5話 イカれた不審者が現れた!
できるだけ毎日投稿できるよう、暇なときは書き溜めておくことにしました。できるだけ5時くらいに投稿するようにします
俺に横からドロップキックを食らわされたクマは、そのまま倒れこみ、ゴロっと一回転をした後、ゆっくりとこちらを見据えながら起き上がる。
その間に俺は、襲われていた男から斧借りる。
「そこのあんた、助けてやるから斧を貸してくれ。」
「あ、あぁ、ほらよ。」
なんかさっきより大人しいなこいつ。クマに襲われていたときはでかい声だして、ビビってたのに…いや、よく考えて見れば素手でクマに喧嘩を売るやつが突然現れたら怖いか。
せっかく助けてやるのだから、少しは感謝とか、応援とかして欲しいものだが…まぁいいだろう。この世界のことや、近くの街なんかを聞ければそれで十分だ。
「今ならまだ見逃してやるよ。晩飯野郎!」
そう言って斧を見せつけ威嚇する。ぶっちゃけ、勝てるか分からないので逃げてもらった方がありがたい。
恐らくは木の伐採用と思われる、そこそこ重い斧で素早い上にでかいクマを相手したくない。
(どっかいけぇ!無理すんなよ逃げろ逃げろ!)
そんな願望を思い浮かべつつ、クマから目は離さない。しばらく互いに見つめ合っていると、クマをそっと逃げ出した。
「助かったのか…?」
と男が言う。
「あぁ、そうだな。ふぅ、ほんと危ないとこだったな。」
俺はこの男にまともなやつだと思われていない可能性があるので、内心ビビってましたよ~と、アピールをする。
「そうか、助かったよ、君。だけど、どうしてこんなところに一人でいるんだ?しかも何も持たずに。」
「あ~、えっとぉ~、実はちょっと壮大な迷子でして。」
もう何度もこういうことはあったが、未だになんと言って異世界転生なんかのことを説明すればいいのか分からないので、とりあえず適当な嘘をついておく。
「迷子?もしかして異世界人ってやつか?」
「おぉ!それですそれ!」
俺と同じように、自分の意思に関わらず永遠と別世界に転生を繰り返しているやつはあったことはないが、異世界から転生してくるだけならそれなりの数がいる。世界によっては異世界人なんて滅多に来ないというところもあれば、結構ポンポンくるパターンもある。
今回は、壮大な迷子とかいう意味不明な発言から察してくれたのを見るに、後者だな。
前者ならそもそもほとんどの場合、異世界人の存在を周知していないし。運が良かった。なんとかなりそうだと安堵を浮かべながら俺はその男に問いかける。
「どういうわけか、気付いたらこの森の中にいて…もし良ければ、この世界がどんな世界なのかとか、あとは近くの街への行き方とかを教えて頂けると助かるんでずが…」
さっきまでは助ける側だったためタメ口だったが、今度は助けられる番だ。敬語で話す。
「はっはっは!兄ちゃんもずいぶん大変だったみてぇだな!いいぞ、助けてもらった恩もある。近くに俺の家があるからそこで色々教えてやるよ!」
「ありがとうございます!」
「そういえば、自己紹介だけはしといた方がいいな、俺はブックスだ。兄ちゃんは?」
「バーミリオンっていいます。」
「そうか。じゃあ早速行くかバーミリオン。着いてこい。」
そう言って歩きだすブックスの後ろを追って、俺も歩きだすのだった。