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森の悪魔  作者: 川島 蛍
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第10話

ある日男はいつものように薪を割った後、雨漏りのする屋根を修理をしようとハシゴをかけ上へと登りました。

オレンジと茶色を混ぜた様な瓦の上をゆっくり歩いていくとひび割れて今にも崩れ落ちそうな瓦を数枚見つけました。

男はそうっと割れた瓦を剥がすと内側の板が腐っていないか木槌で軽く叩いて確認すると念の為乾いた板を上から被せ新しい瓦を敷きました。

気持ちの良い風が頬に触れ視線を森の中へとやると何かキラキラと光に反射するものに気がつきました。

目を凝らしながらじっと見ましたがそれが何なのかはわからず男は屋根から降りると光の見えた方へ歩きだしました。

すると、ちょうど外で洗濯物を干していた女に呼び止められ光を見に行く事は出来ませんでした。


「どこへ行こうとしていたの?」


夕食の時女は昼間の事を聞きました。

男は女に聞けばあの光の正体がわかるかも知れないと思い屋根の上から見た光の話をしました。

女はクスッと笑うと、それはきっと森の草花についた朝露が太陽に照らされて光った様に見えただけだと言うのです。

そして真剣な顔をして男に注意をしました。家の周り以外は危険な事が多いので決して奥へと入ってはいけないと。


「わかったよ、これからは気をつける。」


男はそう答えいつものように食器を下げると窓から見える暗い森の奥をぼんやり眺めているのでした。


夜、眠りに就こうとベッドへ入りましたがやはり昼間の事が気になりなかなか眠れずにいた男は温めたワインでも飲もうと台所へと向かいました。

鍋で人肌ほどに温めたワインをカップへ注ぎ口へ含むと鼻の奥へと抜ける熟した葡萄の香りが胸騒ぎする気持ちを落ち着かせてくれます。

そして男はふらりと外へ出てすぐそこに見える森をじっと見つめると深く息を吸い込みました。

昼間と比べると夜は気温が下がりアルコールで熱を持った体を冷ますには少し肌寒く感じましたが男は外灯を手に持つと蝋に火を入れ森の奥へと進むのでした。

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