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セクション05:フロスティを迎え撃て

「ストーム、行こう」

「うん! 目標を確認! これより接敵しまーす!」

 データリンクから情報を受け取ったストームは、早速機体を加速させてその位置へと向かう。

 僅か数分でスルーズ本島上空を横断した2機は、そのまま普段飛び慣れたフリスト諸島の空域に入った。

 すると、自らのレーダーでも相手を捉えられるようになった。反応は2つ。

『こちらのレーダーに入りました! この反応は――タイガーシャーク?』

「という事は――」

「フロスティ教官だね……!」

 ラームの報告で、相手がフロスティだと知り全身の毛が逆立つ。これが武者震いというものだろうか。

 何せ何度も自分の事を見下した相手であり、初戦の時は2対1でもこちらを激しい機動で翻弄した強敵なのだ。

『レーダーの故障か? もう反応が2つ出ている』

 ふと、無線でそんな声が耳に入ってきた。フロスティの声だ。

 反応が出ているのに故障を疑っているのは、レーダーの情報を信じていない証拠だ。

 ブラストチームがこの時間までには来ないと高をくくっているのだろうか。

『あいつ、すっかり舐めきってるみたいだぜ』

「……よし、AMRAAM(アムラーム)で先制攻撃をかけよう! ブラスト2は僚機を頼む!」

「ウィルコ!」

『了解、ツルギリーダー!』

 すかさず攻撃準備に入る。中距離のAMRAAMミサイルを準備し、発射可能にする。

 まだ相手は肉眼では確認できないが、レーダーはHUD上で四角に囲まれた相手をレーダーでロックオンした。

 ウィ・ハブ・コントロール号はフロスティ機を、バズ・ラーム機はその僚機を。

『ロックオン警報? まさか――』

 次第に相手との距離が迫っていき、AMRAAMの有効射程距離に入る。

『ブラストチーム、交戦を許可します。がんばってください!』

 そしてその直後、ピース・アイから攻撃の許可が降りた。

「よし、今だ!」

「ブラスト1、ミサイル発射(フォックス・スリー)! ばーん!」

『ブラスト2、ミサイル発射(フォックス・スリー)!』

 ツルギの指示で、2機は同時にミサイルを放った。

 2発の見えないミサイルが、一斉に相手目掛けて飛んでいく。

『――まずい! 回避しろ!』

 フロスティはようやく気付いたようだが、既に手遅れだった。

 辛うじてフロスティ機はチャフを撒いて回避したものの、僚機は回避が間に合わず見えないミサイルの餌食となってしまった。

 僚機は力なく落ちていって空域を離脱する。

『こちらブラスト2、敵機撃墜!』

『へへ、どんなもんだい!』

 歓声を上げるバズとラーム。

 早くも相手を孤立させる事ができた。だが、まだ油断はできない。

「フロスティ教官が来るぞ! 散開だ!」

 前方から向かってくる、フロスティのタイガーシャークが目視できた。

 2機のイーグルは編隊を解き、攻撃に備える。

 直後、フロスティ機はウィ・ハブ・コントロール号のすぐ真横を通り過ぎた。

『間違いない、尾翼の青いイーグル……! なぜだ――なぜあれだけ早く飛んできた!?』

「『スルーズ空軍空戦10箇条』の第9条は、『空では何が起こるかわからない。片時も油断するな』ですよ! フロスティ教官!」

 ツルギは不思議と、それを得意げに言い放っていた。

 2機はそのまま、互いに背後を取り合おうと旋回を始めた。

『ふざけるな……っ! 1人で戦闘機に乗れない貴様が、こんな早く緊急発進(スクランブル)できるはずがない! どんなトリックを使いやがった!?』

 信じられない、とばかりに声を上げるフロスティ。

 その声は僅かだが震えており、内心はかなり動揺しているのがわかる。

「できるって思えば、人は何だってできるんだよ! 1人で戦闘機に乗れなくても、ね!」

 ストームが得意げに答える。

『ガキのくせに、わかったような事を言うなっ!』

 フロスティ機が背後を取る。やはりその機動性は圧倒的だ。

『いくらできると信じようが、不可能な事を覆す事はできない!』

 ロックオン警報が鳴り響く。こちらを攻撃する気だ。

「できるよ! 夢の力さえあれば!」

 だが、ストームは怯まない。

 一気に機首を上げ、そのままバレル・ロールに突入する。

 急激にフロスティ機との距離が詰まっていく。

 機体が背面に突入した時、フロスティ機がすぐ真下に見えてきた。

『ぐ――!』

 負けじとフロスティ機も追従する。

 結果として、2機が背中を合わせる『バック・トゥ・バック』の形で、2機はゆっくりと回り始める。

 それはまるで、空中で剣士が鍔迫り合いをしているようだった。

「夢の力は無限大なんだよ! 夢を信じ続ければ、不可能だって可能できる力が出るの! だから、ツルギのハンデだって乗り越えられたんだよ!」

『ほざくなっ! そんなものは幻想に過ぎない! 戦いは力だ! 夢なんて不確かなものより現実での力が全てだっ!』

 上下でフロスティとストームと視線がぶつかり合う。

「それだけじゃない!」

 その中に、ツルギも加わる。

「確かに僕は、教官の言う通り1人じゃ何もできない……でも僕には、信じ合える仲間やパートナーがいる! そんなみんなと助け合ったからこそ、僕はここに来れたんだ!」

『ほざくなああああっ!』

 フロスティが憤慨する。

 それを示すように、フロスティ機はアフターバーナーに点火して急旋回。

 バック・トゥ・バックから抜けると、反転してウィ・ハブ・コントロール号の正面から向かってきた。

『ガキのくせに、偉そうな事を――っ!』

 ロックオン警報が鳴る。

 向かい合った2機は、超音速の相対速度で一瞬の内に間合いを詰めていく。

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