コント:雑誌投稿のペンネーム
ボケ:俺、軽い悩みがあるんだけど……。
つっこみ(以下、つこ):……どうしたんだい?
ボケ:雑誌にさ、ハガキを投稿してるんだけど全然載らないんだ、俺ってそんな才能無いのかなぁ……。
つこ:う~ん、そうかぁ……そう言えば、ペンネームのせいで載らないというパターンも稀にあるんだってさ。
ボケ:たとえば?
つこ:まあ縁起の悪い言葉とか、見て不快になるような言葉とか。
ボケ:なるほどな、キラウェア火山とか。
つこ:いやキラウェア火山は大丈夫だけども。
ボケ:いやでも火山って縁起が悪くないか?
つこ:そんなことないよ、そこまでは多分厳しくないよ。
ボケ:まあ下駄の鼻緒は絶対ダメだろうな。
つこ:全然大丈夫だよ、下駄の鼻緒が切れたら縁起が悪いだけで、鼻緒そのものはOKだよ。
ボケ:そりゃそうだ。
つこ:というか君のペンネームは何なんだい?
ボケ:えぇー、まあ言ってもいいけどさ、俺が載ったの見つけてもはやし立てるなよー。
つこ:載らないという話をしているのに、載った時の話をしてきた……。
ボケ:まあペンネームは、多分大丈夫だと思うんだけど。
つこ:うん。
ボケ:ピンクおっぱい。
つこ:あぁ、ゴメン、ちょっと聞き取れ無かったよ。
ボケ:ピンクおっぱい。
つこ:本当ゴメン、いじわるとかじゃなくて今急激に聴力が低下しちゃっているんだ。
ボケ:ピンクおっぱい!
つこ:ダメだ! 何回聞き返しても”ピンクおっぱい”に聞こえる!
ボケ:いやそう言っているんだって。合ってるよ。
つこ:合ってるのっ? いやダメだよ、そんなペンネーム!
ボケ:えっ? ダメなのっ?
つこ:そりゃそうだよ! そんなの絶対載らないよ! というかその時点でセンスあんまり無いよ!
ボケ:ウソー……いやいやいや! ありないって! ありえない!
つこ:こっちの台詞だよ!
ボケ:いやだって他のペンネームもだいたいこんな感じだしさ。
つこ:そんなのあるはずないよ!
ボケ:マジマジ、ぺろぺろパンティという常連いるし。
つこ:知らないよ! どこの雑誌だよ!
ボケ:いやエロサーティーワンだけど。
つこ:……ん?
ボケ:いや聞き返すなよ、多分聞こえている通りだろうし。
つこ:……エロサーティーワン?
ボケ:そう、ひらたく言えばエロ本だよ。三十一歳の女性の裸しか載っていない、最高のエロ本だよ。
つこ:……ジャンクとかハンデーとかファミ級じゃないのっ?
ボケ:いやいや、少年漫画雑誌じゃない。ゲーム雑誌でも無い。だって俺、二十六だし。
つこ:いや二十六歳でもそういう雑誌に投稿している人はいるよ……って論点はそこじゃないそこじゃない。えっ? エロ本のハガキコーナーなのっ?
ボケ:そうだよ、エロい妄想を送るコーナーにずっと送ってるんだけど全然載らないんだよ。
つこ:載らなくていいよ!
ボケ:いや載って欲しいんだよ! だってさ! これ! これ聞いたら絶対オマエも投稿したくなるって!
つこ:いや絶対投稿したくはならないと思うよ。
ボケ:いやいやいや! 良い妄想だと判断されたら、実際に一本ビデオを作ってくれるんだぞ!
つこ:何さ、良い妄想って。妄想に良し悪しは無いよ。
ボケ:絶対魅力的だろうがぁぁあああああ!
つこ:そ、そんな吠えるとは……いやでもさ、それって実際作られた人いるの?
ボケ:……。
つこ:いや作られた人いるの?
ボケ:……。
つこ:今度は君が聴力低下かっ!
ボケ:……作られた人はまだいないばかりか、送った文字数の五倍でけなされてるよ。
つこ:何その地獄! じゃあ今まで載らなくて良かったねっ!
ボケ:いやでも……。
つこ:編集部の人にバカにされるだけだから投稿しないほうがいいよ!
ボケ:で、でも……。
つこ:というかもうその雑誌も買わないほうがいいよ!
ボケ:でもぉっ!
つこ:ビクッ!
ボケ:でもでもでもぉぉおおおっ!
つこ:……。
ボケ:作って欲しいんだよ……俺、俺の妄想でビデオ作って欲しいんだよ……。
つこ:そ、そっか……。
ボケ:……。
つこ:な、何か、強く、強く言っちゃってゴメンね。そうだよね、そこは好き好きだもんね、僕の意見は無視してよ。
ボケ:……。
つこ:え、えっと、も、妄想……君の妄想が、ビデオ化してもらえると、い、いいねっ。
ボケ:うん、俺、妄想、ビデオ化、してもらう。
つこ:そ、そうだね……うん、それがいいね、いいかもね……。
ボケ:さぁ! そうと決まったら早速! 俺の妄想の添削作業を一緒にやってくれないかっ?
つこ:嫌だよ!