2話 期待と不安
設定解説メインな感じ
「だだでさえパワー特化ばかりなのにに強化魔法なんてかけるなよ… 賢者達にも脳筋が感染したのか?」
胴上げで死にかけた前回の世界を思い出しつつ、俺は目を開く。今回も無事(?)転生したようで、辺りを見回すが人のいる気配はない。ただ草木が生い茂っているだけだ。
「森生まれかよ。だがこの感じは……」
人が住めるような様子ではないが、この森はある程度手入れがされているように感じる。木々の間隔がある程度保たれ、「舗装されている」というには程遠いが、草も生えていないくらいには踏み固められた道のような物がある。
「人工林か伐採場か……」
いずれにせよ人の痕跡がある。となれば管理している人が近くに住んでいるかもしれない。よかった!原始時代からやり直す必要はなさそうだ!
「人が出入りするなら猛獣なんかもいないか」
仮に襲われたとして、この地面ならなんとか対処できるだろう。
ということで、今回の俺の詳細を確認しよう!!
名前:バーミリオン・エンシャント
種族:人間
年齢:17歳
前回のリザルト
『人間と魔王との争いを終結させる』 達成
目標を達成したため、報酬として[クロイア語]を習得しました。
今回の目標
『現在は秘匿されています』
解放条件:1 世界に対する一定以上の知識
2 魔法の習得
このメニュー画面のようなものが今回の俺の詳細だ。
これを見れば勘のいい人は気付くんじゃないだろうか。お察しの通り、転生のたびに名前や年齢、容姿、酷いときには種族までも変わってしまう。といっても全くの別人になることは稀だが。
もとは普通の日本人だったんだけど……どうしてこんな目に……いや、今はいい。問題は今回の報酬と目標だ。
まず報酬についてだが、俺が転生するたび、その世界での目標が表示され、それを達成すると次の転生で報酬が貰えるというもの。ゲームで言うとクエストみたいなものだな。義務でもなければペナルティも発生しないため、極論スルーしたっていいんだが、武器やお金、異能力が手に入ることもあるのでできるならやっておきたいところ。たま~に成長しきった体で知らない言語を使う国に飛ばされ、実質的なペナルティが発生することもあるし。
所謂チート能力から意味のないものまで、多種多様な報酬があるが今回は言語のみ。ソシャゲのガチャなら人権(星1)みたいなもんだ。
あって当たり前なんだよ普通は。自力で学んだこともあるが苦行とかいうレベルじゃなかった。教わる相手がいない上、本を手に入れることすらままならない。
おまけに今回は森生まれ。言語が全く役に立たない。人に遭遇する前にうっかり死ねばもちろん、目標を達成する間もなく転生。現地で言葉が通じなければ再び命の危機。最悪不審者として処されてループが始まる。
そして今回の目標。わからないというのはやや面倒だ。
しかも解放の条件も曖昧で、手の打ちようがない。
とはいえ人に会うことができればなんとかなりそうなので、正直これは報酬の問題ほどではないのだが。
なんにせよ、森を抜け、人と会ってみないと始まらない。
「すぐ会えればいいなぁ………」
そんな理想を呟きながら道にそって森の中を進むのだった。
次回で人と遭遇してくれっ!
ずっと一人だと話を進めにくいんだ…