なんで家の前に
一人称で書くのって難しいね
僕の名前は猿飛アリス
女みたいな名前だけど中身はれっきとした男子だ。
僕はずっと普通な生活だった。
普通な家庭、普通な学校生活、普通な友好関係。
僕の人生にはイレギュラー等はなく進んでいた。
しかしそれは本当にある日の春の出来事だった。
僕の人生の最大のイレギュラーが起きたこの出会いを。
………………………………………………………………………
僕はいつものように家に居た。
高校生だが一人暮らしな為休日はずっとゴロゴロしながらゲームをするか寝るかの生活だ。
「……もう届いたかな……」
数ヶ月前から予約をしていた新たなコントローラー。
置き配にしていたので後は外に置いてある荷物を取るだけ。
僕はウキウキとスキップしながら玄関へと向かった。
僕好みの設定にカスタムしてもらった品物。
直ぐに使いたくてウズウズしてしょうがない。
最高の興奮をバネに勢いよく扉を開けるとそこには……
「ふっふふー、あったらしぃぃコントローラー……だ、誰?」
目の前にいたのは小さな角を生やした明らかに見た目が小・中学生な子がボロボロな状態でそして真っ裸で家の前の壁にもたれながら倒れていた。
よく見るとところどころ血が出ている。
「だ、大丈夫ですか!?」
少女を揺さぶって生存を確認しようとしたが反応がない。
でも鼓動の音は聞こえるので多分意識を失ってるだけだ。
(警察か、いやまず救急車か……でもこの子頭に角とか生えてるし)
「ひとまず看護するか」
僕は少女を背負いついでに届いていた荷物を手に持ちドアを閉めた。
……………………………………………………………
ひとまず僕は少女を僕の家のベッドに寝かしとりあえず風邪の時に使うセットを何となく用意してみた。
まず水に濡らしたタオル、そして桶に入ってる水、後スポーツドリンク。
「いやまず怪我の箇所治さないと!」
女性経験は普通の人より経験値が少ないから女性と会うだけで緊張で混乱する。
「ひとまず頭と、腕と、胸……か」
今更だが体から推測できる年齢的にこんなことすると普通に捕まるな……
「悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散悪霊退散ッッッッ!!!!」
煩悩を焼き払いものすごい手つきで彼女の胸にある傷を包帯で救護した。
煩悩を燃やし過去一包帯を高速且つ綺麗に巻けたぞ、包帯巻くこと自体初めてだけど。
………………………………………………………………………
「これでひとまず、何とかって感じなのかな」
何とか僕は彼女の傷だらけの体の治癒を今できる最大限の限りは尽くした。
まだ彼女は眠っているため何とかバレずに一通りの手当てができたのは幸運だ。
「……」
しかし、よく見ても美し顔立だ。
女性経験がゼロな僕には女の子がまず僕の家に居るという現実なだけで失神レベルなのに今滞在している子の顔は今までに見たことの無いくらい整っているので攻撃力は100倍どころか1000倍。
今までの僕なら泡吹いて倒れていたが何とか今は理性を保てている。
「可愛い」
そう呟くと僕は1度寝室から出ていった。
多分今の僕はものすごい顔が赤くなってるだろう。
想像が容易につく。
…………………………………………………………………………
1度この現状を整理するために僕はリビングに向かった。
リビングは僕が1番落ち着く場所、そこなら何か良い結論を導き出せそうな気がする。
リビングにあるひとりで使うには少々大きなソファに腰かけ考えた。
「まず、僕の家の前にボロボロの少女が居た…と……ダメださっぱり理解できない」
この自分でもよく分からない現実に頭を掻きむしってしまう。
「あぁぁぁぁ!まずなんなんだー!家の前に女の子って!どういうこと!」
脳が理解できない。
「……どうしよう……これから…」
自分1人の生活で精一杯なのにもう1人増えるとなると……
「……コントローラー開けよ」
僕は1度現実から目を逸らし楽しいことに意識を向けた。
少女が家に来ていたため僕自身も忘れかけていた本日の主役になるはずだったコントローラーが入っているダンボールを手に取りカッターで器用に封を開けた。
だがこれは所謂人間だけが持つ最強の技。現実逃避だ!
「……どうにかなる…そう信じて……今だけは……現実から目をそらそう」
果たして僕の運命はどうなるのか……
……………………………………………………………………………
ひとまずコントローラーを開けて軽く触って不備などないか見ていたがどうしても集中ができない。
「……大丈夫かな……」
どうしても心配で仕方ない、1度忘れようとすると更に強く意識を持っていかれそうになる。
「……見に行くか……」
どうしても嫌な予感がするので僕はひとまず彼女が寝ているであろう寝室の前に立った。
「起きました?」
扉をコンコンと軽く叩くが返事は無い。
(まだ寝ているのかな)
そう思い僕はリビングに戻ろうとした、しかし何か物音がする。
ほんの小さな音だが僕の耳は聞き逃さなかった。
僕は扉に耳を張りつけ中の音を聞こうとした。
「……!?まさかこの声は!」
部屋から「ん、うぅん」や「う、んぅ」等といった喘ぎ声に少し近い声が聞こえる。
僕も中身は高校生、そういうのが気になるお年頃、少しくらい中を拝見しても罰は当たらないだろう。
「少し、失礼しますね……」
そう一言罪の意識を軽くするための言葉を添えてから扉を開けると
「ど、どういうことだ!!」
僕の想像を超える程過酷な現実が目の前にいた。
「ぐっ、うぅー!や、やめて!いやだ……嫌だ!あの力は……もう嫌だ!」
僕のベッドで寝ていた少女は今ベッドの上で悶え苦しんでいた。
胸を抑えたりや体を丸めたり何か、とても強大なモノに恐れている様子だ。
「大丈夫!?大丈夫ですか!!!」
僕は彼女の肩をつかみ彼女に問いかけたが返答はなく今も苦しんでいる。
何度も方を揺さぶるが結果は変わらずのまま。
とりあえず机の上に置いてあるスポーツドリンクを彼女に飲ませてみるも呆気なく失敗。
万策尽きたと諦めたその時。
「うぅ……」
彼女が僕の胸に飛び込んできた。
背丈は僕とかなり差があるので彼女が僕の胸に飛び込んできても思いのほか圧迫感を感じない。
というかご飯食べているのか……聞きたくなるくらい力を込めると折れそうなくらい軽い。
それでも抱きつかれた瞬間僕の脳はあまりにも突然すぎたため脳がショートしてしまった。
だが僕の胸から規則正しい寝息が聞こえる。
(なんだ……僕の胸に落ち着いて寝てるだけなんだ……)
先程までの暴れっぷりが嘘みたいに静かになる、少女は僕の胸ですやすやと可愛い寝息を立てながら夢の世界にいる。
そんな彼女に僕はそっと頭を撫でリビングまで向かった。
(なんというか歳がかなり離れた妹のように感じる)
そんな思いを抱えながら僕はリビングのソファに座り先程のコントローラー点検の続きをするのだった。
出会い、別れはいつも突然。
これからもよろしくナス
ブックマーク、ポイント欲しいな|ω・)