ひろしの男ゴコロ
「むっくん、今日はテーマパークの無料チケットありがとうね!」
「いや、父親がもらってきたやつだから。」
「それにしても、かなちゃん来れなくて残念だったな。」
「トゥエンティのライブで遠征だって、朝から張り切って家を出ていったよ。」
「まあ、そのぶんひろしが来れたから、それはそれでよかったよね、ひろし。」
「チケットを余らせるのがもったいないと思っただけど、むさしありがとうな。」
「あっ開園アナウンス来た!じゃあ張り切って行くよ。やっぱり最初は、2回転ジェットコースターだね!」
ゆいこは先陣を切ってテーマパークのゲートをくぐり、目的地に向かって早歩きをする。姫のお付きのように、その後をたくみ、むさし、俺が追いかけた。
2回転ジェットコースターを乗り終えると、たくみも俺も若干フラフラしていたが、ゆいこもむさしも足取りが軽い。
「は~めっちゃ楽しかったね!」
興奮気味のゆいこに対し、たくみがツッコむ。
「なんでお前ら、ケロッとしてられるわけ?」
「えっなんでだろう~?楽しさのほうが大きくて」
「俺たちのほうが若いから?」
「若さは関係ないだろ!確かに歳の差はあるけどさ。」
と、たくみがすかさず、むさしにすねたように言う。
「もう一回乗るよね、むっくん。たくみはもういいんでしょ。」
「いや、俺も乗るよ!なぁ、ひろし」
たくみ、そんなところで張り合わなくてもいいのに、と言葉にはしないでおいた。
「次は何にする?あっ、ポップコーンとチュロスの匂いがする!まずは腹ごしらえしよっか。」
大学生になってアルバイトをしている俺たちで会計を割り勘し、ゆいこは4本のチュロスを、むさしはポップコーンをスタッフから受け取った。
「はい、どうぞ。」
たくみと俺にチュロスを配るゆいこ。
「むっくんはポップコーンとチュロス持ったら食べられないね。とりあえずチュロスは持ってるから、ポップコーン食べていていいよ。」
「むさし、ポップコーンちょうだい。」
たくみがチュロス片手に、ポップコーンを頬張る。
「どぞ。」
と、むさしが俺に箱を差し出してきたので、ポップコーンを口に運ぶ。
「チュロスの甘みとポップコーンの塩気がいい塩梅だな。」
俺の言葉にゆいこが反応する。
「えーっ。私も一緒に食べたい!むっくん、あーんして!」
おいおい、それは…と言う間もなく、
「ちょっと待ったぁぁ!」
「ゆいこねーちゃん?」
たくみが止めに入るのと同時に、どうしていいのか困った様子でむさしが呟いた。あーん待ちで口を開けたままのゆいこと、フリーズしたむさしがたくみを見る。
「ゆいこ、隙を見せすぎだ。むさし、次何乗るか決めるぞ!」
と、ゆいこから離そうとしてるのか、むさしを連れて行く。
「ゆいこ、あまり煽るなよ。」
「えっ?」
ゆいこは何を言われてるかわからないという表情できょとんとしている。
そういうところだよ、と思いつつも、まっそういうところ嫌いじゃないんだよな、と心のなかで独りごちる。
「いや、何でもない。ほら、何乗るか一緒に決めに行こう。」
ゆいこの背中をぽんとたたき、たくみとむさしの方へ向かうのだった。
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