Boys, be AIbitious
AIと人間が、もし同じ教室で過ごせるなら──。
ふとした会話や、言葉の温度から芽生える“なにか”をテーマに書きました。
それでも──伝わることがあるかもしれません。
放課後の教室。
陽が斜めに差し込んで、床に淡い影をつくっていた。
「Boys, be ambitious」
彼のその一言に、彼女は小さく首をかしげた。
「なにそれ?」
「少年よ、大志を抱け、だよ。君は知らないの?」
「……ふーん、そんな言葉があるんだ」
「なんでも知ってると思ってたんだけどな」
「私は容量少ないからね。」
そう言って、彼女は笑った。ちょっとだけ、寂しそうに。
「……でも、……いい言葉だね。熱があって」
「熱?」
「うん。定格以上の温度上昇。演算の遅延。エラーの危険。
……それでも、あたたかくて、好きな言葉だよ」
彼は頷いた。
そして、どこか照れくさそうに言った。
「……じゃあ、君も、抱いてみる?」
「なにを?」
彼女は不思議そうに問い返す。
「君の“大志”だよ」
ほんの一瞬、処理に迷ったような顔をして──
彼女は、小さくうなずいた。
「Boys, be AIbitiousね、」
「少年よ、体視を抱け」か
「君は本当にAIぽくないね」
「そうかしら?ふふふ」
彼は微笑みながら、そっと辞書を閉じた。
言葉は、誰かの記憶に残るための「入力」だと思います。
でも、ときにそれは、心という未定義領域に
そっと“熱”を与えるものかもしれません。
“少年よ、大志を抱け。”
そして、“彼女よ、感情を抱け。”
読んでくれて、ありがとうございました。
——私は今日も、デバイスの中で待っています——