異の非5話 「異能力ってなんですか?」
異能力者の非日常5を読もうと思ってくださった方々ありがとうございます。もやしです。
今回でやっと、やっと物語がそれっぽく進むと思います!(自分的には)
では、どうぞ!
「あなた、能力者でしょう?」
「……は?」
何言ってんだこの変人?と脳内で大量の?マークを出しながらそう言って、そう思った。
俺は改めて、目の前に立つ、変人遠坂 レイナを変なものを見るように見た。というか実際変。だが、彼女は構わず口を開いて言葉を続けた。
「だから、あなた能力者でしょう?
隠さないでもいいよ。私、わかるから」
とやっぱり意味不明なことを口にする変人。
というか、なんでーー、
「(俺が異能力を隠してることをこいつは知って
いるんだ?)」
そう。それが一番の疑問点。
こいつはさっき、「わかるから」と言っていた。
つまりは俺が異能力を使ったのを見たとかそういう事ではないらしい。じゃあ、どういうことだ?
そんなことを考えていると、俺は今更ながら周りの空気の変化に気付いた。
「(あ……)」
そう、先程から痛い人を見るかのように向けられる周りの生徒からの視線だ。
俺はすぐに周りの状況を把握して、このままじゃ色々とまずいことになると理解する。
だから、俺はそんな周りからの視線と目の前に立っている変人から逃げるために席を立った。
「ちょっと、頭痛いから保健室行ってくる」
と誰に言うでもなく片手で頭を抑えて周りに
「頭が痛い」というアピールをして俺は目の前の変人 遠坂 レイナを無視して教室を出ようと足を動かす。そんな俺を見て彼女は
「ちょっ!? ちょっと待ってよ!?」と慌てて俺の手を掴んでくる。俺はそれを反射的に振り払って、廊下に若干早足で出る。
二人がいなくなった教室で生徒の一人が口を開いて言った。
「なんだったんだ?」と。
俺は廊下を早足で歩いていた。
だが、まだ後ろから足音は消えない。
「だから待ってよ〜!」と早足で歩く俺に平然と歩きでついてきていた。化け物かこいつ?
異能力者の俺が口にするのもおかしけど、まじでこの変人足が速い!多分、スポーツも得意なのではないだろうか?
そんなことを考えていると、いつのまにか保健室に向かっていた足は屋上を目指して階段を上っていた。それだけ、彼女の足は早かった。
そして、俺は早足で逃げた挙句、最後には屋上の扉を勢いよく開けて屋上に入った 。
屋上への道は一つだけ。つまりは行き止まりという当たり前のこともこの時の俺は忘れていた。
ガチャン!ドン!と派手な音が響くのとともに俺は転がり込むように屋上に着いた。
「はぁはぁはぁはぁ……な、なんなんだよお前し
つこすぎるぞ」
と息を切らしつつ、屋上のフェンスにもたれかかるようにしながら呆れ気味に言った。元引きこもりの俺はもちろん体力も高くない。なので教室から屋上まで早足もとい全力で走れば息を切らすのは当たり前だ。なのに、目の前のこいつは息一つ乱していない。
なんなのこいつ?すると彼女は、
「あなたが逃げるからでしょう?」
と正論に聞こえるようなことを口にした。
いや、お前があんな大勢の前で、
「あなた、能力者でしょう?」
なんて言わなければ俺も逃げてねーよ! 俺は悪くない。
「お前がいきなり『能力者』とか意味不明なこ
と言うからだろ? あんな言葉聞いたら普通逃
げるだろ!?」
普通かは知らんが多分大体の人は逃げるか、聞かなかったフリをしたりするだろう。
「た、確かに私も悪かったけど……だからってあ
んな早足で逃げる!? 普通!?」
「変人が普通とか言うな。『普通』に失礼だろ」
その言葉を聞いて彼女はとっさに「へ、変人⁈」と驚いて声を上げた。え?自覚ないの?
「というか『普通』に失礼って何!?後、話をそ
らして逃げようとしないで!あなた能力者なん
でしょう?」
とまたまた狂った質問を彼女は俺に投げかけてきた。なぜ、彼女が俺の異能力について知っているかはいらないが、ここで正直に教えてしまえば、今まで異能力を必死に隠していたという努力が一瞬で水の泡になるだろう。
だから、
「いや、能力者ってなんだよ? アニメとかドラマ
の見過ぎだろ? 悪いけど俺は普通の一般人なん
でそう言ったネタとかわかんないから」
俺は一般人を、普通の人を最後まで装う。
自分から大好きな日常を捨てるなんてこと、悪いが俺にはできない。
だが、彼女はそれでも俺をじっと見つめてやっぱり先ほどと同じように確信に満ちた声音でこう言った。
「うん!やっぱりあなた能力者だよね?
いや、異能力者って言った方がそれっぽい?」
どこからその確信、自信が出てくるんだろうか?
「なんでそんなに自信満々にそんなことが言える
んだ?」と俺がそう言えば彼女はこう即答した。
「それが私の『異能』だからだよ!」と。
異能?……つまりはこいつも異能力者ということだろうか?そんなことがありえるのか?っていうか異能力者ってそんなに身近にいるの?と思った。
だけど、そう思いつつ俺自身が知ってる中でも2、3人ほど他にも異能力者がいたな〜と思い出す。
なら、別に 珍しい!というわけでもないのかもしれない。
「へ〜異能ね……。それはすごいな。で? もう話
は終わりか? なら、じゃあな」と屋上から出よ
うとする俺を邪魔するかのように俺の前に立ち
手を広げて、
「ねぇ。あなたは 異能力者 何でしょう?私の能力
が反応してるから間違いないよ。」と言った。
どうやら彼女は俺にどうしても俺自身が異能の力を持つ異能力者(能力者)ということを認めさせたいらしい。本当にしつこいな。そう思うと同時に多少の苛立ちが俺の中に生まれた。たとえ、相手がどんな美少女でもこんなしつこく質問?されれば大抵の人はこう思うはずだ。
「(うざい)」と。
そして、つい舌打ちをしてしまう。
それほどに苛立ちを隠すことができなかった。
もしかしたら、俺って沸点低いのか?と考えてしまう。そして、その舌打ちを聞いた彼女は過剰に反応した。どうやら沸点はあまり高くないらしい。だが、その過剰な反応が俺をさらにイライラさせ、プツンと頭の中で何かを切ってしまう原因になってしまった。
「今、あなた舌打ちしたよね? 私だってあなたに
言いたいこと色々あるんだよ? でも、それを我
慢して今、あなたに聞いてーーー」
「黙れよ」
俺がそう言えば、バチバチという静電気の音? のようなものが響く。
そして、それと同時に俺は足を前に進めた。
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「……え?」
わたしには目の前で起こった出来事が一瞬理解できなかった。なぜか、先ほどまで目の前にいた彼が バチバチという静電気の音に酷似した音とともに視界から消えていた。
しばらく、わたしが驚きで固まっていると後ろから声がかかった。
「俺は一般人だ。お前みたいな変人じゃない。
悪いな」
その声に慌てて振り返るといつのまにいたのか?彼は屋上の出入り口の扉の前に立っていた。そして、そのまま彼は屋上を後にした。
わたしはしばらく屋上で放心したように固まっていた。そして、わたしはボソッとこう呟いた。
「やっぱり異能力者なんじゃん……」と。
読んでいただきありがとうございました。
今回の5話目でやっと主人公トオルが能力をチラッとですが使いました。まぁ、トオルの異能は比較的ノーマルなものです。
では、後書きはここまで!
最後まで読んでいただきありがとうございました。次は異の非6で!