異の非26話 「変人二人といい人一人の訪問」
どうも、もやしです!
今回はまたトオルのイライラが観れる回になってます。設定的にはそこまでトオルの沸点は低くないはずなんだけど……?
ピンポーン、というインターホンの音が家の中に響いた。
「……なんか注文したっけ俺?」
自室で音楽を聴いてダラダラしていた俺はかすかに聞こえてきたその音にさっぱり心当たりがなかったがしょうがなく部屋から出て玄関へ向かった。
「(うちは新聞とかは頼んでないし、なにかを注文した覚えもない。もし、手紙とかだったら勝手にポストに入れてくよな? )」
俺はそう考えつつ玄関のドアを普通に開けた。
「はーい、どちらさま……は?」
「こんにちは! 遊びに来たよ!」
「おっじゃまっしまーす! ようトオル!」
「トオルくん、こんにちは」
「え?な、なんで!? 」
レイナ、リン、ヒデの三人がなぜ自分の家に来たのか全く理解できないトオルは困惑してそう口にした。
「? なんでってトオルがいいっていったんだよ?」
「え、まじで?」
午後1時。しかもトオルにとっては日頃の、主に学校でのストレスを解消する貴重な休日である土曜日に三人はトオルの家に遊びに来たのであった。
「じゃあお邪魔します!」
「俺も〜」
「? トオルくんどうかしたの?」
遠慮なく家に入ってくるレイナとリン。
そんな二人とは違って優しく心配してくれるヒデに俺はとっさに無理にこう言った。
「ぜ、全然大丈夫だよ!?」
ヒデを安心させるようにトオルは無理に笑った。
「……っておいそこのバカ二人。どこ行こうとしてんだ? そこは二階にーー」
「「もちろん!」」
なぜか二人が二階に行こうとしていたのでそう聞けば二人は仲良く声を揃えてバカなことを口にした。
「「友達の家に来たらまず最初に行くのは友達の部屋だろ? / 部屋でしょう?」」
「え」
「じゃあ行くか! 多分二階だよなレイナっち?」
「ですです! 多分二階だよ!」
「……」
「と、トオルくん?」
バカ二人が二階に当たり前のように行こうとする。俺は近所迷惑など考えずそんなバカ二人に大声で叫んだ。
「ふっざけんなこのバカどもが!! 」
「「ちょっ」」
俺は二人の頭を勢いよく叩く。もちろんチョップとかではなく拳で。異能力者を使っていないだけまだ優しいだろう。
「痛い! お前バカじゃねぇーの!?」
「痛い! トオルひどい!」
バカ? ひどい?
「バカなのは……ひどいのは……」
かなりの苛立ちで震える体をなんとか抑えつつ俺は二人にもう少し近づく。
バチバチという静電気? の音がリビングに響く。
「あ、まずいかも」
「え? な、なにが?」
俺はもう一度拳を、次は頭へのパンチではなく、腹にーー、
「お前らだろーが!!」
ボディーブローをいれた。
「「ゴフッ!」」
レイナとリンはまるでさっきまでうるさかったのが嘘のように床に倒れる。
「!? ふ、二人とも大丈夫!?」
あまりの早さに一瞬なにが起こったのかわからないまま二人に駆け寄るヒデ。
「あー心配しないでいいぞヒデ。そいつら度々倒れる病気患ってるから」
「なにその危なすぎる病気!?」
その二人を床に倒した張本人である俺はレイナとリンを一人ずつ抱えてソファに投げるようにして寝かせた。
「(勝手に人の家に来たくせに、勝手に俺の部屋に入れさせてたまるか)」
ちょっとやりすぎたかと思いつつ俺はヒデに言った。
「あ、悪いヒデ。俺、飲み物も出してなかったよな? お茶か牛乳あとジュースもあるけど、どっちがいい?」
「じゃ、じゃあお茶で」
「わかった」
状況変化があまりに早くて理解が追いついてないヒデをいったんスルーして俺は冷蔵庫に向かう。その後、二人が目を覚ましたのは一時間後のことだった。以前遭遇した異能力者、忍の悪夢よりも長い時間二人は意識を覚まさなかった。
「(俺って結構強いのかも……?)」安らかにまるで死んだように眠る二人をチラッと見て俺はふとそう思った。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。もしかしたらトオルの沸点は低いのかもしれないですね笑
もし、皆さんの家に友達でもないただの同級生が遊びに来て、しかも勝手に自分の部屋に行こうとしたら皆さんは怒りますか?自分だったら若干怒ると思います。(どうでもいいですね笑)
また次回も読んでいただけると幸いです!
では、また!