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エンシャント・バーミリオン ~永劫不滅の転生譚~  作者: 木之鳥 このは
想像尽きることなし 故に人は創造す
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1話 世界との別れ 新次元への転生

俺たちが旅立ち、そして帰ってきた王国の周辺、木々が生い茂る森林。そこに俺はともに旅をしてきた仲間たちを呼び出した。


「この2年間、色々あったが終わってみれば楽しかったな」


仲間を集め、資金を稼いで武器を買って……紆余曲折はあったがついに魔王討伐をも成し遂げた。難癖つけてきた貴族の悪事を晒上げたりもしたがそれはそれ。


「なんか言えよ」


そう話しかけても無視を決め込む仲間たち。具体的に言えば戦士(斧使い)、戦士(大剣)、騎士、格闘家A、格闘家B、魔拳士、魔剣士、賢者A、賢者B、賢者C、の10人。


うん……やっぱ多いな、数が。そして役割が偏りすぎだろ。賢者の3人以外前衛じゃねぇか。


そのせいで、賢者の魔法に巻き込まれて吹っ飛んだり、逆に賢者達が邪魔をしないようにと攻撃を控えたせいで暇にしていたりもした。というか基本それだった。


近接メインのパワータイプばかり仲間にした影響はそれだけでなく、男女比率がやや偏ってしまった。賢者のうち2名(AとB)、そして戦士(大剣)と格闘家B、それ以外はみんな男である。パワータイプが多いのだからそうなるのも当然と言える。


僧侶を仲間にしようかという話になったとき、賢者に回復魔法覚えさせつつ、パワー生かしてみんなで回復アイテム持ち歩こうという話になったのが全ての原因だろう。


回復特化要因が必要になるほどダメージを負うことがなかったので、案外利にかなっていたのかも知れないが、女性の弓使いあたりは仲間にするべきだったというか女性に限らず飛び道具が足りてないわ。


だが過ぎたことをウダウダ引きずっても仕方ない。今は目の前のことに集中するとしよう。


「いい加減なんか言えよ、時間だって有限なんだ」


時間が迫っている……そう匂わせることで返答を強制する。


すると、賢者Cと戦士(斧使い)から返答が返ってきた。


「そんなこと言ったって、バーミリオン、まだ何が起きているのか、僕は理解出来ていないんだ」


「消えるってぇ、急に言われてもな、だかよぉ… ()()を見せられちゃあ嘘だとは思わんがよぉ…」


まぁそうなるだろう。なんたって今の俺は全身からキラキラと眩い光があふれ出しているんだからな。


俺にとっては「イルミネーションみたいで綺麗だなぁ」くらいのもので、もうとっくに見慣れた光景だが、急なことだしな。少し説明してやるとしよう。


「俺はどうやら特殊な人間らしくてな、不滅なんだよ」


「不滅……?不滅なのに消えかかってるのですか?」


と至極真っ当な疑問をぶつけてくる賢者B。


それに俺は答える。


「俺は何年も、何百年も、何千年も、別の世界に転生を繰り返しているんだよ。死ぬこともあるけど、その度に別の世界に転生するんだ、記憶を引き継いでな」


だから不滅か、と納得してくれたようだ。しかしそれと同時に、俺が死にかけているのか?と疑問を持ったようだ。転生って生まれ変わることだから、そのために死ぬ必要があるってのはもっともだ。この辺の事情は複雑なので、俺は説明を続ける。


「毎回死んでから生まれ変わるわけじゃなくて、所謂異世界転移ってやつ?そういうこともあるんだよ」


生きたまま知らないところに飛ばされたかと思えば、体格や年齢が変わっているから本当にわけがわからない。


「ふむつまり、どういうことだ?」


こいつは格闘家B、ホウセン。どうしようもない馬鹿だ。案の定理解出来なかったらしい。


流石賢者C― スニーヘルだ。馬鹿とは違うね。


「あと稀にだが、同じ世界に生まれることもあるから、もしかしたらすぐ会えるかもな」


「そうか。なら!」


そう言って俺を囲う仲間たち。なんで身体強化の魔法かけてるんですかね賢者さん達?あ〜、それで俺の身体を掴むと。すごく嫌な予感がする。


「「いくぞ!せ〜のっっ!!」」


次の瞬間、なんとも言えない感覚が俺を襲う。どう表せばいいのか悩むな……浮遊感?そのまま言ってしまえば重力に逆らっているような気がする。


う~ん雲を突き抜けた。びしょびしょなんだが?


これまでもお祝いごとでよく胴上げしていた気もしなくもないが、この高さは果たして胴上げなのか?死ぬんじゃないかな、落下で。生まれ変わるなら骨を埋めてけってか?確かに衝撃で地面に埋葬されるかもしれないが、荒業すぎるだろ。


そろそろ転生して貰わないと地面に叩きつけられるんですが。どうなろうと結果は変わらないんだけどそれはそれとして――


「うぉぉぉ!!英雄が落下死してたまるかァァァ!!」


池とかって………無いですねはい。参ったな。俺ってこの高さで耐えられるのかなぁ?


「激突より早く転生出来なかったらあいつら呪ってやろ」


なんなら自爆してやろうか。どうせ去る世界の森がちょっと吹き飛ぶくらい俺にはなんの関係もないし。


「地面で情けなくピクピクするくらいならいっそ……!俺をを投げ飛ばしたこと後悔させてやるよ!おらぁ死ねぇぇぇ――!」


俺が爆ぜる寸前、体が完全に消滅し意識が飛んだ。


こうして森の平穏は守られるのだった。

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