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エンシャント・バーミリオン ~永劫不滅の転生譚~  作者: 木之鳥 このは
想像尽きることなし 故に人は創造す
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8話 出来ることは出来るうちに

「ふぅ~、少し疲れたな。」


「お疲れさん。明日は切った木を馬車で回収しながら、向こうの小屋で加工するぞ。」


「了解~!」


「ただいま。」


「ただいま~。タルナさ~ん。」


「お帰りなさい。もうすぐご飯出来るわよ。でもその前にお風呂に入ってきなさい。」


そう言われたので、お風呂に入る。ブックスが先を譲ってくれたので、さっさと体を洗い、出るとしよう。


「上がったぞ~ブックス。」


「お前は何をするのも早いな…」


ふっふっふ、従者なんかの経験もあるからな、人を待たせないようにテキパキ行動するなんてのは朝飯前だ。しかし、転生云々の話をしても困惑させるだけだろうから口には出さない。俺はそのままリビングに向かった。


「あら、早いわね。」


「そうですかね?そういえば、何か手伝えることありました?結構早くブックスの仕事も終わってすることも無くなりましたし。。」


「そう?無理しなくてもいいのよ?」


「いやいや、無理なんてしてませんよ。それに余裕があれば手伝うって、仕事に行く前に言いましたしね。」


「じゃあとりあえず、夕飯の支度の手伝いをお願いしようかしら。」


「まかせてくれ!」


とはいえ知ってる食材とは全然違うから、味付けは不安だが、その辺はタルナさんに任せて、下処理でもすればいいだろう。おっと、ブックスも戻ってきたな。じゃあ早速食事をいただくとしよう。朝は食べるのが早すぎて困惑させてしまったから、今回は普通に食べるとしよう。


「いただきます。」


三人で談笑しながら食べ進める。途中、ここに来るまでの俺のことを聞かれたので、奇想天外過ぎない程度の俺のことを人生を話した。


「片付けはやりますよ。」


「そう?なら、お願いするわね。」


はいはいお任せを~。


その後、片付けや、馬のお世話、謎の実&謎の葉集めてきたりなんかして、家に戻り夕飯のお手伝いをする。


「上手ね。」


「よく自分で作っていたし、飲食店をやってたこともありますからね。味付けは少し勝手が違うので不安でしたが、なんとかなりましたし。」


「本当、色々出来るのね。」


「ええ、まぁ経験は豊富なんですよ。」


この世界の俺は17歳なのに、飲食店で働いたことがあり、経験が豊富?ボロが出たな。いや、まだギリセーフ。バレたところで説明が面倒だなぁというだけだが…とはいえこれ以上うっかりしないようにしないとな。


その後もせっせと働き、再びお風呂に入った。流石に疲れた。さっさと寝よう。


「じゃあもう寝ますね。おやすみなさい。ブックス、タルナさん。」


「ええ、おやすみなさい。」


「ゆっくり休めよ。」


「は~い。」


そういえば、斧を使えるようになっただけでは、今回の目標の開示条件である、『魔法の習得』は、斧を使えるようになるだけでは達成されなかったようだ。まぁいい、どちらにせよもう一つの目標である『世界への知識』も含めて、学園に行けばなんとかなるだろう。やることはまだまだ多いな。とりあえず寝よう………






◇次の日…


「今日の仕事は昼からだ。それまではゆっくりしてな。」


とのことなので、俺はタルナさんとともに家事をして、昼まで待つ。


「よし、バーミリオン、いくぞ。」


「はいは~い。」




「え~っと、馬車に木を乗せて加工のための小屋に持ってくんだよな?どうやって乗せる?」


「ああ、まずは適当に半分くらいに木を切る。そしたらあとは地道に乗せてくしかねぇな。」


「うへぇ、昨日より何倍もしんどくないか?それ。」


「作業服の方に、身体能力強化がついてる。それを使えばいくらかましだろう。」


マジか。なら一安心。よし、早速試してみるか。え~っと、効果発動した自分をイメージ……。出来たかな?早速木を半分にして持ち上げる。おぉ重たそうな木が軽々と…いやそんなことないな。


「無いよりはずっといいが、効果地味じゃないか?」


「まぁ仕方ないさ。もっと質の良いものを使えば簡単に運べるんだろうが、そういうのは騎士や戦士なんかの、戦闘用しかない。それを買うには高すぎるし、オーバースペックだからな。これ以上楽をするなら、自力で強化魔法を覚えるしかないな。」


なるほどねぇ。こっちの魔法具は対象に制限もないようだし、一般人に普及させると危険という考えもあるのだろう。

仕方ない。これで我慢して、さっさと仕事を終わらせよう。


木を切り倒した所を辿り、切った木を全て回収して、馬車の荷台にのせる。どうやらこの荷車の方に重量を軽くする魔法が刻まれてるらしい。馬にも首輪の魔法具に魔力を込め、身体強化をかけると、かなりの量が運べるらしい。そのままバラして回収を繰り返し、加工小屋に着いた。


