ドイツの新型Uボートには苦しんだが何とか通商破壊は防いだよ
さて、俺たちは現在イギリスに対して通商破壊を行っているUボートボ撃沈任務を行っている。
だが俺たちの水上・水中索敵能力は今のところ抜きん出ているためUボートの発見や撃沈は容易だった。
「Uボートの撃沈を確認しました!」
美月くんの報告に俺はうなずく。
「よしこれで今回の任務は達成だな。
港に戻るぞ」
「はい、司令」
さて、ドイツ空軍のイギリス攻撃は苛烈だが、何とかイギリス本土を守り抜けているのは航続距離の問題を解決せずに無理やり作戦を行わせているヒットラーのおかげだ。
だが、もう一つ問題なのは北アメリカや南大西洋からイギリスに向かう輸送船団をドイツの潜水艦による通商破壊作戦によって輸送を阻止しようとしてくることで、現状では、ドイツ海軍の水上艦である戦艦、ポケット戦艦、巡洋艦による攻撃まである。
特に第一次世界大戦の敗北でドイツ海軍は大幅な軍縮を余儀なくされ、水上艦ではイギリス海軍に勝ち目がないドイツは潜水艦での通商破壊作戦を海軍の主軸にしているのだが、空軍が二機一組で戦うというロッテ戦術を使ったように小型Uボートを複数で連携して運用する”群狼戦術”前はかなり厄介である。
イギリスや日本のように広大なシーレーンを守らなくてはならない島国では、近代化が進むにつれて自国で自給できない海外の資源である石油やゴム、アルミの原料であるボーキサイトなどの希少金属に加えて日本お場合は鉄鉱石なども必要とするようになってくると、それを輸送する船が通商破壊で撃沈され、その資源が国内に入ってこなくなると致命的な結果になる。
実際に史実の日本は石油の禁輸措置やアメリカの潜水艦による通商破壊でそういった資源が入らなくなってきたことで製造や整備に大きなダメージを受けたのも敗北に至った大きな理由であるしな。
しかも船体が小型で搭載する武装もメインの魚雷に加えて小型の砲や機銃程度の潜水艦は大量生産が容易であり、アメリカが日本に対して通常破壊を行うには長大な航続距離が必要だが、ドイツがイギリスの、ソ連が日本の通商破壊をするのにはそこまでの航続距離も必要ない。
おまけにドイツのUボートの潜航深度は230mと他国の潜水艦よりもかなりの深さまで潜ることができるようになっていた。
安価で多量に建造できる潜水艦で輸送船団を沈められるのは、費用対効果的にも痛いのだ。
第一次世界大戦でイギリスが被った損害は重大で、戦後のヴェルサイユ条約でドイツは潜水艦の保有を禁止されたくらいだからな。
そのため今まではかなりの被害を被っていたらしい。
もっとも、イギリスがアメリカの物資支援を取り付けた事で、イギリスには不可能だった対潜護衛艦艇を大量生産するということが、アメリカではできたことから状況は改善しつつある。
標準型商船の改造により低速で搭載機数も多くはないが短期間で数が揃えられる小型の護衛空母と、同じく短期間で数が揃えられる対潜護衛任務に特化した護衛駆逐艦の大量製造にアメリカが踏み切りそれを輸送船につけたアメリカ護送船団によりドイツ側のUボートによる通商破壊により犠牲も減りつつあるらしい。
現状の潜水艦はあくまでも潜水もできる艦であって、艦内に蓄えた空気だけではディーゼルエンジンを運転するには不十分であることから、頻繁に浮上する必要もあり、浮上中にしかエンジン推進できないことから、潜航時における速度は遅く、潜航深度も80m程度でしかない。
そのため通常は浮上してディーゼルエンジンで発電して二次電池に充電し、任務に必要な時に潜航してモーター推進するのが一般的であったため、頻繁に浮上してのバッテリーへの充電が必要だったため、対潜哨戒機からの目視も十分な効果があるため護衛空母の大量配備はドイツの潜水艦にとっては脅威なわけだ。
イギリス海軍において浮上中の潜水艦や潜望鏡に対してレーダーが使用されはじめたのも大きい。
それにより俺たちの出撃機会は減ってきている。
基地に戻ってきた俺たちは休息をとった後で食事をしている。
「まったくもって敵にするには恐ろしすぎる国だな、アメリカとイギリスいう国は」
「そうですね。
これでアメリカとイギリスの料理がもう少し美味しいともっと良かったのですが」
「ああ、それを言ったら贅沢というものだ」
そんな事を話していたら唐突にコンソールが開いた。
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【ミッション】ランクC
目標:新型潜水艦を撃沈せよ
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そして館内放送が流れた。
「当基地へ入港しようとしていた輸送船団及び護衛艦隊が全滅しました。
敵潜水艦による攻撃と思われます。
ただちに捜索発見し撃沈してください」
「全くいつもながら間の悪いことだ。
行くぞ、美月くん」
「はい、急いで出撃します、司令」
アメリカやイギリスの護衛艦隊を含めて全滅ということはドイツの新型潜水艦か。
俺は急いで乗艦を航空巡洋艦”利根”に変更し、対潜哨戒機でもある彩雲を載せ武装に爆雷投射砲と新型対潜誘導魚雷を設置する。
その他艦橋機能や強化パーツ装備などで水中索敵能を上げ速度も37ノットまで上げた。
「よし速やかに出港し、輸送艦隊が全滅した海域に向かうぞ。
両舷前進最大戦速!」
「両舷前進最大戦速!」
「輸送船団が全滅した海域へ向けて対潜哨戒機を発艦させよ」
「対潜哨戒機、発艦します」
そしてしばらくして無線での報告が入ってきた。
『テキセンスイカンミユ』
「よし、座標が分かったな。
そちらへ急いで向かうぞ!」
「了解です!」
「音波探信儀に感あり! 潜水艦です!
しかし信じられません……潜航中なのに速度が17.5ノットはでています」
音波探信儀担当が叫ぶ。
「ふむ、水中での性能に全てをつぎ込んだ新型の水中高速型潜水艦のようだな……。
対潜戦用意」
「対潜戦用意」
しかし音波探信儀担当が叫ぶ。
「魚雷音聴知!」
「チッ、やはりあちらもこちらの接近をわかっているか。
回避!回避!」
「回避!」
ソ連の潜水艦に比べて魚雷の性能もだいぶ良くなっていたが、こちらの船の速力を上げたこともあって何とか回避はできた。
「対潜誘導魚雷で反撃せよ!
対潜誘導魚雷用意!発射」
「魚雷発射!」
号令とともに音波探信儀担当がイヤホンをさっと外した。
そしてしばらくして”ボシュ”っと水柱が上がって、音波探信儀担当がイヤホンをさっとつけて確認する。
「潜水艦の圧壊音を確認!」
「よしなんとか撃沈したな」
撃沈した場所の潜水艦コンソールの光点も消滅しているので間違いないだろう。
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【ミッション】ランクC クリア
目標:敵新型潜水艦を撃沈しました
目標を達成しました。
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やはり敵海軍に加えて航空機も強化されていくようだな。
今回は一隻だったから何とかなったが、これがたくさん出てきたら対処は難しくなりそうだ、




