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27 杉江と岡本2

『フルートの流れる日常』綾野祐介



27 杉江と岡本2



 杉江の言う旧知とは一体いつからなのか確

認するのが怖かった。人間の考え及ばないと

ころのような気がした。


「彼は彼なりに色々と考えて神父の下に居る

んだろうけど。そういえば長いことクトゥグ

アとは会ってないなぁ。」


「おいおい、もうこれ以上何かを巻き込まな

いでくれよ。アザトースだけで手いっぱいな

んだから。」


「まあ、そうだね。セラエノはそのマークさ

んに任せるとして、こちらはこちらで何か手

立てを考えないと、ただ傍観しているだけと

いうのも、とは思うんだけど。まさか、とは

思うけど僕の師匠の仕業かも知れない。それ

だったら超大事か超小事か極端に分かれるだ

ろうけどね。」


「なんだよ、心当たりがあるのか?」


「ひとつだけね。本来でもあり得ないから。

アザトースの封印が解かれでもしない限り、

僕の師匠も動くことはない筈なんだよ。と言

うか、そういうシステムなんだ。」


「なんんだかよく判らないけど。それだった

ら本末転倒だよな。」


「うん。だからあり得ないと思うんだよ。僕

の方でも今の所は確認できないしね。一度ペ

テルギウスに行かないとダメかもな。神父は

あの場所には行けないしね。」


「ベテルギウスって、あの?」


「そうだね。近い将来超新星爆発を起こす可

能性を指摘されている恒星だよ。近いって言

っても現代の人間にとって、ということでは

ないけど。でも、行きたくないなぁ。師匠に

も会いたくないし。」


「でも解決策が手詰まりなら、そこしか希望

は無いんじゃないか?」


「それはそうなんだけど。まあ、マークさん

たちの経過を見てから考えるよ。それから、

桂田か。」


「桂田は元々こちらでも行方を継続して探し

ては居るんだけど、今の所手掛かりはないん

だ。何か掴んだら教えてくれるよな。」


「そうだね。ちょっとこっちでも探してみる

よ。」


「難しい話は終わったのか?」


 やっと話の区切りを見つけて七野修太郎が

入り込んできた。


「ああ、修太郎君、ごめんね。この岡本浩太

とは大学で一緒だったんだ。ナイ神父はよく

知ってるんだけど、ここ最近の旧支配者たち

の封印が解かれそうになった件で綾野先生た

ちと共に関わっていたんだよ。綾野先生の話

は前にしたよね。」


「まあ、聞いてはおるが、興味のないことは

覚えておらんな。いずれにしても、どこの誰

でもよいから、今のこの現状をなんとかして

ほしいということが我の望みである。お前た

ちは協力して早急に対処するのだ。」


「修太郎君、そういった物言いは止めなさい

って教えたよね。普通の高校生らしくしても

らわないと。」


「わかったおる。ただ、この方が楽なのだ。

家に居る時くらい本来の口調で勘弁しろ。」


「向坂君や君塚さんが怖がるじゃないか。少

なくとも彼らの居る前では七野修太郎で居て

くれないと。」


「う~ん、面倒なことだ。なぜ我がそんなこ

とに気を使わないといけないのだ。ナイアル

ラトホテップを呼べ、早く元に戻すのだ。」


「だから、ナイ神父は今一生懸命その方策を

探している最中ですって。というか、あの玉

座に戻りたいんですね。身じろぎすらできな

い場所なのに。力がなくても自由に動き回れ

る今の方がいいんじゃないですか?」


「おいおい、杉江、めったなことを言うもん

じゃないよ。このままでいい、とい言い出さ

れたら、それはそれで対処に困るじゃないか。」


 七野修太郎は岡本浩太に向かって少し微笑

んで見せた。

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