僕の生活をサポートしてよ
「ねぇエルちゃん……良ければで良いのだけどさ、なんで僕の家の前に居たのか教えて欲しい」
「………………」
僕は彼女に何があったのかここで確かめることにした。
先程彼女を風呂に入れ終わり泥まみれだった体が一洗いするだけで多少怪我はあるがそれでも真珠のような美しく繊細な綺麗さをしていた。
そして何よりも僕の服を可愛く着こなしている。
長袖のジャージを萌え袖になりながら着ていたりズボンは履かずジャージの丈で大事な所を隠すような着こなし方。
高校生の僕には刺激が……
いや今はそれよりも、それほどまで美しい彼女が何故出会った時は傷だらけで倒れていたのか。
僕には気になることしか今は無い。
「…………」
「あ〜別に嫌なら話さなくてもいいよ……まだ僕とは出会って一日もギリ経ってない間柄、信頼出来なくて当然だよ」
彼女にはきっと、いや確実にいざこざがあったに違いない。
見ずしれずのこんな男に簡単に事情を話せるほど余裕がなくて当然だ。
「…………ごめん」
「謝らなくていいよ……もしまだ……帰りたくないのなら……気が済むまでここに住んで良いから」
僕がそう提案すると先程までは恐怖や緊張で濁っていた目が高級なステンドグラスのような美しい瞳に変化し僕を見つめた。
「……お願い……もう少しだけ……ここに残らせて……私……帰るところがもうないの」
「帰るところが!?」
僕はつい声を上げてしまった。
僕の声で彼女はビクッとその小さな体を恐怖で震わせてしまった。
でもどうしても驚かずには居られなかった、僕より年下のまだ1人では何も出来ない年齢の子が帰るところもなくさまよっていたという事実に。
「……」
僕はどうしてもやるせなさを感じた、多分、いやきっと僕が何をしても力にはならないのはわかっている。
でもこんな子がこの世に居るという事実が僕の胸を引き締めてくる。
握る手に力が入ってくる。
「……迷惑なのはわかっているけど……私を……少しでも置いてください……何でもしますから」
ん……今なんでもするって……
「……じゃあ、ひとつだけ……提案してくれない?」
「何でしょうか?」
「僕の生活をサポートしてほしいです?」
僕の願いは生活のサポートだ、でも正直サポートとか言ってはいるが本当は寂しいだけだから話し相手になって欲しいだけなのだ。
でもそんな事を言うのが恥ずかしくて、こんな遠巻きな言い方をしてしまった、そう焦っていたが。
彼女の表情を見るとぽかんとしていた。
顔は予測を外したのか目が点になっている。
「え、えっと?大丈夫?」
僕が肩をトントンと軽く叩くとやっと意識が戻ったのか絵に描いたように「ふぇ!?」と声を出して驚いていた。
「ええええっと、本当にそれだけで……良いのですか?それ以外にもやりたいこととかは……」
「いやもうこれ以上望むことはないよ、だってこれは僕がやりたくてやってるだけなんだから……というかそれ以外ってなに?」
「例えば性的なモノとして扱ったりとか、奴隷とか」
「僕はそんなことできないよ!!ただ寂しいからエルちゃんには居て欲しいんだ!」
つい焦って口走ってしまった、引かれそうだなぁ僕のこと……
エルちゃんさっきからずっと目を点にして僕を見つめてるよ、終わった。
僕はこの生活に終わりを感じたが彼女は自信ありげな顔でまた話し始めた。
「分かりました……ではこれからよろしくお願いします」
彼女はまだ心には不安とかはあるだろう、でも彼女が僕に見せた笑顔は飛びっきりの笑顔だった。
その笑顔につい心を奪われてしまう。
「どうかしました?」
「あ、いえ何も……あ、僕の名前言うの忘れてたね!僕の名前は猿飛アリス、アリスって言ってね!」
「分かりましたアリス様」
彼女が話しかけてくれなかったら多分少しの間は見とれていたであろう……
女の子との経験が僕には無いから急にあんな笑顔向けられると弱ってしまうよ。
彼女は僕が見とれているのを疲れが溜まっていると思ってくれているのが唯一の救いだ。
(この生活……やっていけるのかな、僕の理性が特に……)
色々な不安をまだ抱えたままだが僕とエルちゃんの共同生活が始まりを迎えた。
一人称視点の作品まだ初心者なので優しい目でお願いしますm(_ _)m