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PRIDE  作者: ソラリ
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不安と淡い期待と・・・

「はじめまして。凛華子です。」


「はじめまして。大翔です。」


お互い初めて顔を合わせて、目を合わせて言葉を交わした。


不思議と初めて会ったような感覚は、凛華子も大翔もなかった。


電話で少し話したせいなのかもしれない。


声を聞いていたせいなのかもしれない。


ラインのせいなのかもしれなし


初めから電話でお互い取り繕わなかったせいなのかもしれない。




「印象」とは不思議なものだ。


それは、見た目だけでなく、声色も同じなのかもしれない。


自分の中にイメージとして創り上げられたものが、または記憶されたものが


見た「印象」に近かったり、あまりにもそれに近いものだと


その「印象」を人は「いいところ」しか受け入れないのかもしれない。


まだ、見えないものを見ようとはしない。


やはりそうだったと、「確信」と錯覚さえしてしまう。


逆の場合もあるだろう。


マイナスのイメージであれば、それが先行してその対象を見てしまう。


しかし、まだ見えないものがプラスのものを見つけた時


マイナスのイメージはなかったかのようにしてしまう。


自分の見方は間違っていたのか、とさえ思うのだ。


「印象」や「イメージ」とは、その時の自分を大きく左右させる。


自分だけでなくその対象となる人や物事も同じだ、と私はと思うのだ。




凛華子と大翔の場合、


「印象」は「良いのも」「プラスのもの」でしかなかった。


早く二人で話をしたかった。


お互いのことをもっと知りたっかた。




凛華子は自分のことをどう思われるのか不安でしかなかった。


大翔は32歳。サイト上ではそうあった。


自分より10歳近く下である。


不安しかなかった。


【出会い系サイト】を知らないし


【出会い系サイト】のことで知っていることは


職場の同僚が、【出会い系サイト】で出会った子を


本気で好きになったと相談してきた事実だけ。


彼のことは、電話で話したことと


その声色と今目の前にいる大翔の姿だけだ。


戸惑う。不安しかない。


でも、話してみたい、という興味もある。


どう思われるか、ということより彼を知りたい気持ちが強かったし


自分を知って欲しかった。




大翔はほんの少しだけ淡い期待を抱いていた。


本当に会いに来てくれた。


約束を守ってくれた。


イメージ通りの人だった。


しかし、不安もあった。


どうやったら自分に興味を持ってもらえるのか。


だから、彼女のことを知りたかったし、それより自分のことを知って欲しかった。




「仕事がまだもう少しかかりそうなので、店で待ってもらっていい?」


「いいよ。終わったらどうするの?」


「広島来たばっかりでよく分からないから、どこかないかな、お店とか。」


時間は19時過ぎようとしている。


「お店か。なんでもいい?」


「いいっすよ。」


「カフェとかもまだ行けるかな?。」


「とりあえず、仕事終わらせますね。」


大翔は、すぐに業務に取りかかった。


店舗には、もう彼しかいなかった。


お店はスタッフが少ないらしく、今日は二人だったらしい。


凛華子は店の外で待つことにした。


仕事の邪魔をしたくなっかたし、どこのお店に行くか考えないといけなかった。


大翔を待つまで30分かからなかったけれど、凛華子には長い時間のように感じた。


もう5月だというのに、まだ少しだけ冷たい風が肌にあたる。




凛華子のお店はもう夏服を置いている。


それに合わせて凛華子もパフスリーブブラウスを着ていたが


今夜は羽織を持っていない。


空には少しだけ星が輝いていた。


「明日、休みだな。あたし。」一人、眺めながら呟いた。


空をただ見上げて、大翔が来るのを待っていた。

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