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アナザーワールド  作者: 牛霧響花
1/1

世界の理



「だから・・・・なんでみんな死ぬんだよ!!」

「フッ、お主が自分でしたことじゃろうが。」

「俺は何もしてない、俺は人殺しじゃ決してない!」

「ホッホッホ、そうじゃろうな。でも直接的でないとはいえ、人殺しでないとはいえ、お主はその元凶。チンピラ達より質が悪いとは思わぬか?」

「・・・・・・・・」

「だんまりか、ならお主には・・・・。」




ブーブーブーブーブーブー

午前5時30分。もうそろそろ起きないとまずい時間である。

そう思っているということは、お前もうすでに起きてるだろと思われていると思うのであえて言おう。

今まさにこのうるさい目覚まし時計を止めて二度寝をしてやろうとしているところだ。

起きたくない、眠っていたい。起きたら仕事をしなければならないという現実が待っているからだ。もう朝から仕事とかだるすぎる。

はいはい、起きますとも。もう起きますとも・・・・・・。


ただいま6時30分過ぎ。出勤時間は6時45分。彼は結局二度寝した。家から会社までバイクをとばして6分から7分。まさにぎりぎりの時間であるはずだが、彼は6時30分に目が覚めてあわてる様子もなく準備をすすめる。

まるでこんなことを毎日しているかのように。

案の定遅刻はしなかった。出勤時間ちょうどにタイムカードを通すことで遅刻は回避。そのまま仕事を始める。


「あのーすいません。この部品ってどこに持っていったらいいですか?」

「はあ?そんなの自分で考えろよ。」

「すいません。」


正直俺は今働いている会社をやめようとしている。

理由はと言われたら上司の態度、なにかあるとすぐ人のことを無視したり、仕事について質問をすれば朝から面倒なことは言うなと上司としてありえないクソ野郎だ。

「おい、何やってるんだ。速くそれ片付けろ。」

「・・・・・・・・」

また出たよ、いつもこれだ。俺には休憩というものがないのか。

「おい、だからそれ速く・・・・。」

そう言いかけた上司に重ねるように俺は言った。

「今月末で仕事やめさせて下さい。」

やっと言えた。これを言うのがどれだけしんどいことか。

あと1ヶ月間この地獄の日々を耐え抜けば俺は別の世界で生きていける。

いや転職という意味で。

そんなこんなで仕事をやめる宣言ができた感動を味わいながら仕事をしていればあっという間に1日の仕事は終わった。


そんな仕事の帰り道。


「おいおい、そこの人。」

まさか俺じゃないよな。俺はあんないかにも胡散臭い占い師に声をかけられるような不幸なオーラは出してないぞ。むしろハッピー気分で帰宅しているぞ。

「おい、そこの赤パーカーで黒いジーパンにいかにもハッピー気分で帰宅している人。」

俺だ。絶対俺だ。大声すぎるんだよ占い師、周りの人が俺のこと見てるじゃないか。

どうしよう。・・・・・・よし逃げよう。

占い師が怖いからとかそういう理由で逃げるのではない。

ただ占いとかそういう人の事を勝手に決めつけるような運命がどうとかいうのが嫌いなだけだ。人はもっと自分の思い通りに生きてもいいはずだ。占い師の言われた通りに生きる人もいるがそんな人は自分という人間を操り人形にして逆に不幸になっていく。人の敷いたレールの上を通って生きていくという事は何も考えずに生きていくという事だ。人生というレールから脱線した時、そういう操り人形は何も考えることができないから人生をダメにする。

レールを敷いた本人は人形を捨てるだけ、それが親であっても例外ではない。

だから俺は人の運命を左右する占い師が嫌いなんだ。

いや決して怖いわけではない。いや本当に。

そうやって自分に言い聞かせながら俺は全力疾走で帰宅した。

明日も仕事か。自分の思い通りにいかない世界でなぜ俺が生きていかなければならないのかとそんなガキみたいな事を思いながら現実逃避としてちょっとした小説を書くのが毎日の日課であり趣味だ。まあ小説といっても本当に軽いものなのだが、その中で職場にいるうざい上司を極悪非道な敵キャラとして登場させぶっ倒す。

それが一番のストレス発散、それに至るまでのプロセスは最高に自分の創作意欲を刺激する。いっそこれが仕事になればいいなと思ったりすることもあるが現実はそうはいかない。この世界は自分の思い通りにいかない世界なのだから。


ピンポーン、ピンポーン

こんな時間に誰だ。ただ今午後9時過ぎ。正直迷惑だ。

「はいはい、誰ですかー?」

ガチャ

「わしじゃ。」

「げっ、あんたは・・・・」

ドンッ!!

「その足をどかせ!警察呼ぶぞストーカー。」

「わしは、ストーカーじゃない占い師じゃ。」

「なおさらダメだ!帰れ!」

「ほーそんなに占い師が苦手なのか。過去に何かあったのかのーホホッ」

「帰れ!インチキ占い師!」

「占ってもいないのにインチキとは失礼なやつじゃ。まぁ間違ってはいないがの」

俺は今体験したことのない非常に危険な目に遭っている。

帰り道街で声をかけてきた占い師が今まさに目の前にいるのである。

「要件だけ聞いてはもらえぬか?」

「・・・・・・じゃあどうぞ」

要件だけ言ってもらってすぐ帰ってもらおう。この婆さん怪しすぎる。

俺の自宅までつきとめてストーカーじみている。

「要件は、これだけじゃ。このお札の文字を読んでほしい。」

「なんで?理由は?」

「このお札が読めんくてなー、お札の文字が知りたいと外国人に頼まれてしもうて

それを明日外国人に教えなければならんのじゃ」

「それだけか?」

「それだけじゃ。」

怪しいとは思いつつも俺は占い師の手に持っているお札のようなものに書いてある文字を読んだ。なんの躊躇いもなく。

「アナザーワールド?」

俺は疑問に思いながら首をかしげてそう言った。

・・・・ドクッ・・ドクッ・・ドクッ

なんだこれ苦しい!心臓のあたりがしめつけられる感じ。

あれっ?今思えばなんでお札を読んでもらうためだけにわざわざ俺の自宅までつきとめて俺にお札を読ませた?近くの人間に読んでもらえばいいのに。

!!目の前が暗くなってきた。占い師が・・・・笑ってる?

バタンッ

「これを読めるやつがおるなんてな。もう一段階上のお札でもよかったかもしれんな。なんせわしの見込んだ ━ 候補だし。わしは次の準備にとりかかるとするかなホホッ。」



「お兄さん!お兄さん!」

なんか声が聞こえる。痛っ!

「痛てて、ここどこだ。」

俺たしか自宅の玄関で・・・・ふとまわりを見渡すとそこには壮大な大地が広がっていた。




















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