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短編集

銀の騎士と、花売り娘の秘密

作者: 夢見叶

花の香りが満ちる早朝の市場。リアは籠に咲きたての白花を詰め、いつもの場所で店を開いた。

 そのときだった。路地の奥から、金属が地面に触れる甲高い音が響く。


「だ、誰……?」


 恐る恐る覗くと、陽光を反射する銀の胸当てを身につけた青年が倒れていた。息はあるが、額には赤い傷。何より、その整いすぎた顔立ちに、リアは思わず息を飲む。


「しっかりして! 今、手当てします!」


 リアは彼を自宅へ運び、傷を拭い、薬草を煎じて飲ませた。

 しばらくして、青年はゆっくりと瞳を開く。


「……ここは?」

「私の家です。あなた、道で倒れていて……」


 青年は自分の名も思い出せず、ただ「大切な任務があった気がする」と呟くのみだった。

 仕方なくリアは、彼が回復するまでの間、身元を隠すため“セイル”という名を与え、匿うことにした。



 セイルは礼儀正しく、家事もよく手伝う青年で──気づけばリアの生活は、彼の穏やかな笑顔に彩られはじめていた。


「リアの淹れるハーブティーは、落ち着くな」

「そ、そんな……ただの野草ですけど!」


 胸が温かくなるたび、リアは自分を戒める。

 私は普通の花売り。彼にはきっと帰るべき場所がある。

 そう思うほどに、恋は痛みを増していった。



 ある夜、セイルは突然、頭を押さえて膝を落とした。


「……思い出した。俺は、王国を守る“銀の騎士団”の副団長……セレスト・アルバートだ」


 そして、彼が倒れていた理由も。

 王都を狙う“黒竜”が復活し、その襲撃から民を守るために戦った結果、重傷を負い記憶を失ったのだ。


「戻らなきゃ……。だが――」


 セイルはリアをまっすぐに見つめた。


「もし生きて帰れたなら……その時は、俺の隣にいてくれないか?」


 リアは一瞬、言葉を失う。

 自分にそんな資格はない──そう思った瞬間、胸の奥が熱く疼いた。


「……待ってます。だから、必ず帰ってきてください」


 リアは震える手で、籠から一輪の白花を取り、セイルの胸にそっと差した。


「あなたの無事を願う花です」


 セイルは静かに微笑み、彼女の手を包み込んだ。


「約束だ、リア」



 翌朝、彼は騎士団へ戻り、黒竜討伐へ向かった。

 リアは祈ることしかできなかったが──数日後。


「ただいま、リア」


 扉を開けて立っていたのは、傷だらけでも凛としたままの、彼女の銀の騎士だった。


「……帰ってきてくれて、よかった」


 涙が溢れ、リアは彼の胸に飛び込む。

 セイルはその頭を優しく抱き寄せた。


「もう離れない。これからは、ずっと一緒に生きたい」


「はい……!」


 花の香りの中で、二人はそっと唇を重ねた。


──これは、花売り娘と銀の騎士が紡いだ、小さな奇跡の始まりの物語。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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