特定の状況では一番怖いのは超兵器でも航空機でも潜水艦でもなく機雷だがなんとかジブラルタル海峡は突破できた
さて、地中海方面への滲出は順調だったが、ジブラルタル海峡に差し掛かった所でさっそく厄介な事態に対処しなければならなくなった。
「司令!
ソナーに微弱な反応が多数です!
おそらくこの先は機雷原となっているかと」
「やはり機雷をばらまかれたか。
厄介なことだな」
今までの殆どはソ連やナチス・ドイツなどの敵が攻撃してくるパターンで、ノルウェー上陸作戦時は機雷の敷設はされていなかった。
それ以前にイギリス軍はノルウェー領海への機雷敷設作戦を行い、ドイツのスウェーデンから鉄鉱石を輸入の阻止しようとしていたように、ドイツの鉄鉱石は北欧に頼っていたから自分たちの首をしめるようなことはしなかったのだ。
しかし、ヴィシーフランスやイタリア軍はスエズ運河やジブラルタル海峡を機雷で封鎖すればイギリスに大きな打撃を与えられるからと盛大に機雷をばらまいている。
そして航路が限定されている状況ではそれを迂回するというのも困難で、沿岸砲台や施工上からの航空機による攻撃にも対処しなければならない。
機雷は潜水艦や駆逐艦、機雷敷設艦のような水上艦艇、または航空機からの投下によって簡単に敷設できるのも厄介なことだ。
第二次世界大戦では70万発の機雷が使用され、港湾や海峡の入り口はくまなく機雷で封鎖されるのは普通の事だが、ナチス・ドイツ海軍も、当初は駆逐艦を用いてイギリス沿岸に磁気機雷を敷設し、その後は空軍の航空機やUボートが敷設を行ない、Uボートの待ち伏せ攻撃とともにイギリスを苦しめていたりもする。
逆にイギリス軍も、地中海や大西洋でUボートを撃退する目的で機雷原を作りあげて、Uボートの通商破壊を妨害している。
日本海軍は、機雷作戦による積極的戦果を求なかったためにほとんど、敷設をしなかったが。
「駆逐艦を先行させて機雷を除去せよ。
その際に飛行場や空母からの航空機攻撃に備え戦闘機に直掩を行わせるように」
「了解しました」
現実的に言えば機雷に対しての対処は掃海艇と熟練した作業員が必要だが、この世界では機雷は機銃や機関砲、小型の機雷除去魚雷などで爆破できるので、ある意味楽は楽だが気をつけないと機雷に接触して”チュドーン”だ。
特に大型な戦艦や空母で機雷に対処するのは難しいので島風型駆逐艦を先行させて機雷原の機雷を機銃掃射で取り除いていくのだが当然ながらあまり速い速度で機雷原に突っ込んでいけば撃ち漏らす可能性が高い。
そして予想どおり敵航空機の攻撃があったのだがそこでも予想外の事が起こった。
「敵攻撃機が突如出現しました!」
「なんだと?」
「敵機は旧式な羽布張りゆえレーダーで察知出来なかったようです。
そのためミサイルも追尾できません!」
「く、高角砲と直掩の戦闘機で対処!」
「りょ、了解しました!」
ここで機銃を上に向けたら機雷の掃討が進まないが、まったくもってそういう意味では厄介な相手だったが、幸い単純に旧式な機体であったことが幸いして、烈風グリフォン改による有視界戦闘で落とせたが、時と場合によっては旧式な材質や構造の機体のほうが察知しづらいということもあるのには冷や汗をかいたな。
ともかくなんとかジブラルタル海峡は突破できたので、ヴィシーフランスとイタリアの戦艦や空母と戦うことになるだろう。




