3 人里
本当どうなるんでしょうか、この小説。
今日は人里に行くことにした。外の世界では、結構アクティブな方の人間だったのでとりあえず行ってみたいのだ。
「地図とかいらない?」
「いらない。日暮れまでには戻るよ。」
まるで母親に遊びに行くのを伝える子供のよう。あの頃はとっても無垢だった…。
ノスタルジーに浸っても仕方がないことなので靴紐を占めて駆け出す。通り過ぎる風が頬にあたって気持ち良い。
「ねぇ。貴方は食べてもいい人類?」
「ダメな人類。」
ルーミアの声がしたので、やんわりと断っておく。
俺はまだ死にたくないのだ。
「そーなのかー。」
「そーなのだー。また今度な。」
「おー。」
ふよふよと飛んでいく美少女。
念のため説明しておくと、彼女はルーミア。
『闇を操る程度の能力』を持っている、はず…。
「情報を集めるためにも早く人里に行きたいな。あっ」
もしかして、と手を伸ばす。
「干渉…いけるか?」
パチッ、と指先に静電気のようなものが起こる…痛みはない。
「よし…できた。」
自分を中心とした半径3メートルほどの空間をクラックげふんげふん操作できるようになったので、追い風を起こし、後ろに倒れ込む。
「ちょっと怖いが…いや、操作するのは俺だ…やってみよう。」
これはチュートリアルだ、と自分に言い聞かせて風を操作する。
自分を浮かせたら、今度はそこで立つことを慣れるようにする為空中で立っては伏すのを繰り返す。
「…何やってるんだろな…俺。」
10回ぐらい繰り返すと、空中に立つことにも慣れてきたので、そのまま歩みを進める。無論、その方向は人里へ。途中からは走ってみた。何の違和感もない。
「そろそろか。これって降りていけるのか…?」
人里の端の近くについた。下を見下ろして一瞬臆したが、ビビっていても変わらないので、強く踏み込んでみる。
「おっ、これはいいな」
どうやら、降りようという意思が効いたらしく、いつもより深く足が沈む。
階段のように降りていけそうだ。
「うっひょー楽し~!」
とんとんとんと降りていき、地面に着く。やればできるもんだな…と自画自賛もほどほどにして周囲を見渡す。
「ここが人里…。」
『何者だ?先ほど空を飛んでいたようだが…。見ない顔だな。」
後ろで透き通るような声が聞こえた。振り向いて、相手を見る。
思わずお辞儀をしてしまった。無理もないだろう…寺子屋の先生だし。
「ん?礼儀がいいな。私はこの人里のの寺子屋で、講師をやっている上白沢慧音だ。」
「俺は鬼灯神楽っていいます。昨日外の世界からきました。」
ちなみに慧音は宴会にいなかったらしい。生徒たちのテストの添削をしていたらしい。
「実は昨日は俺が自己紹介せずに終わっちゃったんで今日に延期されたんですよ。よければ、今夜どうですか?」
なんか誤解されそうなセリフだけどいいや。
慧音先生は一瞬悩んだ様だったがすぐにこっちを見て「すまない」と言った。
「実は今日も添削作業があってな…。昨晩は里の人の手伝いも入ってできていないんだ。本当に申し訳ない。」
添削作業か…。あれ、俺解けるんじゃね?
考え付いたら即行動。提案してみる。
「手伝ってもらうのはいいが何も出ないぞ?確かにうまくいけば夕方には終わるだろうが…。」
「宴会は人数が多いほうがいいんです。しかも、先生が添削してる中俺らだけ騒ぐってのも罪悪感があるんですよ。」
正直に言うと添削とかやってみたい。
「分かった。じゃあ、寺子屋までついてきてくれ。」
「分かりました。」
学力はおそらく問題ないだろう…おそらく。
ちなみに作者はリアルタイムで物語の方向を考える人です。
考えてるのはせいぜい1話後ぐらい…。
お疲れ様です。