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ヤンデレでいいよ  作者: Aki o
11/34

ほぼ日常

 結局、綾音は一度家に戻ることにした。正が欲情する姿を見てみたいとも思ったが、それはそれで馬鹿らしいことだとも思った。


 お兄ちゃんが獣みたくいやらしい目で私を見てくれるのも嬉しい……。

 お兄ちゃんにならなにされても平気なんだけど……。


 お兄ちゃんはきっと言うだろう。

 「なんて格好しているんだ。さあ、早く服を着るんだ!身体も水浸しじゃないか……。寒いだろう?」


 お兄ちゃんはとっさに自分の服を脱ぐだろう……。

 そんでもって、私に着せてくれる。



 お兄ちゃんの温もり……。

 お兄ちゃんの匂い……。

 

 ダメ、これじゃ私、単なる変態じゃない。


 少なくともお兄ちゃんの前では、清楚な妹じゃなきゃダメなんだよ。お兄ちゃんの趣味だから仕方ない……。幼女が好きなんだからしょうがない……。


 でもね……。

 どんなに清楚に見えても、やっぱり女の子には裏があるんだよ……。

 お兄ちゃんは知る必要のないことだけど……。


 


 お兄ちゃん

 私だけを見てね……。

 お兄ちゃんの好みな女の子のままでいるから……。

 浮気したら悲しいんだからね……。


 ねぇ、お兄ちゃん?




 正は30000円の使い方について、長い時間考えていた。家を出てからこれほどの大金を手に入れたことがないため、どうにも困ってしまった。


 とりあえずコンビニに行って、ハンバーグを買うだろ……。水は何とかなるとして……。やっぱりハンバーグを買うだろ……。夜も……、ハンバーグを買うだろ……。


           他には?


 別にハンバーグがあれば生きていけるんだよな……。お菓子なんていらないし……。酒なんて買ったら、悪酔いして海に落ちちまうだろうし……。


           いらないか。


           なんか、金持ちって窮屈だな……。


 綾音が正の前に現れたのは、決心してハンバーグを買いに行こうと、歩を進めた時だった。

 

 「お兄ちゃん!」

 お兄ちゃん?

 綾音……なのか?

 

 少女は間違いなく綾音だった。昨日といい、今日といい、なんだかおかしかった。綾音がいるはずない。家出をした後、ずっと行方不明だった。その原因はほとんど自分にある。ダメな兄だった。そんな兄の元に帰ってくるはずないんだ……。


 「昨日の30000円、使ってくれた?」

 「30000円って……、なんで知っているんだ?」

 「いやだな、お兄ちゃん。何言ってるの?昨日上げたじゃない!」

 

 この30000円は綾音からもらった?

 心優しいおじいさんがくれたんじゃなかったっけ?


 綾音は正のそわそわした仕草を見て、正が全くお金を使っていないことに気が付いた。

 「自由に使っていいんだよ?お金。お兄ちゃんのために稼いでるんだから。もしかして……、それじゃ足りなかったかな?」

 綾音は突如、申し訳なさそうな顔をした。

 「ごめんなさい。そうだよね……。お兄ちゃんだっていい大人なんだから、その、30000円くらいじゃ足りないよね……。うっかりしてた」

 綾音はそう言って、何度も頭を下げた。


 30000円じゃ足りない?

 やっぱり綾音じゃないな……。僕がどれほどケチな人間か、綾音なら知っているはずだ……。


 好きですって告白するときくらいだったか、かっこよかったのは。恋人ごっこをするのはいいが、綾音も子供じゃない。何か買ってほしいものがあったに違いない。僕は薄々気が付いていた。でも、僕は何も買い与えることができなかった……。


 「今日も30000円あるからね……。明日からはもっと頑張るから……、お兄ちゃん。これで我慢してね……」









 そうだよ。神様……。

 この子は綾音じゃない……。

 僕に遣わしてくれた天使なんだね……。 




























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