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港のように

作者: 歌川 詩季
掲載日:2026/09/23

 そんな心境も。

 船が錨(いかり)を沈めているうちに

 ひきとめる理由さがすんだ

 海が灯(あか)りを浮かべているのなら

 宴(うたげ)の賑(にぎ)わいが冷めることもない


 人身御供(ひとみごくう)みたいな半生にも

 愛しさを覚える出逢いにはわりと恵まれてて

 すべてを呪って暮らす未来に

 余生をくれてやれはしないよ


 旅人の装(よそお)いを選ぶ生きかたがあるからには

 その訪れを迎えてやる

 港のような生きかたがあってもいい

 船出に涙はつきものだけど

 語り草のひとつくらいは残してくものさ



 波が怒りを鎮めているうちは

 ひきしぼる舵(かじ)をゆるめてた

 とうに盛りを逃(のが)しているけれど

 棺(ひつぎ)のその蓋(ふた)はひらいてさえない


 ひとりよがりを悔(く)やむ反省より

 きっかけを奪った躊躇(ためら)いが まずは目の敵(かたき)で

 すべてを叶えてしまう魔法も

 渡世(とせい)で求めて止(や)みゃしないが


 旅先のかき恥と笑う生きかたで構わないや

 その戯(たわむ)れに慰(なぐさ)められ

 港のように古びてゆけるならいい

 門出に微笑(ほほえ)み絶やさなければ

 痛み分けと強がるのも悪くないかもな

 気質もあるかもね。


挿絵(By みてみん)

制作:ひだまりのねこ先生

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― 新着の感想 ―
 なんて言ってたら白波の如くなってたり……。(笑)
沁みるねぇ。悪くねぇ味だぜぇ。
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