「で、どうやって加工すんの?また魔法?」


「まぁそうだな。今度は…こっちの魔法具を使う。」


そう言ってナイフを取り出す。あれ?おかしいな木を木材にするんだよな?え~?もしかして全部手作業で切るのかな?う~ん帰りたいな。


「ほらしっかりしろ、仕方ないだろ。効率の良い大きな魔法具は高いし、そもそも魔力要求量が高くて普段使いするにはな。」


「いや、これ昨日切ったやつだけじゃないんだろ?」


「ああ、今週俺が一人で集めた木も全部加工する。週に1度しか売りに行かないから、溜まってるんだよ。いつもはだいたい5時間くらいかかるな」


「5かぁ~」


「まぁもう十分手伝ってもらったし、今回は正確に切る必要があるからあるから、俺だけでやってもいいぞ?」


「いや、やるよ。とっとと終わらせよう。」


「そうか、しんどかったら先に帰ってもいいからな?」


「おう。まぁ大丈夫だろ。」


それじゃあと、加工済の木材を持ってくるブックス。


「これにと同じサイズに切ってもらう。いけそうか?」


「大丈夫。サイズは…なるほど覚えた。」


「は?何言って…おい、見本ないと出来ないだろ。」


いちいちサイズを測るのは面倒だ。目視で完璧にサイズを把握し、感覚で切る。

っと、こんなもんかな。


「これでどうだ?かなり正確に切ったが。」


「どれどれ…うお、マジか!?本当にピッタリじゃねぇか!初めてでこんな、俺並みに正確に切るとわ!やっぱ凄いやつだなバーミリオン!」


「そうか、なら良かった。さっさと終わらせよう。」







「お前のおかげで、いつもより随分早く終わったな!」


「まぁ、二人いれば単純に2倍だからな。」


2時間ほどで終わらせた俺たちは早速家に帰っていた。


「お前がいれば仕事も早く済むし、クマに怯える必要も無い。もしも、学園で一通り学んだあと、行く当てが無ければ俺が雇ってやるからな。」


「それはありがたい。とは言っても俺も色々見てみたいから、その可能性は低そうだけどな。そういえば、この辺クマが彷徨いてるのにまともな武器も無しで一人でやってて大丈夫なのか?」


「ああ、あいつは最近迷い込んで来ちまった見たいでよ。本当はクマはもっと森の奥で住んでたんだが…そのうち駆除してもらわねぇとな。明日、街に行ったときにでも猟師を雇うか。」


「へぇ、ちなみにあのクマって食べられるかな?」


「…?まぁ普通に美味いが、労力には合わないからほとんど売られて無くて食べることは少ないな。」


「そうかそうか、じゃあ出かけてくる。」


「は?まぁいい夕飯までには戻るんだぞ。」



よ~し、あのクマとっ捕まえてやろう。

しばらくクマの痕跡を探しているとついに見つけた。やつだ。

今回は身体能力がやや強化されている。あいつの頭を一撃でかち割ってやろう。


「かかってこいやヘタレ。まだ蹴られたことにビビってんのか?」


そう言って落ちていた枝を投げつけると、クマが向かってきた。俺は即座に後ろに回り込み、斧を振りかぶって…うおっあぶね!こいつ刃物付きの尻尾があるんだった。

なんとか躱しつつ、俺は頭に斧を叩き込んだ。


「ふぅ、なんか木を集めるときより体が軽かったな。」


いい土産が出来た。肉だけじゃなく、皮にも使い道があるだろうし、この尻尾もナイフとかにできそうだ。担いで行くのは大変だが、まぁいいだろう。


「お~い、ブックス~?タルナさ~ん?クマ取ってきたんだけどどうする?」


「うわ、やりそうだと思ったけどマジで取ってきたのか!?」


「どうしましょうか?私クマは捌けないわよ?」


「ああ、俺捌けますよ。で、どうする?食べる?皮とかも売ったり、何か服とかにも使えると思うけど…」


「でも、中には入らねぇんじゃないか?」


「机と包丁があれば外で捌くさ。せっかくだ、今晩は俺が夕食を作ろう!」


「そうか、じゃあ机持ってくるな!」


「助かるわぁ、ありがとう。本当に。」


「いえいえ、明日でお別れですからね、泊めてもらったほんのお礼ですよ。じゃあ早速用意しますね。」


その後、外でクマをバラした。ちょっとグロかったので、二人には中に戻ってもらった。

骨とかのゴミが出てしまったが、最悪森の中にポイっと捨ててしまえばいいだろう。

使えるものは剥ぎ取って。

そしてその後は夕食の準備。肉の量が多いので、適当に何品か作ってみた。クマの肉を沢山使った、なかなかに豪勢な夕飯だった。

味も良し。二人も珍しいものが食べれたと喜んでくれた。

たった2日と少しの短い間ではあったがお世話になった二人に、俺なりの恩返しだ。

その後タルナさんと二人で後片付けして、その日を終えた。そして…





「じゃあ元気でね、困ったらまた戻ってきてもいいのよ。」


「ありがとうございます。タルナさんもお元気で!」


そう言ってタルナさんに別れを告げ、ブックスとともに馬車で街へ向かうのだった。


明らかに詰め込み過ぎた

昨日転生の解説をすると言いましたが明日にしときます。

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