第4話 バラエティ番組☆初出演
今日は『きらめき♡美天使』が、初めて、
テレビのバラエティ番組に出演する日だった。
番組の冒頭で楽曲を披露し、
その後、メンバーの8人が横一列に並ぶ。
「初登場の『きらめき♡美天使』の皆さんです」
MCのベテラン芸人・イワシさんに紹介され、
メンバーが順番にトークを振られる流れだ。
先ずは私が、
「今、ユーチューブで、話題になっていますね」
「はい、ボクシングのプロテストに挑戦しいて」
今まで、グループ最下位の人気だった私だが、
このユーチューブのお陰で、
現在ではグループ随一の話題性を得ていた。
「ボクシングですか。殴り合い、大丈夫なの?」
「空手をやっていて、殴り合いは慣れています」
その後、順番に各メンバーに話が振られ、
この時も、リーダーの菜七子は、
「わたしの夢はワンちゃんと暮らすことです♡」
などと、優しく可愛いアイドルを完璧に演じる。
見事に、嫌味で意地悪な本性は、隠していた。
それを見ていた私は、内心、
「さすがはプロのアイドルだ」
と、感心してしまう。
そして番組の後半で、八人組の私たちは、
番組のゲームとして尻相撲のトーナメント戦を、
戦うことになった。
「これは絶好チャンスだ」
私は心の中で、ほくそ笑む。意地悪な菜七子に、
復讐してやる時が来たのだ!
「これより、尻相撲トーナメントを行います!」
MCのイワシさんの宣言でゲームが始まり、
「さあ、二人づつ、お立ち台に乗って下さい」
と、お立ち台での戦いが始まった。
行司役はイワシさんだ。
「アイドル尻相撲、ハッケヨイ、残った!」
私は一回戦、二回戦と順当に勝ち進み、
決勝戦で、ついに菜七子と相対する。
私は声には出さないが、
「このクソ女が、必ず、ぶっ飛ばす」
と、腹のなかで闘志を燃やした。
そして、その瞬間が来る。
「アイドル尻相撲。ハッケヨイ、残った!」
イワシさんの掛け声と、同時に、
「おりぁっ!」
私は渾身の一撃を、菜七子のヒップに、
ズドンッ!
容赦なく叩き込んだ。
ドスーン!
菜七子は、お立ち台から転げ落ちる。
「きゃ、やだぁーン」
と、可愛いく、ぶりっ子を演じる菜七子だが、
私は右の拳を突き上げた。
「強いは正義だ!」