スエズ運河を超えた後でイタリア海軍と交戦したが無事に勝利したよ
さて、シンガポールで補給を受けたあと、我々はインドでも補給を受けてスエズ運河を経由しイギリスの本土へ向かっている。
ソ連やドイツ、その協力国などの攻撃もあるかと思ったが、当のソ連やドイツがそれどころではないのかそういったものがなかったのは助かった。
「スエズ運河がイギリスの管理下であったのは助かったな」
1936年に締結されたアングロエジプト条約で、イギリスが運河の管理権を主張し、スエズ運河に軍隊を駐留させていることもあって現状では我々は運河を通過できるのは助かる。
俺がそう言うと美月くんもうなずいた。
「そうですね。
スエズ運河が使えない場合は、アフリカ大陸を南側から遠回りしないといけませんでしたし」
もっともギリシャ王国は参戦したイタリアによる、北アフリカの植民地リビアからエジプトへ、バルカン半島のアルバニアからギリシャへ、準備も不十分なまま性急に侵攻した結果、イタリア東南部のタラント軍港が、航空母艦から発進したイギリス海軍機の夜間爆撃に遭い、イタリア艦隊は大損害を被り、またギリシャ軍の反撃に遭ってアルバニアまで撃退され、イギリス軍に逆にリビアへ侵攻されるという、ドイツの足を引っ張る有様であったが、この後もイタリアはドイツの足を引っ張り続けることになる。
ドイツ軍はソ連侵攻作戦である「バルバロッサ作戦」を延期してギリシャ侵攻を開始し、迅速な電撃作戦の前にギリシャはドイツ、イタリア、ブルガリアの占領下となってしまったが、この占領によって300,000人以上のギリシャ人が飢え死にし、数千人がアルバニア侵攻報復で殺されたため、ギリシャ経済は破綻したが、そのため、ギリシャではパルチザン活動が発生しておりイタリア軍などを悩ませている。
ソ連が中国全土での中国兵による焦土戦術も含めたゲリラ戦術に頭を悩ませたように、ドイツ軍やイタリア軍はギリシャでのゲリラ戦術に頭を悩ますことになったわけだ。
それはともかくタリア海軍は世界的にみれば十分大規模な規模を持つ海軍であったが、数の上でも質でも欧州最強を誇るイギリス海軍とフランス海軍を同時に相手にせねば成らない上に、石油を輸入に頼るイタリアは慢性的な燃料不足状態に追い込まれ、大型艦艇の訓練や作戦行動もろくに出来ない状況にあった。
とはいえ旧式とはいえコンテ・ディ・カブールとジュリオ・チェザーレに加えてヴィットリオ・イタリア・ローマの5隻の戦艦と改装空母のアクイラを擁するイタリア海軍は侮れない。
もっともイタリア海軍は、本土沿岸部防衛とアルバニアやリビアへの海上輸送の警備に腐心し、主力艦隊はイギリス海軍を牽制する存在として温存されているのだが。
そんな感じでスエズ運河を抜けられてホッとしていた所で、いつものごとく唐突にコンソールが開いてミッションが提示されたのだ。
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【ミッション】ランクD
目標:イタリア艦隊を壊滅せよ
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「艦長!
私達の航路がイタリア海軍の輸送船護衛艦隊と接触しました。
あちらはコンテ・ディ・カブールとジュリオ・チェザーレの戦艦2隻に巡洋艦6隻・駆逐艦8隻です!」
「戦闘は避けられんか。
総員!戦闘配備につけ!」
「戦闘配備!」
この世界では航空機が撃墜されても、砲弾を使いまくっても、ドック艦艇に戻れば補充はされるが相手が改装を受けているとはいえ低速な旧式戦艦なら純粋な戦艦の方が戦いやすいかもしれない。
俺は航空戦艦”紀伊”から戦艦”長門”へ船を変更した。
紀伊のスペックは長門とほぼ同じなので、強化パーツやブリッジ機能はほぼそのまま受け継がれたし、速力は27ノットでる様になっている。
武装は主砲45口径41cm連装砲4基を45口径43.2cm砲連装砲4基に交換し
残りの
50口径14cm単装砲18門
40口径12.7cm連装高角砲4基
25mm連装機銃20基
はそのままでいいだろう。
「よし、偵察機の彩雲を発艦させよ」
「了解しました。
偵察機発艦します!」
そしてしばらくして無線での報告が入ってきた。
『テキカンタイミユ』
「よし補足したな」
目標、敵戦艦!
敵艦が射程に入り次第、全主砲、撃ち方始め!」
「てっ!」
”ズドォッン!!”
45口径43.2cm砲連装砲4基が火を噴き、その砲弾は敵戦艦へ命中した。
「敵艦橋大破!」
「よし!
もうもう一隻の戦艦へ目標を切り替え!
敵艦が射程に入り次第、全主砲、撃ち方始め!」
「てっ!」
45口径43.2cm砲連装砲4基が火を噴き、その砲弾は敵戦艦へ命中した。
「敵艦の弾薬庫に直撃、大爆発を起こしています」
残りの巡洋艦や駆逐艦も旧式なため、当然長門の相手にはならなかったためあっという間に敵を殲滅できた。
「ふう、イタリア艦隊が旧式艦ばかりで助かったな」
「はい、こちらは被害ありませんし、よかったですね。
提督」
「よし、戦闘配備を解除せよ。
このままジブラルタルを抜けて、イギリス本土へ向かうぞ」
俺がそう言うと美月くんが嬉しそうに答えた。
「そうしたら久しぶりに陸で過ごせますね」
「ああ、問題なのはイギリス飯がまずいという評判なのだが」
「うーん、それは残念ですね」
ともかく俺たちは無事にイギリスまでたどり着き、亡命政府の樹立も成功した。




