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『フルートの流れる日常』綾野祐介



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「まっ、まさか、ナイ神父その人じゃないで

すよね?」


「我がこの場所に居ることが意外か?お前は

いったい誰だ?」


「私は、ラバン・シュリュズベリィの父方の

従弟の孫でマーク・シュリュズベリィといい

ます。まさか、こんな場所であなたにお会い

できるなんて。」


「ラバンとは、あのラバンか。人間にしては

忌々しいやつだ。旧神と大差ない。」


「それは博士にとってはきっと賛辞になるで

しょうね。あなたたちの目論見を阻止し続け

ることが博士の悲願でしたから。」


「それで、そのラバンはどうしたのだ。確か

普段はこの図書館に居ると聞いたことがあっ

たが。」


「そうです。先日までは確かにここで研究を

重ねていました。もちろん、旧支配者たちの

復活を阻止するため、ですが。ただ、ここで

は人間としての寿命が延びる特性があるので

すが、さすがに天寿を全うされてお亡くなり

になられたのです。それで代わりに私がここ

に来ている、という訳です。」


 ラバン・シュリュズベリィとは何度か会い

まみえたことがあるナイアルラトホテップだ

った。敵とはいえ、敬意を払うに値する相手

だ。


「そうか、それは人類にとって惜しい者を失

ってしまったことになるな。あれほど理解と

知識が深かった人間は過去そうは居なかった

はずだ。我ですら残念に思うぞ。」


「ありがとうございます。そして、今後は私

もよろしくお願いします。」


「お前が何者かは判った。ラバンに敬意を表

することは吝かではないが、お前とはそんな

関係ではないはずだ。今ここで滅してやって

もいいのだぞ。」


「そんな怖いこと仰らずに、お手柔らかにお

願いしますよ。でも、あなたがこんな場所に

現れた、とうことは、何が深刻な事態でも起

きましたか?あなたならこんな場所に来なく

ても自らの知識ですべてに対して澱みなく回

答を導き出せる存在であるはずですが。」


「お前に言われるまでもないわ。確かに我の

中にある知識は膨大である。ただ、森羅万象

の全てを網羅している訳ではない。我が主が

その知性を全て取り戻されたなら、足元にも

及ばない程度なのだ。だから、ここを頼るこ

とを思いついた訳だ。」


 言ってから、ナイアルラトホテップは失敗

したことに気が付いた。人間に言うには事が

重大過ぎる事態なのだ。実は地球では杉江統

一が君塚理恵と向坂健太に既に話をしてしま

っていたのだが遠く離れたナイアルラトホテ

ップには知る由もなかった。

 

「それほど重大な事態が起こっているのです

か?私にお役に立てることはあのますか?」


 マークとしては事態の全貌を把握したい。

その上で地球や人類に有利になるよう解決し

たかった。ナイアルラトホテップを焦らせる

事態、ということがまず信じられなかったの

だが。


「確かにここはお前たちの知恵も借りた方が

いいのかも知れんな。これは、この宇宙全体

に関わることなのだから。」



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