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「あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わかころもては つゆにぬれつつ」
この歌を、漢字混じりで書くと以下のようになります。
「秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露に濡れつつ」
仮庵とは、稲を見張るために作る粗末な仮小屋のことだそうです。
苫とは、藁などで編んだむしろのことです。
「あらみ」は「粗み」と読んで、苫の目が粗い、と言う意味のことだそうです。
なので、一般的にこの歌は、秋の収穫時期に建てられた粗末な見張り小屋の屋根の網目が荒いので私の服が雨でぬれていく。
そんな粗末な仮小屋で働く農民の苦労を想いながら天智天皇がお詠みになられた歌である、と解釈されることが多いです。