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鬼伝シリーズ  作者: 春ウララ
鳥鬼伝~LEAP~
16/29

3-0

 

 

 ______

 

 汚い方法で、醜い手段で勝ち得た勝利に価値がない。

 

 という、人間は真に勝ったことがない。

 

 勝者から見える景色を知らないのだ。

 

 ______

 

 

 

 

 

 不気味な鳥は何だろうか?

 

 カラスだ。

 

 大人になった今でも、大量の烏が電線にとまっているのを見ると、寒気がする。彼らはとても利口な動物なのだ。話では、自分の仲間を傷付けた人間を覚えて、群れをなしてその人間に復讐するとも言われている。

 彼らは勝利のためなら手段を選ばない。

 それは人間も同じことであろう。

 楽な方法を模索して、人間は知恵を使う。

 ズルをしてでも、どうにかして勝ちたいとプロのスポーツ選手でも思うものだ。

 

 ______ 灰沼愛鳥はいぬまあいちもそうだった。

 

 プロ顔負けのアスリート。大学女子スポーツ界では知らぬ者のいないほどの"天才"。

 その天才と僕は友人である。

 単に天才と言っても、彼女は努力をする天才であった。

 

 『毎日高い場所を探して、登って。登れなかった壁には何度も、諦めることなくトライした。

 お父さんの肩車から見た高い、高い景色を。

 自分の力だけでその景色をみたくて。

 アタシはそうして、こうなった______』


 彼女は頂点を目指した。

 何処までも高く、何よりも高く、誰よりも高く。

 努力は報われ、彼女は女子スポーツ選手として頂点を取り続けた・・・・・・

 

 ______そうして彼女は1枚の壁にぶつかった。

 

 "性"である。

 

 いかに100メートル走の新記録を出そうと。

 自身の体重の2倍以上のバーベルを挙げようと。

 130キロを越える直球を投げれても。

 

 彼女は、彼女じょせいであった。

 

 10秒台で走ることも出来ない。

 150キロのバーベルを挙げることは出来ない。

 140キロのストレートを放ることなど出来ない。

 男子柔道選手を投げようとも、トップクラスの選手には手も足も出ない。

 男子に混じってサッカーをしても、トップスビードに乗った男子のドリブルに追い付くことは出来なかった。

 

 彼女は悩んだ、挫折した。

 いかに努力を重ねて、鍛練を重ねて。女子の頂点に立ったとしても。

 男には勝てない。

 

 灰沼愛鳥はいぬまあいちは、絶望したのだ。トップ選手でありながら、真のトップに立つことが出来ないということに。

 

 ______そこをつけこまれた。

 

 彼女は願ってしまった。

 自分の努力によって得た力やスピードを捨てて。

 

 1羽の鳥に願ってしまったのだった。

 

 

 これは、灰沼愛鳥はいぬまあいちと1羽の悪魔の話である______

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