20話 戦闘術実技試験 五人目 バーミリオン 其の三
新しい、綺麗なな魔法
と聞けば、分かる人には分かるだろう。
先生にも伝わるのかは微妙な所ではあるが、この世界の魔法使いに座学は必須レベルだし、今日の授業を見た限りこの先生が全教科を担当しているようなので恐らくは気付いてくれるだろう。
「新しくて綺麗…?おい、まさか…」
「ふっふっふ、そのまさかだ!安心しろ。ちゃんと加減はするから大惨事にはならないさ。」
「本当に大丈夫なんだろうな!?というか本当に出来るのか!?発動に成功してもまず間違いなく制御に失敗するぞ!?それにこんな1対1の試験で気安く使うようなものじゃないだろ!!」
確かに、核の力を魔法に利用するなら膨大な魔力を要求されるだろうし、先生の言うとおり制御も難しいだろう。暴発すれば辺りがめちゃくちゃになるかもしれない。
そして使用するタイミング。これもおかしい。核ほどの威力を使用するなら、広範囲の殲滅や、基地などの破壊、特殊な場合では耐久力や高い再生能力を持った化け物を仕留めるため、といった状況が考えられるが、たかだか試験で核魔法を使うなんて、普通の学校の理科で「よし、核の実験をしてみようか!」と先生が言い出すのと大きな差は無い。
それに、先生の反応を見る限り、核撃魔法はなかなか難易度の高い魔法のようだ。この世界の魔法はイメージと知識が重要ではあるが、それさえ出来ていればなんでも出来るわけではなく、そこから魔力の量や操作などが問われる。核ともなれば、それらの課題はそう簡単にクリア出来ないだろう。
そして、気安く使えないということは、練習することもままならないと言うことだ。不発するならまだいいが、暴発したらまずお陀仏だろうしな。扱いやすいように改良するにしても、試行錯誤出来ないならかなり厳しいだろう。
そんな物を魔法習いたての天才が試そうとすれば、大丈夫なのか?という不安とそもそも出来るのか?という疑問が浮かぶだろう。だが、俺は自信を持って大丈夫だ、俺なら出来ると肯定する。
「降参するなら今のうちだぞ?」
「馬鹿を言うな、出来るかも分からんのに合格に出来るわけないだろ!」
こんなやり取りをしている間も、容赦なく攻撃してくる先生。魔法を発動する時間稼ぎをしたいので、防御を優先するため一度しまった剣を取り出し応戦する。
「じゃあ、やっちゃうぞ…!核撃の大暴風!!」
俺のその言葉に反応し、物凄い勢いで後方へと跳ぶ先生。ビビって逃げた訳ではない。恐らく、俺の魔法の発動を確認してから防御魔法を使うためだろう。だが…
俺がそんな隙を見逃すとでも?
次の瞬間、発動したのは核魔法ではなく、ハイフラッシュだった。
「なっ…!」
「はっはっは!核に注意を向けすぎなんだよ!」
魔法名の詠唱なしのハイフラッシュ。詠唱した方が魔法の精度が向上するため、今使ったものは光量が甘い。
そのため先生の視界を奪える時間は、本来はそれほど長くはない。しかし今回は、先生が俺の魔法に全力の注意を向けていたため、俺を凝視していた。そのため目眩ましの効果は、コーネインが使っていたときと同等だ。
「さっきからやることが汚くないかっ…!」
「人同士で争ってる時点で何しても汚いんだよ!!そもそもそう簡単に核を使うわけないだろ!騙される方が悪いね!!」
今のうちに連続攻撃だ!!剣を魔法具にしまい、殴る、殴る、もう一発殴る!!くそ、防御された…だがすかさず足払い!!そして体勢を崩したところを掴んでぶん投げる!!
「がはっ!」
そろそろ剣を突き付けたら勝てるんじゃないだろうか?と思ってきているが、楽しくなってきたのでまだやらないでおこう。
それにきっとまだ対処出来るくらい元気なはずだ。そうそう。そうに違いない。
だがいつまでも先生を楽しくボコっている訳にもいかない。みんなにドン引きされてしまうからな。
先生の動きもだいたい見切った。自分の技量、体の限界も分かってきた。もう迷いも不安も無い。
ここからがラストスパートだ!!
他の生徒がかなり魔力切れを気にしていたのに、バーミリオンは全く気にしてないのは先生の指示の違いが理由です。
みんなは、実戦では、魔力を使い果たすと例え勝てたとしてもその後無事に帰れる保証がないから節約しろ、無駄遣いするな!と言われていました。具体的に言うと4割は残せと。
バーミリオンはそんなこと言われてないので
君ら魔力結構余裕あるよね?
と思いながら話聞いてた。




