾する可能性も増えるので絶対的にそうした方がいいとも限らないが。
そして本来であれば戦艦や空母等の大型艦艇の船体や艦橋、戦艦用の大型砲塔や空母用の航空機、特殊艦艇へ搭載可能な小型艦艇の開発には駆逐艦や巡洋艦の船体や艦橋、搭載可能な大砲や機銃、魚雷、爆雷と言った装備に比べて莫大な功績値が必要なので、どちらにしろ戦艦などへの乗り換えは早々にはできなかったりもするのだが、俺はなぜか功績値が無限であるからある程度制限はあるもの、俺の好きなように船体や大砲などの武装を開発できるはずではある。
とは言え現状で開発できるのは戦艦は金剛型、空母は鳳翔くらいのようで航空戦艦や特殊母艦の開発は無理なようだし、現状では戦艦や空母では潜水艦に対処できないので、敵に潜水艦がいる場合は駆逐艦や巡洋艦のままのほうがいいときもあったりするのが悩ましいところだ。
そんな感じで悩んで食事をしているところに美月くんが笑顔で声をかけてきた。
「艦長、大佐への昇進おめでとうございます」
「ああ、給料も上がるし悪いことじゃないな。
まあそれはともかく今はゆっくり食事をとって、風呂に入ってぐっすり寝るとしよう」
「たしかにそれは大事ですね」
と思ったがそうは問屋がおろしてはくれないようだ。
唐突にコンソールが開いてミッションが提示されたのだ。
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【ミッション】ランクD
目標:敵水上艦艇に対して大湊の防衛ラインを死守せよ
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そしてサイレンが鳴り響いた。
「やれやれゆっくりはしていられないようだな。
ソ連海軍が来たか?」
「ソ連帝国艦隊が接近しています。
速やかに迎撃についてください」
「やれやれまた食事の途中だが行くか」
「はい、艦長!」
俺は急いでコンソールを開いて船を駆逐艦”吹雪”から巡洋戦艦”金剛”へと変更して急いで戻った。
あまり時間がないので細かいことはいじれないが、エンジンは新型に変更して速力は30ノットに変更。
金剛の兵装は重巡洋艦に近い物でもあるのだがそこまでバランスは悪くない。
45口径35.6cm連装砲4基
50口径15.2cm単装砲16基
53cm三連装魚雷発射管8門
のままでもいいか。
いや、念のため25mm3連装機銃18基を追加しておこう。
津軽海洋を日本海側に出て、北から南下してくる敵を迎え撃つ準備を整える。
「またもやだいぶ接近されてしまったか」
俺が聞くと美月君はうなずいた。
「大丈夫です。
まだ、防衛戦に対しての到達には時間があります」
「よし速やかに出港せよ。
両舷前進最大戦速!」
「両舷前進最大戦速!」
戦闘マップには北に光点が移っていてそれは刻一刻と南下しつつある。
「前は逃げることしかできなかったが今度はそうはいかんぞ。
よし九五式水上偵察機を発艦させよ」
「了解しました。
九五式水上偵察機発艦します!」
そしてしばらくして無線での報告が入ってきた。
『テキカンタイミユ、コウクウボカン1、センカン1、ジュンヨウカン2、クチクカン16。
テキコウクウキハI-15bisニJu87」
「敵の航空機が来るのが先か。
迎撃準備! 対空戦用意!」
「迎撃準備! 対空戦用意!」
15.2cm単装砲は12.7cm連装高角砲にしとくべきだったかな……いやまあ、25mm3連装機銃18基があれば十分だと思うけど。
「I-15bisおよびJu87来ます!」
「ジェリコのラッパ」と呼ばれる威嚇用の吹鳴機が禍々しく鳴り響き、頭上から急降下爆撃をおこなうJu87へ25mm3連装機銃が火を吹くと練度不足なのかパタパタと敵機が落ちていった。
敵機の攻撃をくぐり抜ければ今度は敵の艦隊との直接戦闘だ。
「目標、敵一番艦(先頭艦) 駆逐艦が射程に入り次第.、1番2番主砲、撃ち方始め!」
「てっ!」
”ズドォッン!!”
45口径35.6cm連装砲が火を噴き、その砲弾は敵駆逐艦へ命中して、あっさり駆逐艦は爆沈した。
しかししばらくすると敵の反撃も始まる。
「敵戦艦ガングート、撃ち方始めました!」
あちらは52口径30.5cm三連装砲なので性能的にはこっちが少し上回るはずだが、さほど差はなく砲弾が直撃すれば大ダメージは確実だ。
「回避運動!」
「回避運動」
敵艦から発砲炎と黒煙が広がって、敵砲弾が降り注いで周囲に派手に水柱が次々に立った。
だが俺の”回避”の能力と高い速力もあって、敵の砲弾は当たらない。
そして敵戦艦とすれ違う。
「目標、敵戦艦ガングート 一斉撃ち方始め!」
「一斉撃ち方始め!」
お互いのすれ違いざまに主砲の打ち合いとなった。
「敵艦への着弾を確認。
敵戦艦大破! 行動不能と思われます」
こちらは……。
「ふむ、何とかよけられたか……」
そして敵の旗艦である戦艦を大破させ、駆逐艦を何隻か撃沈したことで敵艦隊は撤退した。
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【ミッション】ランクD クリア
目標:敵水上艦艇に対して大湊の防衛ラインを死守しました
目標を達成しました。
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「一時はどうなることかと思いましたが、なんとかなりましたね。
艦長」
「うむ、敵の後続戦力はない模様だな。
偵察機を引き上げて大湊へ戻るとしようか……腹も減ったことだし」
俺がそういと美月くんも笑っていった。
「わたしも、もうお腹ペコペコです」
こうしてソビエト海軍をなんとか追い払ったが今後は一層厳しくなりそうだ。