佐々木正
僕は変態だって?
ロリコンだから?
皆そう言うんだよね……。別に気にしてなんかないよ。悪いことだとは思わないし。
あぁ、幼女を見つけて何かお話がしたいな……。
別に何もしないよ。ただ話すだけだから。それもダメなの?
なんで白い目を向けられなくちゃならないんだろう?
少なくとも僕は綾音以外の女の子を好きになることなんかないんだ……。
話すのはどうしてかって?
単純に可愛いからじゃないかな?
まだ学校に通っていた頃の話だけど、通学路のわきに子猫が捨てられていたことがあった。可哀想に思った僕はしばらくの間、子猫を抱っこした。僕はいいことをしていると思っていたんだけど、不思議なことにその猫は僕を睨んでいた。きっと、人間のことが大嫌いなのだろうと思った。まぁ、当たり前のことだろう……。
猫は僕のことが嫌い。でも僕は猫のことを可愛いと思った。単純に小さくて温かいからだった。頭から胴体をゆっくりと撫でてみる。さらさらとした毛の感触。たまらなく好きになった。柔らかくて温かい。
十分もすると、猫は吐息を漏らさなくなった。寝てしまったのだろうか?確かに寝たようだった。おそらく二度と起きることはなかったのだろう……。僕は元あった場所に猫を返した。誰か、もっと心優しい人に救われればよかったのかもしれない。僕のような素人ではなく、猫のことをもっとよく知っている人ならば助かったかも知れない。お別れをするとき、猫は視界をシャットアウトしていた。しかしながら僕は怖かった。瞼の裏側に隠された瞳は、間違いなく僕を見続けている、そんな気がしたのだ。どれだけ暗い世界をさまよったとしても、何時かはゴールしなければならない。
僕はきっと、猫と同じ運命を辿るのだろう……。
人は動物と違って、自らゴールすることが出来る……。
泥に汚れたワイシャツの袖を、僕はそっと見つめた。
歩いているのは、明かりを失った夜道だった。脇腹の痛みが再燃した。決して泣くものか、と意地を張っていた。しかしながら、神様が自分を憐れんで涙を流して下さっているのだと思えば、もう我慢する必要はなかった。雨と涙は傍から見て区別することが出来ないのだから……。